紙の本
普通の推理小説じゃないです!
2001/10/15 20:32
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投稿者:ゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通りですが、色んな意味で一筋縄にはいかない推理小説です。そのぶん、読者の好き嫌いが明白に分かれます。
あなたはまず探偵のあまりの多さに驚くはずです。そう、この小説には1人と相場が決まっているはずの探偵役が複数人出てくるのです。
そしてなにより、その探偵が推理した「犯人」の正体を知ると奇妙な虚脱感ともの凄い驚きでショックを受けると思います。
「世の中にはこんな推理小説があるのか」という感じなので推理小説を少しでも囓ったことがある人は
ぜひ見てみてください。
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一見、前作よりも本格らしい作品かと思いきや、そうではなく前作以上にメタ展開・・・?確かに、「コズミックの方がマシやった・・・」という念がある。話自体は個人的には大好きなほうやろうけど、今回はちと強引過ぎる感じがした。説得力が前作よりも無さ過ぎる。前作「コズミック」の展開のほうが説得力があった。今回に関して言えばオチの部分がこじ付け感が拭えなかった。終わりごろまで良かったかな。オチはこうでもアリやと思うけど、ちと微妙。大風呂敷を広げたのに、それを全然収拾していない。前作と一緒に読むとわかる部分があるというが、なんだか中途半端なインパクトしかない気がする・・・前作のアクロバティックさとは打って変って、逆に大人しすぎた作品だと、個人的には思う。
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予告殺人、鎧に閉じ込められた死体、水密室、事件と同時進行で書かれる手記の存在。破天荒、あまりにも破天荒の一言。あり余り過ぎるパワー。しかし、舞台が「幻影城」という閉ざされた建物に限られていることが、むしろスケールを大きくしているよう。限定された条件下で、これだけ様々なことが実験できるのか、という驚き。
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最後の最後まで気の抜けない緊張感がたまらない。JDCの面々の特異なキャラクターなども見所。
最後の真相はドキッとした。
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清涼院の、JDCシリーズで、多分コレが一番読みやすい。
とても好きなシリーズなんですが、分厚いかったり、本自体に仕掛けがあったりとだんだん読みにくくなるので薦めにくいシリーズ。
ミステリ小説をモティーフにしたホテルで、ミステリ小説の作家や評論家達が奇妙な殺され方をしていく。居合わせた探偵、呼び出された探偵。名探偵が多すぎる状況で、黒衣の探偵と作家の間にはぐくまれる友情……。
作中作も、ゲームブック調の仕掛けもなく、ギリギリ難とか、自力推理が可能、らしい(友人に一歩手前までいけた子がいた)
ただ、「コズミック」からよむか「ジョーカー」から読むかで、濁暑院氏の印象がかなり違います。(文庫版だと、コズミックの間にジョーカーはいりますし)
面白いんだけど、読みにくくてめんどくさい、けどキャラは凄くいい……ほんとに、グルグルになる作品です。
竜宮が好きだから、最後まで付き合うけどにゃーー
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コズミックもすごいけどこれもすごい。むちゃくちゃなんだけどミステリーしてる感もある。てゆーかミステリーを詰め込み過ぎて飽和したと言うか…。
キャラ立ちしてるからあまり言われないけど相当作り込まれていると思います。なんだかんだ言って流水さんは好きです。
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私が一番最初に読んだ清涼院流水。値札が剥がしてあるためいくらだったかは判らないけれど確実にブックオフ。大きな転機になりました。何かすごい物に触れて、確実に何かを失った。なんだろう、あれ、なんか、大切なものだった気がするんだけど。
はてさて。清涼院の中では、えーっと、私そこそこ彼の著作を、すべてとは言わないまでも読んでいると思うんですが、これが一番好きです。多分それは一番最初に読んだからです。インパクトぱねぇってことですね要は。この境地にはたどり着きたくない。
でもそう思うと、このころのメフィスト賞は本当にチャレンジ精神に溢れていたというか。いや、最近のを読んでないだけっちゃそうなんで、それは言いすぎました。しかし、舞城王太郎テイストの作品が多くはないか。気のせいか。
話をジョーカーに戻します。多分、初見さんはこの本の厚みでドン引きじゃあないかな……っていう……測ろうとしたら定規が見つからなかったから諦めたっていう……。ページ数?780ページさ……上下二段組でな…値段?1450円くらいさ……ハードカバーなんてもんじゃあない。こいつはただの新書サイズだぜ……。
自画自賛と言ったもん勝ちってのがよく似合う。文章っていうのは書いてあることを読者がそのまま受け入れるしかないわけなので、文に「絶世の美少年」って書いてあったらそいつは絶世の美少年だし、「この部屋は密室だった」って言われたらその部屋は密室なんです。
まぁ、だいたい後で名探偵が謎を解いて、実は密室じゃないんだぜっていうのがお決まりのパターンなわけですが、逆に言えば、名探偵が「実は密室じゃないんです」って言えば、そこはもう密室じゃなくなるわけです。そういうもんなんです。多かれ少なかれ文章っていうのは。
で、その点で言えばこの本は、絶世の美少年どころか、「素顔を見ただけで、そのあまりの美しさに人が失神する美少年」が出てきて、「密室だけど人は壁をすり抜けて中に入れるんです」って言うような、それくらいのぶっ飛び率な訳です。
人としての良識と常識をぶっ壊されたいのなら是非。小学生の空想でもここまでぶっとべるかどうか。
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壁本と言われれば壁本なんでしょうが、ただの壁本ではないというのがこの作品の難しいところ。JDCって確かに新しかったです。
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龍宮城之介!龍宮城之介!
とある登場人物が犯人に殺された時、その人の突然の死も悲しかったが、その時犯人の計画を読めずに、その人を救えなかったと悔やむ龍宮の台詞が、とても胸に刺さった。
普段は飄々としている人物なだけに、こちらも読んでいてビックリした。
このキャラクターが今でも好きだ。
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流水大説は異物なき世界である
そこで生じる犯罪は全て「現象」にすぎない
つまり犯人は・・・・・・わけで
そうなると、ひとつの真相にこだわる探偵たちこそ
世界にとっては糾弾されるべき悪ということになる
これをユートピアと呼ぶべきかディストピアと呼ぶべきか
作者自身も混乱している感はある
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全778P。つ、疲れた...。十数年前に読んだ時は
正直1/3くらいで挫折した記憶がありましたが
今回は最後まで読めました。疲れたけど...。
過去のミステリから現代のミステリを総括して
作者ならでは愛情と敬意と挑戦が絡んだような
総決算的な具材テンコ盛りの作品。見立て、密室、
暗号、アナグラム、首切り、アリバイ、叙述...etc
のガジェットと十戒と二十則がギュウギュウに
詰め込まれ、更に日本ミステリ4大寄書(?)に
対するオマージュのような濃厚さ。
作者の産んだ数々の名探偵達による超絶推理に
よる幾重にも展開される謎解き合戦。
一つ一つの謎や殺人に一応の決着ち解決を持たせ
ラストに世界がグルンと一周するうような
トンデモな決着は賛否は別としてまさかの
着地点。善し悪しは別にしてここまで予測することは
もはや出来ないんじゃないですかねw。
確かにコズミックと一体の世界感...読み終えてみると...
納得。
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陸の孤島(ありふれた文句だね~)「幻影館」で起こる
連続殺人事件
JDCの面々は、その謎を解くことができるのか
長い!長いよーーー!!
コズミックは「なんじゃぁーーこりゃぁーーー!!」
だったけど、これはひたすら「しつこいッ」(笑)
それにしても、この事件って
コズミックの数か月前が舞台なわけで、
ってことは順番通りコズミックから読んでると
「この人ここで死ぬんじゃなかったっけ?」ってなるわけで(笑)
それってどうなの??
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京都府某所に建てられた巨大な旅館・幻影城。ここには毎年春と秋に、関西在住の作家たちとその家族が合宿をしに訪れる。
彼らとは別に幻影城を訪れた、旅館の主人から「キリギリスさん」と呼ばれる初老の客や、二人の参加者によるトリックの盗作を巡る喧嘩など、所々で不穏なものが感じられるその晩、参加者の一人が、「推理小説を構成する要素を全て盛り込んだ物語」の執筆宣言をした。しかも、舞台はここ幻影城、登場人物は幻影城内にいる全ての人間だという。
途方もない挑戦に傑作誕生の期待が高まる参加者の面々。その翌日、第一の被害者が異常な状況下で発見され――。
連続して起こる不可解な謎と殺人。入り乱れる登場人物。そして、逆転に次ぐ逆転を繰り返して読者を翻弄する登場人物たちの推理。
果たして、登場人物の誰が全ての真相を暴き、事件を解決に導くのか。犯人、【芸術家/アーティスト】の目的と正体は。
これは、推理小説を愛する人に作者が送った、――挑発状だ。
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挑発状。この一言に尽きると思う。
推理小説好きにはたまらない構成と展開。だがその結末は、推理小説好きには受け入れ難いものになったはずだ。
推理小説を構成する要素を全て盛り込んだ物語は、果たして推理小説と呼べるのか。
この矛盾を内包した物語。推理小説好きなら、一度は読んでみてはいかがだろうか。
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コズミックの壮大感に比べると、物足りないような気もしたけど、真相が気になって一気に読めた。たくさん探偵が出てくるのですが、九十九十九は神がかってますね。彼が出てくると安心します。
JDCシリーズはまだあるようなのですが、んー、お腹いっぱいなので、しばらくはいいかなと思います。
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☆をどう付けたら良いのか…。
3つにしてみたけど、そういう次元で語るべきでない作品な気がします。
若い。
文章の美しさとか構成の緻密さとか、そういうことは打ち捨てて、とにかくアイデア勝負っていうのかな…降りてきたアイデアを零れ落ちないうちに書き留めておかないと!みたいな勢いを感じる作品だった。
「清涼 in 流水」のアドバイス通りに先に『コズミック』上巻を読んだんだけど、『ジョーカー』は文庫版が見つからず、仕方なくノベルズで読みました。
(大丈夫? 文庫化する際に加筆してないよね?)
ミステリオタクが住む幻影城なる館に合宿に来た「関西本格の会」所属の作家のうち、2名が一夜のうちに他殺体で発見される。傍らには「芸術家(アーティスト)」を名乗る犯人(?)からの連続殺人予告状とも取れる紙片が…。
たまたまJDCの探偵が同宿していたことで、JDCから第一班の探偵が派遣されるも、事件は連続殺人へと発展してゆく。
「関西本格の会」メンバーの一人、濁暑院溜水はこの事件の記録者としての啓示を受け、「芸術家」のメッセージから取ったタイトル『華麗なる没落のために』の執筆を始める…。みたいな。
なんていうか、アイデア最優先で体裁が整ってないというか、説明が行き当たりばったりだし、その割には無駄な描写が多いし、登場人物の過去が誰も彼も壮絶すぎるし、人物の個性が書けてないから誰が誰だか混乱するし、いろいろネタ詰め込み過ぎだし……言いたいことは沢山あれど、「小説」の枠組みから逸脱した、いや、枠を壊しにかかった作品なのだろうと思う。
「小説じゃありません大説です」と言いたい気持ちは伝わった。
でも、古いと言われようがやっぱり小説に文章の美しさとか洗練された構成とかを求めてる自分は、イマイチ集中して読めなかったかな。
文章を味わう系じゃないと気づいた時点で、ちょっと流し読みっぽくなっちゃった。
JDCの面々の個性も曖昧で、世間の(一部の)嵌った人たちのように世界観を共有出来なかった。
探偵達の能力が優れてる優れてるってしょっちゅう書かれてるけど、螽斯にも霧華舞依にも九十九音夢にも正直あまり凄さを感じなかったし。
それだけに、龍宮城之介のキャラと推理力が際立って見えてちょっと心を摑まれた(笑)。
ネタ元が四大ミステリとかミステリの古典的作品だったりしたので、読んでない書名が出てくるたびにネタバレしてないか不安になった。
多分コアなミステリファンには受けるネタばかりなんだろうけど(多分諸々の固有名詞がオマージュになってる)、そこもちょっと内輪で楽しんでて一般読者に向けてない印象を受けた。
言葉遊び的な推理も、それが解けたからなんなの?的なモノが多くて、何だかな。
とどのつまりは詰め込み過ぎなんだと思う、やっぱり。
九十九十九がやってきてやっと幾分ミステリらしくなった。一応納得行く謎解きだったし。
だから犯人は魅山薫でいいと思う。誰でもいいなら。
魅山で納得したのに、本当の実行犯は小杉少年って言われたらせっかく合った辻褄がまたズレちゃうじゃないですか。虹川の偽装告白文とか、魅山の偽遺書とか…。
挙げ句に誰でも良いなんて言われちゃった暁にはどうしたらいいんだ。
十九は振る舞いがスマートで好感が持てる。美しいって設定はあまり伝わらなかったけど。
甲冑の密室が解明されないままなのは斬新だった。そのほかの拾われなかったままのいくつかの伏線も気になったし、殺人の不明点も放置されたものあるし、「伏線回収されてスッキリ♪」ってところを目指してないのだろう。
冒頭から「最後の一行」が強調されてるけど、どれが最後の一行なんだろ(笑)。「読了」かな。
自分の中ではスッキリ落ちなかったんだよな…、多分作者の意図が分かってない。
(やっぱり文庫で読むべきだったかもしれない)
キャラ小説として見たとして、自分が若い頃に読んでればもっと嵌っただろうか…。
京極夏彦を知る前だったら…(笑)。
(以下、『コズミック』読了後の追記)
作者の希望通り『コズミック』読む前に『ジョーカー』読んで良かったわ(ネタバレ的に)、くらいの感想しかなくて、自分が明らかに理解してないと思ったので、解説サイト読みました。
えーこっちもみんな密室教なの?? だから犯人は誰でもいいの??
その前提で読み直すといいのかもしれないけど、もう一度読む気力がありません(笑)。
それより、最後の「読了」が改めて気になってきた。『コズミック』ほど整理されてないから作中作の範疇が分からないんだよな…。
『ジョーカー』で作者がやりたかったことがよく分かってない、ってことは分かりました。