紙の本
何も投げ捨てない
2012/02/26 21:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
商家の次男に生まれながら、その父・小西隆佐の財力を欲した豊臣秀吉により大名へと取り立てられ、朝鮮出兵の先鋒として娘を嫁がせた対馬の宗義智と共に平壌まで進み、明との和平交渉を行った。一方で、秀吉が追放令を出した後もキリスト教への信仰を捨てず、高山右近などと違って、残された武家信者の支柱となって戦った。
加藤清正などの武闘派からは蔑まれながらも、意外な柳腰で粘り強く物事を成し遂げる。積極的には見えないのに、最後まで何も投げ捨てない。そんなキリシタン大名・小西行長の朝鮮出兵から刑死までを描いている。
作者の他の作品と同様に、この作品にも主人公を陰から支える女性・日向が登場する。彼女は治部少輔に囲われながらも、小西行長に惚れ、彼の苦悩の時にやって来てそれをそっと拭い去っていく。そんな彼女が惚れた男とはどんな生き様だったのかが描かれているわけだ。
人はどうしても相対的にしか評価できない。誰と比べてどうか、というのが最も伝わりやすいのだろう。ここで対比として描かれるのは、高山右近や加藤清正、石田光成などの武将たちだ。彼らに比べれば目立たないようにも見える、しかし実は面白い。そんな事実を読んで見て欲しい。
投稿元:
レビューを見る
キリシタンで、商人出身の小西行長の物語です。
小西行長が主人公の本は初めて読みましたが、読みやすかったです。
投稿元:
レビューを見る
所作や言動など、やることなすことが型にはまるというか綺麗に見える行長。それでもどこか儚い人物像は新しいように思ったが、私が求めてた行長像だった。それだけに朝鮮出兵半ばで終わってしまったのは残念。関ヶ原は描いて欲しかった。でも全体的に楽しめた。
投稿元:
レビューを見る
朝鮮出兵の初期が中心のお話。
商人とキリシタンの面が強い小西像です。家臣が仲良し小西家!
永田さんが一番伝えたかったという、作中の人物・日向の言葉に共感しました。
投げ出す事は簡単であり、守るべき物を人知れず守る事がどれほどの痛みを伴うか…
登場人物の設定がわりと斬新だったので、面白かったです。
鍋島さんナイス…!
投稿元:
レビューを見る
2011/9/13
小西行長のイメージはもっとしたたかで、強い人物像です。最近、草食系戦国大名が増えているような気がしますが...
投稿元:
レビューを見る
ひたすら家臣に愛される行長の図。歴史小説とはテイストが違うんだから比べまいとは思いつつも、やっぱり文章の野暮ったさが気になります。「交渉人」なのに、最も交渉の模様がメインとなる碧諦館以降がほぼ全飛ばしなのには驚いた。まさか沈惟敬が出ないとは…
投稿元:
レビューを見る
自分の思ってる小西像に近いような。家臣団もキャラ立ちしてて、それぞれの小西を慕う理由も結構いいなと思った。タイトルから交渉シーンを期待してただけにあまり頁割かれてなかったのがちょっと惜しい
投稿元:
レビューを見る
小西行長による文禄の役の講和がメインに描かれています。心優しい、優しすぎる小西が如何にしてこの戦を終わらせるか。苦悩が大変心に染みました。加藤清正との確執も双方の側から描かれており、育ちの差それによる出世方法の差、そこから生まれる嫉妬心やプライド、曲げられない生き方が印象的です。清正は全ては義父秀吉のために、行長は神の為になど相容れない彼らの姿がまた確執を更に広げていきます。
軍議の場面、加藤清正や鍋島直茂に責められ宗義智には裏切られて。それでも小さな希望を手繰り寄せ、微笑みながらジョアンに全てを託す。そこに彼の全てを見た気がしました。
幕内での隆佐とオルガンティーノ、暗躍する日向と越後も印象深く話に欠かせない人々でした。日向の想いに引き込まれます。
投稿元:
レビューを見る
第一次朝鮮出兵をメインにした作品。小西行長と行長を支える家臣団。秀吉の交渉人と言う事で期待をしたのだが交渉もこれからと言うところで物語が終わり後は関ヶ原の戦いまで足早に終わってしまった感じ。