紙の本
小倉イズムを理解する
2017/08/11 06:27
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投稿者:バーモント - この投稿者のレビュー一覧を見る
小倉イズムの神髄を理解するには打ってつけの本だと思います。持っておいて損はない1冊です。続編を期待します。
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自社の社員に読んで欲しいと願って執筆したとおもえるような内容。歴代5名経営幹部がパラダイムシフトする物流サービスの中で変えるべきものと変えないものそして物事の優先順位を明確に事例をもとに綴られている。
なぜ次の日届くのか?何故こんなに安いのか?
僕らの知らないところでいろんな手が荷物を届けている価値を当たり前のように使っているけれど、宅配便は世の中の仕組みを変えたと完全に思える。
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評価の難しいところ。こういう時期にこういう本を出していていいのか、世に問うのはさすがヤマトなのか。いずれにせよやはり際立った企業であることは間違いないなあ…
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「経営への責任」について問う、ミステリーのような作品。「サービスが先、利益は後」の本当の意味を徹底的に突き詰めていかなかった代償は大きい。
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過去の経営者が稀代の経営者、小倉昌男さんから受けた学びをどう経営に生かして来たかという話を中心にヤマトの歴史を語る。
直接薫陶を受けた方もいれば、そうでない方もいる中で、各人「小倉昌男」という存在は大きく、今もなお欠かせないものであることが伝わる。
自身、一時期社内の様子が分かる立場に居たが、そのイズムは色濃く残っており、特にシンプルな経営哲学は資産として活かされている。
「経営学」と合わせて、その解説本的一冊として読むのも面白いかも。
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「ヤマト正伝」というタイトルから創業からの時系列の通史と思いましたが、小倉昌男、そして小倉イズムをその後を継ぐ五人の経営者が語るというスタイル。本人が登場しない証言で構成される「港のヨーコヨコハマヨコスカ」だな、と思いつつ読み進めましたが途中で本書の存在そのものが小倉昌男の創造したものなのだ!と気づきました。先ず、跡を継ぐ五人の言葉が激しく簡単わかりやすい。そして、誰もが自分の言葉で深いことを語っている。それぞれ小倉昌男との距離感や接点が違うのに一貫して継続すら意志を持っている。その意志が歴代の社長が直面してきたピンチへの実践において発動されてきたものである。と、小倉昌男の個人の能力の話ではなくて、彼の作り上げてきた企業体質が時代を超えていることの証左がこの本なのでありました。現在、この企業が「働き方改革」を超えてまた新しい改革を成し遂げなくてはならない真っ最中だと、思いますが本書で証明されているヤマトの経営の哲学があれば、きっと乗り越えることが、出来るという明るい気持ちになりました。ガンバレ、ヤマト!
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小倉氏の伝記的な内容かと思いましたが
小倉さん以降の経営陣の話でした。
”サービスが先、利益は後””全員経営”
をどのようにつないできたかということ。
宅急便のサービス改定に対する判断について。
参考になるというか、見習うべきところが
多くありました。やはり基本を踏襲すること
基本に立ち戻ることが大事だと。。。
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・イノベーションは社長にしか起こせない
・イノベーションのサイクル
1.オンリーワンの商品を生み出す
2.ライバルの参入を受け入れ競争環境を生み出す
3.拡大する市場の中で圧倒的なナンバーワンになる
4.最終的にデファクトスタンダードになる
・360度「人柄」評価
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ヤマトグループがここまで伝統と文化を重んじていることにびっくり。社長の定年制や先人の意思を現場まで浸透させる力など、聞けば簡単そうなことが日本のインフラ企業でできていることにさらに驚き。自分の生活を支える企業がここまで改革を進められる流動的な企業だということは日本はまだまだ固定概念に縛られている企業が多いのではと考えさせられた。
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ヤマト正伝 小倉昌男が遺したもの 単行本 – 2017/7/21
小倉昌男氏は今でもヤマトHDの経営倫理上の北極星である
2017年9月18日記述
発行日経BP社。
2017年7月25日第1版第1刷発行。
小倉昌男氏亡き後のヤマトHDの経営陣へのインタビューをまとめている本。
有富慶二氏 瀬戸薫氏 木川眞氏 山内雅喜氏 長尾裕氏の5名のインタビューが載っている。
本書は口述筆記なのだろうとは思う。
ただ誰が編集し書いたのかはっきりせず違和感がある。
もうひとつヤマトの経営陣のインタビューのみで
ある意味一方通行な印象。
独自の分析が欲しい所だし、何か物足りない印象は否めない。
インタビュー記事ならがらも小倉昌男氏の後の
ヤマト運輸、ヤマトHDの経営者達が何らかの経営判断を下す際に常に小倉さんならどう判断しただろうかという意識があったということ。
東日本大震災後の宅急便1つにつき10円の寄付にしても
クール宅急便の問題があった時にすぐに社員達にまず謝ろうとしたことなどを含めてだ。
ヤマトHDの経営者達に今もなお変わらざるべきものとは何かを小倉昌男氏は示していると言えると感じた。
経営倫理上の北極星といった所だろうか。
印象に残った部分を紹介してみたい。
小倉昌男氏が作った社長は63歳で引退せよは今も守られている
都築幹彦(1987年-1991年)62歳
宮内宏二(1991年-1997年)63歳
有富慶二(1997年-2003年)62歳
社長定年制は判断を誤るトップに辞めてもらう制度
トップの判断ミスで会社を窮地に陥らせてはならない。
当初小倉氏は65歳を考えていたが役員会で63歳で切り出したら反対する者がいなくてそのまま決まってしまったそうだ。
今の中華人民共和国で国家主席の定年を伸ばそうと習近平氏が奮闘しているという記事を読んだことがある。
遠い未来を考えれば定年制を守らないと組織は老化していく。
数十年後の中国にとってダメージを与えることだろう。
有富氏は社長定年制を守った上でより優秀な人材がトップに選定される仕組みを設けるべきだと考え、2005年に指名報酬委員会を設置した。
より優秀なトップを選定するメカニズムを作ること
サクセッションプラン(多様な人材をプールしておく)
ヤマトは典型的な労働集約型産業。威張ったり、人の手柄を横取りしたりする人材は向きません。部下には厳しいけれど上司にゴマをするような人材も絶対にうまくいかない。
部下は全部見ていますから。
一般論として人柄の良さが大前提になります。
その上でイノベーティブな人材でなくてはなりません。
社外取締役は社長と同じ経営者の立場で意見を言うこと。
もうひとつは存亡の危機に直面した時に、
そんなことをやっちゃいかんよと言えるチェック機能。
後継者の選定で現役社長の相談に乗るという助言機能。
2005年の持株会社制へ移行し社内のコストセンターを
新たな収益源にしていった
自前のトラック整備→ヤマトオートワークス
ヤマト運輸の整備だけを手が��るコストセンターではなく外からも整備を受注しながら社内のコストを抑えることが目的だった。
同じような取り組みをトラック車輌のリースを手がけるヤマトリースや納品物流、通販物流、国際物流を組み合わせて提供するヤマトロジスティクスなどでも実践し、宅急便とは異なる収益源を作ってきました。
コストセンターを子会社化し、利益が出るまでじっくりと育てていく。
1つの事業が成果を出すまでには4~5年かかります。
その間、事業が育つのをじっくりと待つ胆力が経営トップには求められます。
組織の形を変えることも、事業が育つまで辛抱強く待つことも、社長でなくてはできません。イノベーションは社長しか起こせないのです。
現場のやる気を高めることと直間比率を意識して間接部門を増やさないことが大切。
組織は仕事の増減に関係なく放っておくと自己増殖し肥大化する。(パーキンソンの法則)
20万人近い組織(それも多様な経歴を持つ中途採用中心)では目標を全社員で共有するには、短い言葉で何度も繰り返すこと。
「社長をやるということは、会社の中での演じるべき1つの役に徹することだ」小倉昌男
ゲートウェイ・・荷量の多い三大都市圏については荷物を夜までためず
五月雨式で東名阪のゲートウェイ間を輸送する
最新鋭の設備を駆使して自動化を進めれば、コストを下げながら東名阪の間の当日配達が可能になる
東日本大震災の時は宅急便1つにつき10円の寄付を実施 約142億円
木川氏は9.11の苦い経験から被災地のあらゆる意思決定を東北支社長に全権委任した。
本社の経営幹部に東北支社に本社から指示を出してはいけません。
全て彼にまかせて下さい。ただし相談があった時はきちんと対応するように」と言った。
現地のことは現地で判断する体制を徹底した。
状況が刻一刻と変化する中、何をすべきかは現地の人間が一番分かっている。
東京から次々に指示を出したら結果として過大な負担とやらされ感を与えてしまう。
クール宅急便の温度管理問題が浮上した時はまずルールを守れない状況をつくってしまったとして現場の社員に対し、全役員が謝罪した。
→実態把握には社員の協力が欠かせない。
記者会見で発表した内容と1ヶ月後の本格調査で明らかになった実態と大きく乖離していればたとえ悪意がなかったとしても隠蔽したと受け止められかねない。
再発防止策はこの辺で十分だろうなどとたかをくくらず、ここまでやるのかという所まで踏み込んで対処することも、時には必要です。(クール宅急便の総量規制)
入社試験の最終面接でも小倉昌男氏はなぜを積み重ねる論理性を見ていた。
「経営は論理だ」小倉昌男
商品開発では自分が納得できないと絶対に世に出さない。そして世に出す以上はお客様が間違いなく喜び、サービスの品質も担保されていなくてはならない。
その姿勢は一貫していた。
お客様の立場で見てどうなのか、現場に無理を強いていないか、会社の都合を優先していないか
会社とはフルーツポンチなのだから、人事制度も評価制度もそれに合った形にしなくてはいけない
→たどり着いたのが360度評価
お客様から信頼されているか、お客様のことを考えて仕事をしているか仲間を助けることを意識しているか、誠実であるか、裏表はないか、助け合いの気持ちがあるか、部下の面倒見はいいか
このような人柄に関する項目を設定し、上司だけでなく同僚や部下も加わって
人柄を軸に仲間同士が360度の視点から評価をするようにしました。
360度評価は当初は年に1回、現在では年に2回実施しています。
他の業界でも一時は採用されましたが、今でも運用している会社は少ないのではないでしょうか。
360度評価は、経営側に続ける覚悟がなければうまく運用されません。
ヤマトも最初の3年はうまくいきませんでした。
4年目頃から数値のばらつきはじめた。
「どこまで行っても評価の仕組みに正解はない。正解は見つからないかもしれないけれど、
より良い形を求めていく」小倉昌男
社員がイキイキと働く環境を整えないとサービスが先、利益は後は実現できない。
過去2年分の一時金の支払いの決定、従業員の大幅な増員計画
サービスを提供する第一線の人材を大切にする事とあるべき全員経営を追い求める為。
特にサービス残業になっていた分を一時金として過去2年分支払うとした今回の判断は画期的と言えるだろう。
日本の他企業でサービス残業の罰則など数十万円の罰金レベルばかりでどれだけの抑止効果があるのか全く分からない(ABCマートやドンキホーテ)
厳密には今回の一時金の支払いそのものは必要ではない(グレーゾーンだが)
クロネコメール便の廃止(信書問題)もそうだが、ヤマトHDが経営上のグレーゾーンを作らず正面から堂々と経営していることはもっと賞賛されてしかるべきであろう。
こういった判断に至ったのも小倉昌男氏の公私を分け、倫理観ある経営を行い
それを後の経営者達が引き継いでいったからこそであろう。
現場に認めてもらうには普段から的確な判断を下したり、
うちの営業所の進むべき方向はこうだと方針を示せるコミュニケーション力や実行力など
複合的な力が求められます。
机に座ってふんぞり返って、やっておけと指示をするだけでは誰もついてきてはくれません。
リーダーが自ら手を動かし、率先垂範で働く必要があるのです。