紙の本
7年間の闘い
2016/02/14 10:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:swing29 - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹宮惠子と萩尾望都を中心とした花の24年組といえば、よそ目には。順風満帆に少女マンガの世界を改革していったように思えたのだが、そこに至るまでには編集者との対立、闘病等非常な苦労があった。
表題のジルベールが登場する代表作「風と木の詩」は構想から発表まで7年、耽美な少年愛を理解できない編集者によって企画そのものがボツにされ続けていた。
天才かと思っていた竹宮惠子は、努力と執念の人であった事が分かる。
紙の本
漫画だと思って買ってしまった…。
2016/08/28 08:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きん☆ぎん☆すなご - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹宮恵子ほどの大御所作家でも生みの苦しみ、スランプの3年間ってのがあったんだ。妬ましいほどの才能を持つ萩尾望都を目の当たりにしてよくも挫折せず描き続けてくださいました。私は、萩尾ではなく間違いなく竹宮ファンです。
私が少女漫画を読みだしたのは、花とゆめの和田慎二、柴田昌弘などどっぷり少女漫画ってほどの作家でないほうから入ったので、竹宮恵子を知るのは1990年ちょっと前の頃だったように思う。ファラオの墓、イズァローン伝説などから入ったが、綺麗で丁寧な絵と物語性に惹かれて読み漁った。なんで、ほぼスランプを脱したところからの竹宮恵子しか知らないことになるが…。
確かに、風と木の詩を読んだときは衝撃だった。「男の子同士の微妙な友情って、いったい何なんだよ。ボツだ、ボツ」って言うYさんの気持ちは良く解る。だけどその後、少女漫画をよっみ漁っていくと、男同士話の多いこと多いこと。おかげで気にならなくなり、僕の少女漫画のコレクションが一気に増えた。これも竹宮先生様様です。一番のお気に入りは、『私を月まで連れてって』ですが…。
これを読んで、ファラオの墓、風と木の詩を読み返そうかと書庫を漁ったが、無い…、引っ越しの時に捨てられた…。悲しい。
投稿元:
レビューを見る
少女漫画のトキワ荘「大泉サロン」。トキワ荘に比べると、その本人によって語られることはあまりなかったように思う。トキワ荘も激動の時代ではあったと思うけれど、大泉サロンの時代は「漫画」自体は確立される中で「少女漫画」を切り開いていく、社会としても人間としても苦しみの多い時代だったのではないか。
その中でもやっぱり「萩尾望都」と「竹宮惠子」の関係性は、ずば抜けて苦しくて深い。そこに「増山法恵」という特殊で重要な人物がキーパーソンとしてガッチリと絡み、なんと残酷で美しい奇跡があったのだろう。
何故これほどまでにと思うようなエネルギーとそのぶつかり合いがなければ、長い年月を経てもなお残るものにはならないのだろうなと。
時は流れ、今は穏やかな大河のような先生方も、時には妬み苦しむ一人の人間であり、その一人の人間が生み出したものが受け継がれ、しかしまだそのエネルギーは枯渇していないというのがまた凄い。いやあもう凄い。
投稿元:
レビューを見る
色んな事情があり、本屋で見かけて手に取るものの、未だ購入まで踏み切れず。
私がこっちの世界に入ってしまったのは『風と木の詩』の14巻を手に取ったからだ。10代の間はジルベールと言うアイコンに支配されていたと言っても過言ではない。正に美少年の代名詞だった。「耽美」「頽廃」の象徴。…が、私はサバイバーの方が好きなのだ。什造の様に。現在、手元に『風と木の詩』全17巻は残っていない。竹宮作品は一冊も手元にない。30代の時にJUNEを代表としてその手のオリジナルJUNE漫画を全て処分した時期があった(他のものに興味の大半を奪われたから)。何故処分出来たか、それはジルベールが「堕ち」て終わってしまったからだろう。愛するセルジュと一緒に逃げ出しても、現実に勝てなかったジルベール。彼は幻想の中に生きる方を選んでしまった。これを「耽美」「頽廃」とし、読者として正に耽溺するのが「好きじゃない」と気付いてしまったんだなぁ。今読むとまた違って読めるのかもしれんが、その時髙村薫を読んでしまったんだよ…
「耽美もの」と言うのは「頽廃」であるべきで、その悲壮さに正に「耽溺」するものなんだろう。思いっ切り「空想」の世界にダイブすると言う事だろう。…が、私はやっぱどんなに悲惨な状況にあろうと、そこから生き延びるサバイバーの方に感動を覚える。堕ちていくのは麻痺状態にある事だと思うしなぁ。美しさに思いっ切り耽る事の出来る類まれなる美貌の持ち主だったジルベールだからこその結末だろう。耽るに徹したらああなってしまうわな、と言うのにも納得してる。ハッピーエンドで終わればあの作品を今も手元に置いていたか、と言うとそうでもないだろうと思うし。なので買うの躊躇したままだわー。中性的な美貌の持ち主、って冠が着くと「鈴屋什造の方が好きだしな」ってだけのことだな、恐らく。
作中に(うろ覚えだが)悲鳴を上げるくらいならなんで自分から誘ったんだ、的な表現があったと思うが、冷静に振り返ると、学校と言う公共の場で破廉恥行為、自分で誘っておいて本番になったら苦痛で被害者面、ビッチの典型、実際にいたら恨み買って刺されるのが落ち。実際こう言う女いるしね。これを性的虐待被害者の典型、と見るとまた読み解き方が変わるんだろうけどなぁ…同じびっちでも矢代くらい強くなって欲しいのよ、打ちのめされたからこその強さと言うか。内面に傷は抱えていても、さ…自分を憐れめば堕ちるのなんて簡単だよ、って何年も生きてると解るんだよね。堕ちる一歩手前で踏ん張る事の苦しさ、諦めてしまえば楽なのに、と言うのが解ってしまう。だから堕ちた所から浮上した人間の方に素直に感動してしまうんだよ。経験値の低い十代だったからこそ読めたんだと思う。
『風と木の詩』や『トーマの心臓』『日出処の天子』の様な作品が生まれなければ、もしかしたら現在本屋の一角を占める「BL」と言うジャンルの発展はなかったかもしれない。そう言う意味で、生みの親的な24年組のドキュメント的には非常に興味が湧く。
投稿元:
レビューを見る
風と木の詩が大好きで、竹宮先生のファンなので今回の刊行は本当に嬉しかった。
読んでいて伝わってくるのが、どれだけ先生が風と木の詩を描きたかったのかということ。先生の思い、時が経ってもたくさんの人の心に届いています。
ヨーロッパ旅行なんて本当に楽しそう。20そこらの4人で、最高の時を過ごされたのでしょう。今振り返っても覚えている、濃密な時間を。
風と木の詩最終巻の単行本のエピソードはうるっときました…。
山本さん、本当にありがとうございました。
投稿元:
レビューを見る
『風と木の詩』ほかの「創作秘話」と言うよりは竹宮先生の青春記の色合いが濃い内容でした。
先に自己の作風と編集者の信頼とを確立した、デビュー当時の萩尾先生への劣等感、嫉妬、そしてなかなか思うように自らの漫画道を拓けないことへの焦燥感に関する回想がかなり生々しかったです。
投稿元:
レビューを見る
現・京都精華大学学長である少女漫画家・竹宮惠子が
自身の名を不動のものとした『風と木の詩』の連載を
勝ち得るまでが中心に描かれた初の自伝である。
私の育った場所が練馬区大泉学園だったこともあり、
少女漫画のトキワ荘(今の子ってトキワ荘も知らないんですよ。。)、
「大泉サロン」の名前はずいぶん前から知っていたけれども
こんなに生々しい自伝が出たのは初めてではないだろうか。
『風と木の詩』の竹宮惠子と、『ポーの一族』の萩尾望都が
大泉サロンでいっしょに暮していた時期があったのは皆のしるところ。
ひとところに、不世出の才能がふたつも集まってしまったことによって、
まだ年端もいかない少女たちに、こんな苦しい青春があったなんて。
あとからこうして読んでみれば、それはまさに少女漫画さながらだ。
学生運動真っ只中の時代に、
「少女漫画で革命を起こす」と誓った努力型のヒロインと
絶対的な才能をもって軽やかですずやかな、
誰もがすでに認めている好敵手。
時代の空気も熱い。
漫画を創るすべての人たちが熱い。
この時代に生まれたかった。
いや、彼らから受け継いだ漫画を
死滅させないように
我々はここで踏ん張るべきで、
私はもっと漫画によりそうべきなのではないだろうか…!
昨夜から胸が熱いまま。
『さらば、わが青春の週刊少年ジャンプ』に並ぶ私のバイブルとなりました。
今は電子書籍黎明期。
彼らくらい熱い夜明けを体験することが可能なはず。
私もまだまだ頑張りたい。フォー!!
投稿元:
レビューを見る
あの革命的な作品「風と木の詩」が世に出るまでのお話。モーさまへの嫉妬、スランプのくだりはこちらも胸が苦しくなるほど。
投稿元:
レビューを見る
少女漫画の世界に「少年愛」を持ち込んだ革命児・竹宮惠子先生の自伝。プロの漫画家として上京してから「風と木の詩」の連載が始まるまでの7~8年の出来事が詳細につづられている。短期間ではあるが大泉で同居した彼女の最大のライバル・萩尾望都先生や、彼女のプロデューサー的な存在であり戦友(?)でもあった増山法恵氏との出会い、この3名に山岸凉子先生を加えた4人で出かけた40日間のヨーロッパ旅行、そしてジルベールと風木の設定が出来上がった深夜の8時間の電話などを活写している点は、今後、少女漫画の歴史を紐解く上で重要な参考文献となるであろう。
投稿元:
レビューを見る
萩尾先生の作品は網羅しているつもりだが、竹宮先生は「風と木の詩」と「地球へ…」しか持っていない。
きっとそれで充分なのだ。そして稲垣足穂を読んでいないワタシはきっとモグリだ。
投稿元:
レビューを見る
もともとあった才能が漫画家として上京して増山法恵(萩尾望都のペンフレンド)や萩尾望都との出会いによってスランプはありながらも更に花開いたという感じか。
でも、あの萩尾望都(デビュー当時からその才能は高く評価されていたみたいだ)同居は辛かった思うわ。
あの稀有な才能を前にいくら年が近くて話しはあったとしても、嫉妬や羨望は抑えがたったはず。
まぁ、だから大泉サロンを出ていくことになるんだろうけど…。
あと担当の編集者がYさんからMさんに代わったことも”風と木の詩”を連載された大きな要因だったんだね。
編集者との出会いも大きかったんだと思う。
この本を読んだら、”風と木の詩”を読んでみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
竹宮惠子の時代のトキワ荘でありバクマン。
そして圧倒的な萩尾望都賛美。
天才を前にのたうち回りながら自分が描けるもの生み出せるもの創れるものにただ向き合う、辛く長い物語。
竹宮惠子より萩尾望都が好きだったのだけれど、これを読んでなんとなく納得した。
投稿元:
レビューを見る
団塊世代の人物に大いに興味があるので、竹宮惠子の漫画は読んだことがないが、なぜか親近感が沸いて思わず購入。
投稿元:
レビューを見る
「風と木の詩」への想いの強さが,意気込みが伝わってきます.編集者との駆け引きもリアルです.そして何より大泉サロンが素晴らしい.竹宮恵子氏と萩尾望都氏の魅力が創った奇跡のような稀有な空間だと思いました.
投稿元:
レビューを見る
作者の漫画に対する熱意がすごくて一気に読んでしまった。「風木」を読み直したくなった。それと「変奏曲」シリーズも。