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少女時代にレイプ被害にあい
そのトラウマと戦いながら
荒療治ともとれるような勢いで
AV業界に飛び込み
そして今は画家・写真家等々の芸術活動に身を置く
著者の私小説です。
正直、ここまで過酷な重荷を
十代半ばの多感な少女に背負わせた
これがもしも神の悪戯だというならば
余りに趣味の悪い所業としか
言いようがありません。
しかし、著者はそれさえも
生きていく糧にする強さをもっているのだと
感服しました。
著者の経歴から注目を集める部分も多いかと思われますが
この著書
きっと声を出せずに潜んでいる
多くの強姦被害者の方達の
勇気の断片になるものなのではないでしょうか?
この本を読んで
そういった被害に遭った方の
心情の一部でも知れた事は
大きな学びになりました。
読んでいて非常に辛い部分も多いですが
決して絶望だけではなく
そこには優しさや希望も見いだせます。
お勧め出来る一冊です。
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15歳の時にレイプ被害にあい、PTSDを発症。
様々な思いからAV女優としてデビュー。
その後、写真家や画家などの活動を続ける大塚咲さんの自叙伝。
レイプされたことを「お母さんの精神状態が悪くなるから言わない」とたった一人で抱え込んでしまった話がなんかもう辛すぎて…。
咲さんは全然悪くない!
悪いのはその男だ!
って誰かが言ってあげられれば…。
レイプにあった女性の服装が煽情的だったからとか
自分で誘ってたんじゃないかとか
叫んだらよかったのに助けを求めないからとか
そんなヒドイことを被害者に言える人って何なんだろね。
読んでいると「なぜそっちにいく?」とか思う部分も多々あるけど、それはきっと彼女にとって現実だからなんだろな。
ダメな自分や弱い自分も含めて
どん底を見て、もがき苦しんだ著者だからこそ語れる言葉がこの本にはあります。
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#読了 2021.12.11
18歳から約10年間AV女優、今は写真家・画家などの芸術活動をしている大塚咲さんのエッセイ。自叙伝。になるのかな。
これ、きっと、伝わらない人には伝わらないんだろうなと思った。それくらいたくさんの心の動きや反応が書いてあった。幻覚やパニック状態や不安など、本当によくここまで言語化したなぁって思う。それくらい今は当時のことを客観的に理解する作業を終えていて、ちゃんと過去になりつつあるのだろうな、前より少しは生きやすくなったのかなぁ良かったなぁと思った。不安とか嫌悪感って人に伝わるように言葉にするのってすごく難しいと思うんだよね。すごく深い部分の主観的な感覚だと思うから。
病んでた時はよく新宿で過ごしてたなぁ。そこにも共感した。例えば原宿は若者しか受け付けてない気がするし、銀座は品のいい人しか受け付けてない気がする。それに比べて新宿は老若男女、品のいい人も悪い人も、普通のサラリーマンも売れないバンドマンや芸人や絵描きも、テキトーなフリーターも、バリバリの実業家もホームレスも、すべてにとって違和感のない街で、そのたくさんの人の承認欲求や自己実現の欲求や食欲や性欲、いろんな欲がギラギラするのを横目に、その中でただのその他大勢になれるのが楽だった。
しんどい気持ちに対して、簡単に「気持ち分かるぅ!」なんて言いたくないけど、感じる部分がたくさんあった。
私も18歳のとき、自転車で信号待ちしてるとスクーターの男の人が話しかけてきて「ねぇねぇ。これさぁー…」ってパッと見たら下半身露出してて、ちょうど青信号になったから自転車ダッシュしたけどスクーターでしばらく追いかけられて、男性経験もない頃だったから本当に怖かったし、23歳のときは21時頃まっくらな地元の田舎道を自転車乗ってたら、すれ違ったワゴンが後ろでキーッ!ってブレーキ音させて止まったかと思ったら扉開く音して、バタバタバタって足音がして、振り返るとマスクした男の人が走ってきてて、自転車乗ってる私の腰元を両手で掴んで振り落とされそうになったけど、幸いにも私の上着で手が滑ったみたいで、うまく掴めず、私は工場地帯と畑に響き渡る悲鳴をあげて自転車ダッシュして逃げ切った。本当に危ないところで、その後母親と一緒に交番に行って、しばらくは母親に駅まで送り迎えしてもらってた。その件があった1週間後くらいの雨の日、母親の車乗ってたら、道端に真新しい開いたままの赤い傘が不自然に落ちてて、今でもそれは誰かが被害にあったんじゃないかなと思ってる。(それも交番には伝えたけど)
私は幸い直接的な被害は無かったけど、それでもしばらくは背後の足音にビクビクしてたし、同じ方向に歩く後ろの人が気になって仕方なかった。それを男性経験もなく、刃物持った男から実際に被害を受けたとなるとそのトラウマ度合は想像を絶する。
犯人はどんな心理で性犯罪を犯すに至ったのか、どうしてそんな性格になったのか、理由を模索するためにAV業界に入った気持ちもなんとなく理解できるし、
自分が男から性の対象として見られる自覚のない年齢から性的好奇心を向けられていた著者からすると、たしかにAV業界に身を置いて売れれば、そこ��秀でた人間であったんだと自分にレッテルを貼ることができ、過去に性的好奇心の目について悩んでた部分が晴れる気持ちはすごくよくわかった。
私は背もでかいし一重だし、学生時代にモテた経験はまったくないけど、心の整理の付け方に共感ができた。
読んでいて、(恐れ多いし、失礼かもだけど)なんとなく思考の仕方が似てるなぁと思った。搾取に対してとか、正義感に触れるところはどうしても許せないこともそうだけど、いざなにか起こったとき、すぐに全体最適を探してしまうこと。あの人はこう思うだろうとか今何をした方がいいだろうとか。
あとは意味わからない人がいた時に、なぜこの人はそうしたのか?って考えてしまうこと。それが時に自分が不快になることをされたり、攻撃的だったりしたときも、その理由が理解できたとき「なるほどね、そういう理由ね」って一旦は無意識な自己暗示的に飲み込んでしまうこと。
でも本当は「今この場ではこうした方がいい」とか「この人はこういう理由で私に危害を加えたんだな」って理解できたとしても、それに対してストレスがないかどうかは別なはず。なのに飲み込んだ気になって、無意識的にストレスをためていく。
でもだからといって「今この場ではこうした方がいい」って分かってるのに自分のワガママを通すこともストレスだし、「何こいつムカつく!」って相手の心情を探ろうともしないで感情をぶつけるのもストレス。「穏やかで理解ある人間でありたい、あるべき」にそぐわないことをするのがまず1番手前のストレスだから、調節が難しい。心を整理しようとして頭を使って言語化していくと、心が置いてけぼりになることはよくあった。「あ、いまコレ、私ストレスなんだ」って自覚できるようになるまでしばらくかかった。友達が同じ状況って聞いたら、なにそいつムカつくね!!って絶対思うもんなぁって、表に出すことはほとんどないけど、その場でちゃんとムカつくという行為をなるべくするようになった。
うつ病を2回発症して、やっと自分の思考の癖と共生できるようになった。治りはしない。自分のことが情けなくてがっかりして、それが許せなかったりしたけど、だいぶ許せるというか諦められるようになった。努力は誰でもできるのに、自分の嫌いな部分を治さないのは怠慢だと思ってた。けど、努力をしてもしても良い方に向かわなくて、そのままうつ病になった。自分はこういう性格なんだって諦めることは悲しいことだったけど、それでも周りには慕ってくれる人が変わらずたくさんいて、これでもいいのかなと思えた。色んなことに対して白黒ハッキリさせずにグレーのまま置いておくこともできるようになって、昔よりは上手に生きれるようになったと思う。
学生時代から生徒会長やキャプテンをやって、通知表には「男女問わず仲良くできる。リーダーシップを発揮して、責任感がある」なんて散々書かれてた。みんなと仲良くしろ!最後まで諦めるな!ってあんなに学生時代に言われてたのに、誰かを嫌ってもいい、適度なところで諦めることも大事って、みんなどこで身につけたのかな?
大塚咲さんは、ショートカットでスタイルが良くて、魅せ方も上手で品が良くて。AV女優当時から好きだった。当時はmixiの大塚咲コ��ュに入って、自分のページにそのコミュが表示されても胸張れるくらい好きだった(笑)。そんな過去があったなんて想像もつかなかったなぁ。
「ウチの嫁さんはAV女優です」って作品をチラッと見た時に、男優さんとの絡みを旦那さんに見られるシーンで大塚咲さんが泣いていて、その泣き方がなんていうか泣きじゃくるというかちょっとパニックに近いようなメンタルが心配になるような泣き方だったんだよね。AVなんてのはファンタジーで基本的には台本であり、演技だっていうのはベースで思ってるから、その旦那さんがただの男優ってこともあるだろうし、泣いてるのも演技かもしれなかったけど、でもそれが仮に演技だったとしてもそれでもこの人はすごく感受性の強い人なんじゃないかって思うほどの泣き方で、俄然好きになった。
そういや、5歳くらい下かと思ってたけど、1個しか違わなかったなぁ。案外同世代で嬉しい。
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15歳の時に、英検の面接試験の朝、刃物を持った男にレイプされてPTSD発症。その後、何年もその夢を見てフラッシュバックの日々。現場が学校付近だったため、それもつらく、高校を中退。犯罪する人の心理や性欲に対しての疑問を自分で解消しようとそれに近しい人々に近づいていく。小さい頃から性的好奇心の目を向けられることが多かった著者は、その答えを求めてAV業界へ飛び込む。撮影現場でもしばしばパニックを起こしながら、元からの真面目さで事務所や業界の搾取とぶつかりながら、時に幻覚を見ながら、AV業界トップクラスに上り詰める。そして引退。今は学生時代からやりたかった芸術活動を中心に活躍中。
◆内容(BOOK データベースより)
人には誰しも傷がある。傷は痛い。傷は新たな一歩を躊躇させる。そんな傷を少しでも抱えている人はこの物語を読んでほしい。もしかしたらここに登場する女の子は傷を乗り越えようと思っているアナタ自身かもしれないから。すべての傷ついた女の子に捧げる「救いの物語」元AV女優にして気鋭のアーティスト「初の著書」