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いや、これはヒドい
怖い、気持ち悪い、を通り越して、最早、おぞましい
帯に「覚悟してご覧ください」と書いてあったので、それなりのモノを持って読んだが、私の予想が甘かった
もし、空腹時に読んでいたら、間違いなく、トイレに間に合わず、その場でブチ撒いていただろうな
妖怪や悪魔が登場する正統派のホラーでもなく、アングラ感が漂う人の悪意を描いた真っ当なサスペンスでもなく、タイトルの通り、ともかく、頭のネジが外れ(外され?)、「普通の人間」を止めてしまった人らの異常な日常風景が、濃すぎるほどに描かれている
個人的に、常識からズレている人間だ、と自己評価していたけど、ここまでは逸脱していないな、と思い知らされた。自分を特別な人間だ、と勘違いしている人間なら受け入れられない事実かもしれないけれど、安堵した私は唯一無二の存在ではなかったようだ
反面教師って言い方は違うかもしれないけど、こうも異常な人間の生態を目の当りにしたら、軽度の厨二病なんて一発で完治するな
普通なんてイヤだ、と言える内は、自分が幸せってコトは気付けない。異常になってしまったら、どんなに望んだって、もう、戻れないんだから
洋介犬先生は、まだ踏み外してないようだが、これから先は分からない。担当編集さんは、しっかり掴んであげて
私個人の印象だが、この『外れたみんなの頭のネジ』のネジが完全にヌケる事を防いでいるのは、ミサキだけに見えている悪魔・べへりんの存在だろうな。妙に人間臭いべへりんがいるからこそ、人間のタガの外れっぷりが際立っているのだ
果たして、ミサキは「知ってはならない真実」に辿り着けるのか、それとも、彼女自身も一つ外の世界から見れば、おかしな人間に成り上がってしまうのか
どれもお勧めできないストーリーばかりだが、特に私の度肝を冷やしてくれたのは、mad7「友に耳あり」だ。なまじ、百合っぽさが香っているもんだから、余計に一線を超えちゃった友情の怖さが気持ち悪さを感じさせる
この台詞を引用に選んだのは、説明しづらい説得力が宿っているので。この考えをミサキは引っ繰り返しちゃいるが、実際、「普通」なんてのは、一つに決められている訳じゃない。個々が抱えている“おかしさ”が、辛うじてバランスを保って、それなりの「普通」が、どうにか、世界を維持しているのだろうな。私ら、人は、そんなおかしい普通の日常の中で生きていくしかない