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テクノロジー企業の基本的な生産物はイノベーションであり、そこが世のたくさんのビジネスと違うところ。今日の製品の成功に満足せず、つねに次の5年に何がくるかを考える事。いかに上手く内部燃焼し、イノベーションを生むマシンとして長く存続できるかという事。
これからの20年で20世紀の100年間に匹敵するものを達成する。変化の速度は目覚ましく、次は14年でその次は7年で同じくらい進歩する。このペースは指数関数的に成長し、21世紀は今日の2万年分に匹敵する。これは20世紀の約1,000倍の成長速度。
人類は8つの分野で指数関数的な成長を実現させる必要がある。それは、教育、エネルギー、環境、食品、国際保健、貧困、安全、水である。
21世紀のビジネスと仕事の基本的な概念
1.テクノロジーはより進化し、誰でも手に入るようになる。どんどん微小になり、無料化する。
2.アウトソーシング、クラウドソーシング、P2Pによる協働で、研究効率が上がり、コストもほぼかからない。
3.ソーシャルメディアによってコミュニケーションの在り方が完全に変わる。分野をまたいで仕事ができ、アイデアを市場に出すのが容易になる。
リバースイノベーション
初めに新興国で開発された技術や製品が、先進国でも展開される事。アフリカのモバイルバンキング等。
無料への急激な加速が今日のビジネスの在り方を変える。
技術的イノベーションが受け入れられるまでの時間的推移を「不可能→非実用→可能→期待→必要」としている。
今後、国、州、地方が予算破綻の重荷と税収増加策の乏しさを緩和するために、経済の多様化を図らざるをえなくなる場合には、地域性がより大きな重要性を持つだろう。
20世紀後半の人類の発展がおおよそ地方毎に進み、直線的であった為、政府や巨大企業は未だに未来を直線上にあるものと考えがちだが、テクノロジーの進化により、はる
かに複雑で指数関数的に進展するものとしてとらえなくてはならない。
シリコンバレーの成功の核にあるのは、人々が「どこで働いているの?」とは聞かず、「何に力を注ぎたいの?」と聞く事。
シリコンバレーの株式公開の歴史
1956年 バリアン
1957年 ヒューレットパッカード
1958年 アンペックス
これらにより、VCが拡大成長した。
スタンフォードが起業を成功させられる6つのカギ
1.教育と研究への強い使命感
2.研究の開放性
3.教授陣のコンサルティング活動
4.明快で柔軟な利益相反ポリシー
5.一貫した技術移転の活動
6.順応性のある起業活動計画
dスクール
「デザイン思考」
1.共感(困っているユーザーと同じ気持ちになってみる)
2.問題定義(ユーザーから洞察を得てニーズを明確にする)
3.創造(解決策を考え��)
4.プロトタイプ(解決策を体験できる形にする)
5.テスト(解決策が実行可能かどうかをテストする)
イノベーションとは、何かをよりよくするのではなく、違うやり方でする事。
感情や直感、インスピレーションで組織を運営したいとは誰も思わないが、合理性や分析に依存しすぎるのは同じくらい危険が大きい。
先見性や未来思考、つまり組織や世界の事を考えるときに先を見越す新しい視点を養う事は、イノベーションを拡大させるだけでなく、イノベーションの成功に不可欠である。本当にイノベーティブであり続けるためには、組織は未来を展望する目を持ち、先を見越さなくてはならない。
現在の企業は、所有する特許ポートフォリオが事業の発展と法的な安定性に役立つとは考えず、所有していない特許が予測不能の多大なリスクと出費の根源になると認識している。
起業家の数で最も多い層は55歳~64歳と高齢であるがその理由は、
1.世界経済が不安定で就職市場をあてにできず、ストレスの多い労働環境にうんざりしている。
2.大資本を必要としないベンチャー企業で生かせる実体験が豊富。
3.誰の指図も受けずに思い通りにやりたいと思っている。
4.引退する前に思い切った事をしてひと財産つくりたいと考えている。
5.何もせずぶらぶらしているだけの引退生活など考えられない。
シリコンバレーでは、そびえ立つ成功の塔は失敗の瓦礫の上に築かれている。
投資家が探しているのは、自分に忠実すぎて社会の規範に従わないような人物。人気投票では絶対に勝てない一匹狼。しかし、その反逆児が信じて突き進もうとしている方向が正しければ、人は後で彼らが天才だったと知る。
成功したかどうかは銀行残高で決まるものではなく、問題が解決できたかどうか、あるいはビジョンを持ち、その通りに実現できたかどうかで決まる。
大抵の人間が労働者とオーナーについて19世紀のような観念を抱いている。社員に支払わなければならない額が多い程、オーナーの取り分が少なくなると思っているが、シリコンバレーでは価値の創出に貢献する者は誰でもその価値を分かち合うべきだという原理が浸透している。
Googleの文化
•1週間に1日は本来の業務以外に取り組んでみたい仕事に使える。
•毎週TGIFミーティングがあり、社員がラリーペイジとセルゲイブリンに質問を浴びせる。どんな質問をしてもよい。
•GoogleEDUは、本社独自制度で、コーディングから瞑想、EQの高め方等、数百もの口座を無料で受けられる。また、社外講座や上級学位取得費用も会社が負担。
•本社にはテーマ別のカフェが30カ所以上あり、全てで有機食品を使った料理が無料で食べられる。
•敷地内で農作物を栽培、市民菜園の利用や料理教室、プロのコックの調理見学ができる。
•常駐医師、理学療法士、カイロプラクター、日数無制限の病気休暇がある。殆どの建物にマッサージ室や仮眠用カプ���ルがある。
•ジムや個人トレーニング、プールがある。
•出産、育児休暇として女性には5ヶ月、男性には7週間が与えられる。育児助言、クーポン、出張マッサージ手当がもらえる。
•サッカー場、バスケットコート、テニスコート、ボッチボールコート、蹄鉄投げ場、パット練習場、ローラーホッケーリンク、フリスビーゴルフ、ボウリング、カポエイラ場、卓球、ビリヤード、テーブルサッカー、ビデオゲームセンターが用意されている。
•通勤はベイエリアからのクリーンシャトルバス、カーシェアリング。自転車等の自家動力で通勤する社員は任意の慈善団体への寄付に使えるデジタルスタンプがもらえる。
•80名の子どもを預かる保育施設では、子どもの能力、才覚、好奇心、想像力を尊重するレッジョエミリアアプローチを採用している。
•社員が雇用中に死亡した場合、配偶者は10年間毎年給与の半額を受け取れ、ストックオプションも行使できる。遺児は19歳または23歳になるまで年間1,000ドルを受け取れる。
Googleは上場の際に用意した目論見書の中で、「上場後、多数のプロジェクトに投資するが、それらの多くは失敗する見込みである」と前代未聞の言葉を明記した。投資家に対する長期に渡る辛抱強い支援を求め、Googleが承知の上でリスクを取る事を覚悟するように迫ったのだ。リスクも失敗さえも人間のなす事の一部であり、それが成長に繋がる事を信じている。
シリコンバレー銀行は、顧客の様々な問題の解決に手を貸す事で顧客が成功する確率を高めている。
SMIP農園のSMIPとは「こうして私たちは平和に暮らすだろう」というラテン語の頭文字。殺虫剤も除草剤も化学肥料も使用しない農作物をビレッジパブ(レストラン)の為だけに生産している。パブは収穫物を利用するのと引き換えに農園設立の資金を出資した。"from farm to table”の思想の下に、その日の食材を自分で収穫する。
健康増進が生産性や創造性、勤務成績、全体的な幸福に関係する証拠が増えた為、会社の福利厚生として、毎月の健康診断費用の会社負担、マッサージや鍼療法への補助金支給、専門家による栄養相談、リラックスできる休憩室、サイクリングやランニングサークルを用意するのが当たり前になっている。
ファーマーズマーケット
From farm to table思想の下、26カ所以上にマーケットがある。農家は収穫物の包装や大きさによる分別、ラベル貼りの手間から解放され、余分なコストをかけずに作物を売りに出せるようになった。
持続可能の原則を守る事は、社員サービスと顧客サービスの両面で企業戦略の中核になっている。
ビングナーサリースクールのように、早々とデザイン思考のカリキュラムを導入する幼稚園や、設計と科学とテクノロジー中心の教育をするヌエーバスクールやハーカースクールのような私立学校もある。
ビングナーサリースクール
自由に遊ばせる事を基本とし、子どもにやりたい事をやりたい時にやらせる。使える材料は砂、積み木、絵の具、粘土、水の5つで、半エーカーの運動���を含む広々した教室にこれらが用意されている。子ども達は自由に動き回って好きなものを選ぶ。唯一決められているのはおやつの時間とお話の時間。遊びを基本にする教育方針には、子どもが自分で自分の規律をつくる事を覚えるようにという意図がある。遊びは脳内で設計能力と向学心を伸ばしてくれ、遊びを通じて生涯続く学ぶ事への愛情と熱意が育まれる。この教育法が次世代のイノベーターと起業家を育てている。
ヌエーバスクール
未就園児から8年生までが学ぶ豪壮なキャンパスにはイノベーションラボと呼ばれる325平米の施設があり、ここでは幼稚園からものを創る事を通じてデザイン思考のスキルを身につけている。ラボにはロボットアームや3Dプリンタや多目的作業台が備えてあり、試作品をつくる為の道具が大量にある。デザイン思考の力は多様な考え方ができるという自信を訓練を通じて得る事から生まれる。ものの見方と特定のテクニックの両方からなり、独創的かつ批判的な思考を培う。例えば面接に臨む際の基本姿勢は、自分の考えや好みは脇にどけ、深く掘り下げ、全身全霊で耳を傾ける事。こうした内容を実践するのに欠かせないのはプロジェクトの求めに沿って考えを次々と発展させられる知的能力を伸ばす事。「行動して学ぼう、思いやりの心で学ぼう」の校訓には、応用学習とシステム思考を通じて、生涯学び続ける事への意欲を育てたいという学校の使命が反映されている。教師は、芸術、科学、テクノロジー、創造力において生徒が自分の可能性をフルに引き出せるよう手助けする「コーチ」とみなされていることがヌエーバの成功の根底にある。
ハーカースクール
幼稚園から12年生までを教える同校は、コンピューターサイエンス、心理学、化学、微積分学の成績で2006年以降世界ランク1位を維持している。2,500万ドルが費やされた最先端の科学技術センターでは、調査方法をしっかりと組み立て、科学的発見をする気風が育まれている。生徒は、有機化学、生物工学、環境科学、電子工学などの大学レベルの科目に加え、ロボット工学と先端研究実験の放課後プログラムをとることができる。STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)の学習にとても意欲的で、コスタリカやガラパゴス諸島にも現地調査と社会奉仕に出向く。とある卒業生の言葉、「先生がハーカーの水に何を混ぜたかは知らないけど、私たちはみんな世界を変えられるって気になっていますよ。そんな風に思っている人はハーカー以外で会った事ありません。」彼らの学習意欲の動機は純粋で、学ぶ事で社会を良くしたいと考えている事。そしてそれが決して簡単ではない事も知っていて、生徒同士が互いに全力を尽くすように励ましあい、目標を達成するのに必要な事に集中的に取り組む。
21世紀の社会で成功する為に必要な7つのスキル
1.批判的思考
2.共同作業
3.フットワークの軽さと順応性
4.起業家精神
5.話す能力と書く能力
6.情報収集能力
7.好奇心と想像力
イノベーション教育に優れている学習プログラムは、3つのPが重視されている。
それはPlay, Passion, Purpose。遊びとは発見を目的とする学習で、子どもは遊びによって情熱を注ぐ対象をみつけ、それを追い求めるようになる。それがやがてもっと意義深い目的を発展していく。
カンタムキャンプ
幼稚園から12年生までの子どもに21世紀の為の高度な理科と数学を教えるもので、コンピューター工学、大域数学、構造的数学、先端物理学、天文物理学、ユークリッド原論といった講義を1講座単位ないし、年間カリキュラムで選択できる。QEDという教育システムで、生徒が自己実現できる空間を教室という場に創りだすもの。数学、理科、歴史、語学のほか、どの科目を選んでも、学習内容と共同作業と問題を解決する力が血となり肉となるような環境で、自分なりの最高レベルに到達できるチャンスを全ての生徒に持たせる。QEDが重視する4点は、
1.状況説明(妥当性と意味をよく考えるため)
2.概念形成(よろこびを感じ、弾みをつけるため)
3.発見の瞬間(自分だけの知識を創造するため)
4.知識の応用(精通するため)
シリコンバレーを真似るのが最も難しいのは文化そのもの。人と人が付き合い、刺激し合い、コネがからみあい、それがまた離れては組み変わる。創造的破壊を糧に発展し、普通である事に飽き足らないのがシリコンバレーの文化。もう一つは人材プールの広さと深さ。スタートアップ企業の半数以上に移民が混ざっている。
シリコンバレーの起業精神は、1848年のゴールドラッシュにはじまったという見方。ラッシュ後の西部開拓は一攫千金を狙って危険を顧みない人々を呼び寄せ、彼らは一匹狼で危険を覚悟し、多様性を嫌わず、成功の為なら失敗を恐れず、固い意志と意欲を持つ人々であった。
欧州の会社設立に要する時間はアメリカの12倍。費用は4倍。東欧と中央アジアでは費用は6倍。ドイツでは倒産から新規スタートまでに6年かかる。一方、イスラエルは、2011年時点で60社あまりがナスダックに上場しており、外国企業では最多。この理由は、非常に複雑な軍事技術にふれられる徴兵制にある。諜報部隊の技術部門である8200部隊出身者が成功を収めている。
シリコンバレーのイノベーションは3つの柱に支えられる。それは「テクノロジーの進歩」、「リスクと失敗への寛容」、「人々の頭脳の力」である。
10億人の人に同時に変化をもたらす為に、あなたは何をしますか?
*おまけ
レッジョエミリアアプローチとは、、
子どもは
百のものでつくられている。
子どもは
百の言葉を
百の手を
百の想いを
百の考え方を
百の遊び方や話し方を
もっている。
百、何もかもが百。
聞き方も
驚き方も愛し方も
理解し歌うときの
歓びも百。
発見すべき
世界も百。
発明すべき
世界も百。
夢見る
世界も百。
子どもは
百の言葉をもっている。
(ほかにもいろいろ百、百、百)
けれども、
その九十九は奪われる。
学校も文化も
頭と身体を分け
こ���教える。
手を使わないで考えなさい。
頭を使わないでやりなさい。
話をしないで聴きなさい。
楽しまないで理解しなさい。
愛したり驚いたりするのは
イースターとクリスマスのときだけにしなさい。
こうも教える。
すでにある世界を発見しなさい。
そして百の世界から
九十九を奪ってしまう。
こうも教える。
遊びと仕事
現実とファンタジー
科学と発明
空と大地
理性と夢
これらはみんな
ともにあることは
できないんだよと。
つまり、こう教える。
百のものはない と。
子どもは答える。
冗談じゃない、
百のものは ここにある。