紙の本
戦後史が要領よくまとめられています
2018/05/08 23:12
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後70年間、この国で戦争と平和がどのように語られてきたかを概観する本で、 戦後史が要領よくまとめられています。
アニメ「火垂るの墓」を語る部分で、
「生まれた頃から「平和」と「繁栄」しか知らない人びとは、戦争の怖さを理解はできても、それを自分との関係のなかに位置づけることは困難だっただろう。」
と書いていて、これがまさにいまの平和教育の課題であると感じました。
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平易な文章で書かれていてとてもわかりやすい。
戦後を振り返りながら政治家、学者、ジャーナリスト、作家たちの主張を取り上げ、「平和」の意味の変遷をたどる。
注釈や参考文献に挙げられている資料も個人的にとても興味深い。
私レベルにはぴったりの良本。
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神戸市外大准教授(社会学)の山本昭宏(1984-)による戦後の「平和論」紹介。
『核エネルギー言説の戦後史1945-1960』『核と日本人』など、原子力をめぐる戦後の言説・メディア分析を専門としており、話題性のある著作を発表している若手と言える。
ただし、本書については、率直に言って、期待外れ。
「教養としての」と書いてあるのだから、およそ基本事項は抑えてあってしかるべきだが、そんなことはない。
評者は1955年体制構築そして60年安保に至るまでの期間は平和論を語る上で、非常に重要な時期だと考えるが、本書の政治史の纏め方はかなり雑。本当に理解をして書いているのか疑問を呈さざるを得ない。
なぜ日本の「平和論」なるものがここまで捻れているのか、という問題意識を持っていないことに愕然とする。
戦後隆盛を極めた日本の平和論が、原水禁・60年安保・ベ平連の活動を頂点にして変質・衰退したことは事実だろう。しかし、その背景について、運動側(左派)の内在的な問題や、国際環境の変化があったはずだが、本書では何も触れられていない。
90年代に坂本義和の「一国平和主義論に対する批判」を取り上げているが、これは皮肉な引用だろう。本書の構成そのものが日本の周辺で繰り広げられた数々の紛争や、軍事的緊張、核開発には一切触れず、東アジアの政治構造の変化にも頓着せず、ただひたすらに日本の文壇の言説分析に終始している。
その意味で、本書は全く「戦後的平和論」である。
2016年現在において、これが「教養」だと認識しているのであれば、研究者としての資質に疑問を呈さざるを得ない。百歩ゆずってタイトルは出版社の意向だったにせよ、戦後史を概観する「平和論」を論じるのは、著者にとっては「背伸びのしすぎ」だったのではないか。
まずは、戦後の国際政治史を教養として身につけた上で、行きし歳月に浮かんでは消えていった平和論を相対化することを目指してもらえないだろうか。
1980年代生まれの人間が、1960年代・1970年代に侃々諤々議論された「平和論」を冷静な筆致で論じるのは意味のあることだと思う。しかし、本書のような内容ではダメだ。
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戦後の日本が「平和」と「戦争」についてどのように語られてきたのか
わかりやすくまとめられている。
さらに、文学や映画などカルチャーも取り上げられているので、その頃はそういう風潮だったんだな~と思い返すこともできる。
歴史は繰り返されるというから、さらっと学びなおしたい時に良い1冊。