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開高健の著作はまだ一つも、読んだことはありません。阿川弘之の「南蛮阿房列車」に、一緒にカナダへ行った話が面白かったので興味を持ちました。
ウィキペディアで調べると、妻の牧羊子の事が物凄い書かれ様だったので、この本を読みました。しかし遠回しな感じで書かれていて、今ひとつしっくりきませんでした。
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古本で購入。
小説家・開高健と評論家・谷沢永一との、40年にわたる友情の物語。
昭和25年の大阪にある語学塾での出会いから、平成元年の開高の病死による別れまでを描く。
「士は己を知る者のために死す」
という言葉があるが、著者の開高に対する想いは
「士は己を知る者のために生きる」
とでも言えるかもしれない。
ひとりの傑出した男から限りのない信と情を寄せられ、己のすべてを肯定され、期待され、必要とされる。
その篤い信頼をこれ以上ない喜びとし、想いに応え、己の人生は多幸だったとする。男の死以降は余生であるとする。そんな友情がどれだけあるだろう。
彼らの友情は決して狎れあいでも依存でもない、共鳴のようなものだった。著者の「同行二人」という言葉が、まさに真実を表している。
印象的なのは、妻でありながらついに開高を理解しなかった(し得なかった)、詩人の牧羊子への怒りが滲み出ていることだ。開高が牧に「呪いをかけられた」ことに気づけなかった自分への後悔が、どこか入りまじっている。
親友への哀悼をこめた回想録であると同時に、ひとつの青春群像として読んでもおもしろい。
開高のルポルタージュ作品である『ずばり東京』『ベトナム戦記』を読んだことがあるが、高度成長期の東京や戦時下のベトナムに生きるナマの人間を見る目、そして彼らを描き出す文章はとても魅力的だった。
次は小説を読んでみよう。
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著者が、開高健との40年に渡る交流を回想した本。初対面のときから強烈な印象を著者に与え、きらめく才能によって著者を魅了し続けた開高という小説家の人物像が生き生きと描き出されています。
いかにもエネルギッシュな風貌にふさわしい、若き日の開高の豪快なエピソードや、その無邪気な人柄も語られていますが、それ以上に、狙い定めたところへぴたりと当たる言葉を、寸言ではなく大量に降り注ぐ開高の人物像が鮮やかに描かれていて、おもしろく読みました。