投稿元:
レビューを見る
戦国以外の決戦シリーズ第2弾。今回の舞台は、皆大好き忠臣蔵。
語り部が飼い犬の「妻の一分」が残ったかなぁ。
畜生でも恩義は忘れない、というのはテンプレの語り部なんだけど。題材が忠臣蔵という御恩と奉公の代名詞みたいなものなので、乗せられたというか。
御恩と奉公の使い方違うけども、表現しやすいので。
投稿元:
レビューを見る
直木賞作家3名を含む豪華執筆陣。朝井まかて「妻の一分」は、唐之介なる語り手がユニーク。事件が綱吉の治世で起こったことを強く印象付ける。夢枕獏「首無し幽霊」は、「陰陽師」と「大江戸釣客伝」を足して二で割ったよう(笑)。梶よう子「雪の橋」は、吉良家家臣目線で討ち入りを語る。吉良家死者は17人。当然彼らにもそれぞれ愛しい人生があったのだ。諸田玲子「与五郎の妻」は、義士の元妻目線。別れたくないのに別れざるを得なかった家族。泣かせる。 山本一力「笹の雪」は、討ち入り日の泉岳寺の様子を描いていて興味深い。
投稿元:
レビューを見る
7人の人気作家による短編アンソロジー。
初出は2017年の「小説現代」早っ!(冥土の契りのみ書き下ろし)
葉室燐の「鬼の影」は内蔵助が堀部安兵衛を毒殺しようとする緊迫感を描くが、いつもの重厚さがない。
朝井まかての「妻の一分」は江戸弁を話す犬の視点で描かれる。
夢枕獏の「首無し幽霊」は、吉良上野介が、釣りの指南書に紹介されている釣り針の工夫者の名前の文字が原因で化けて出る異色の話。
長浦京の「冥土の契り」は赤穂藩から追放されていた武士が内匠頭の亡霊から腕を見込まれて契約し、討ち入りに参加するという怪異譚なのだが、亡霊に対する覚悟と緊迫感がなかなか読ませてくれる。「死ぬのが少しだけ楽しみになった。」という独白は面白い。
梶よう子の「雪の橋」は、上野介を「赤馬の殿様」と親しんで呼ぶ吉良家の知行地で士分に取り立てられた清水一学の恋と忠義の話。
諸田玲子の「与五郎の妻」は、津山藩の改易で赤穂藩に再仕官した神崎与五郎が、討入り前に改易で離別した妻に会う話。さすが諸田玲子、泣かされる。
山本一力の「笹の雪」は、宿毛歴史館に伝わる大高源吾らの辞世の句が、当時泉岳寺で義士の世話をした雲水によってもたらされたという意外な実話を踏まえていておもしろい。
投稿元:
レビューを見る
戦国では無い決戦シリーズ。
やはりこうなってくると、単なるアンソロジー。
書き下ろしですらないし。
とはいえ、中々なメンバー、それなりに読み応えはあり。
話としては梶よう子「雪の橋」が好き。
諸田玲子もいい。
期待した朝井まかては、イマイチだったなあ。
夢枕獏はらしすぎて、ある意味、笑える異質感。
投稿元:
レビューを見る
『決戦!』シリーズ、いつか読みたいと思っていたら、
なんと大好きな『忠臣蔵』があると知り、昨年の12月に読みました。
印象深かったのは、
朝井まかてさんの#妻の一分
大石家の唐之介なる忠臣の語りがユニークで、個人的にツボです。
時の将軍・綱吉ということかな。
梶よう子さんの#雪の橋
唯一吉良家側から書かれている。
吉良家の小姓・清水一学の目線で語られる吉良夫妻。
主君と愛しい人を守ろうとして散った彼の覚悟。
泣けた。
諸田玲子さんの#与五郎の妻
神崎与五郎が、討入り前に離縁した妻に会う話。
今生の別れ…行列を待つ場面で終わってくれてよかった。
山本一力さんの#笹の雪
討ち入りの日、義士を迎え入れる泉岳寺の様子が書かれている。
粛々とお沙汰を待つ義士たちのふるまいに、心が静かに澄んでいく。
(大高源吾らの辞世の句は、この時泉岳寺で彼らのお世話をした雲水によって伝えられたとのこと。)
浅野家側から語られることの多い「忠臣蔵」ですが、
「殿中で刃を振るった主君の愚行こそ憎め、我大殿に落ち度なし」
清水一学のこの言葉に、どちらの側にも”真実”があったのだと改めて思い知らされる。
投稿元:
レビューを見る
こちらも近所の図書館の福袋企画にて、借りたもの。
今まであんまり忠臣蔵に興味が湧かなかったなぁ。(年がバレるが)子どものころ、父が好きで観ていた年末時代劇で放送されたのを観たというだけの記憶があるのみです。中身までは理解していなかったかあるいは覚えきれなかったか。いずれにしても、大石内蔵助や浅野匠守、吉良上野介といった人物名が少しと、四十七の赤穂浪士が吉良家へ討入りを果たしたということくらいしか脳みそのなかには入っていない……
忠臣蔵を知る良い機会になったかも。
好きな朝井まかてさんや読んだことのある作家さんと、まだ読んだことのない方とで半々くらい。新しい出会いがあるといいなぁ。