「ネプチューン」と表題作の2作を収録。心に痛い素子ワールド
2002/05/22 23:55
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投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ネプチューン」
近未来、マリン・シティの海で学生に発見された謎の美少女。
発見した3人の学生たちは、彼女に「ネプチューン」と名付けて
面倒を見ることにする。
そして、彼らの保っていた微妙なバランスが…。
4人の、それぞれの想い。
それぞれの、片方だけに矢のついた矢印。
切ない想い。
そして、ネプチューンの正体が明かになるとき、彼らを襲う大きな陰謀。
切ないような、なんとも言えないような気持ちになりました。
「今はもういないあたしへ…」
事故による昏睡から目覚めた後、享子は、なぜとも知れない違和感に
苦しめられていた。
その違和感に、なぜか不自然なほど合致する数々の悪夢。
自分は、事故の後、どうなってしまったのか。
それに、疑問を感じずにいられないなんて、なんて恐ろしいこと。
婚約者義雄。
彼が、優しければ優しいほど、増える罪悪感。
自分の存在に疑問を感じていて、義雄は、そんな自分も全てひっくるめて
受け入れると言ってくれる。
彼に、以前のような想いを抱けなくなったことが、すまなくて。
でも、そんな思いとは裏腹に、どんどん心に浮かび上がってくる
自分のものではないはずの記憶。
その全容が明らかになったとき、言うに言われぬ怒りを覚えずには
いられませんでした。
それと、深い哀しみと。
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投稿者:アリス - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ネプチューン」と「今はもういないわたしへ」の二作品です。
二つの作品の世界観が似ているので、両方、好きな人が多いと思います。近未来サスペンス。と、いうか。
個人的には、「ネプチューン」の方が好きかな。どっちかというと、悲劇なので、新井素子さん的、コメディの要素は少ないかも。「今はもういないわたしへ」の輪廻観というか、脳だけが人間の心ではない、という考え方に共感できました。
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投稿者:不思議 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この短編小説実に切ない、ラストに無情を感じます。
読み終えた後に残るこのもやもやした悲しみは何なのでしょう?
救いがありません。思わずほろりと涙が流れてくる小説です。
この作家最近の小説は全く読んでいないので分からないのですが、絶句、二分割幽霊奇譚、グリーンレクイエム、ディアナディアディアス、ひと目あなたに、などさまざまに読み応えのある本を出している完成度の高い作家の一人です。
女流作家の中では私的には一押しの作家ですよ。
昔この作家の小説をFMラジオでFMアドベンチャーと銘打って流していたこともありましたね、今となっては懐かしい思い出ですが、これから読書でもはじめよう考えている人には入門書としてお勧めです。
ぜひご一読を!!
悲しいサイエンス・ファンタジー
2002/05/22 22:48
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投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
悲しくやり切れない思いが残るサイエンス・ファンタジー。生きているとは思えない程の大事故に見舞われた記憶がある「あたし」は拭い去れない疑問を突き詰めようとするが…表題作の他、遥か彼方から運命の出会いのために現れた女の子を描いた「ネプチューン」の2作品を収録。昭和63年に今は亡き大陸書房から出版され再刊。10年以上ぶりに読み返してみましたが変わらず面白く読めました。ただちょっと悲しすぎてどんより…。
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沈んだ気分のときには、絶対に読みたくない話だ……。彼女は世界が終わるまであそこで待っているんだろうか?
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懐かしい一冊。中学生の時読んでたなあ。ネプチューンが好きですよ。ラスト間近のさかのぼっていく描写が泣ける。
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理系の学校に通っていたけど、「クローン」って言うことに対する認識はこの作品で培われたかもしれない。ネプチューンも切なかった〜
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素子さんも早くブラックキャットとかの続きを書いてほしーわ。で、この本を読んだんですけど、それは結婚する前後ぐらいのえらく昔のことでよく覚えていない。ネプチューンは悲しい印象があって、今はもういない……ってのは先の読めるパターンの話。'88
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私の大好きな新井素子氏の本。
表現のきれいさが好きです。
表紙にも惹かれます!
「ネプチューン」と「今はもういないあたしへ」の2本収録。
すっごくオススメ!
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表題作「今はもういないあたしへ…」、 23世紀の海上都市を舞台に生物の進化する
意志、時を超えた想いを描いて1982年の星雲賞日本短篇部門を受賞した
「ネプチューン」の二篇を収録。
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事故により昏睡状態になった主人公。
昏睡状態から目覚めると、なんだかとてつもない違和感が湧きあがる。
自分が自分でなくなる恐怖がふつふつとわきあがってきて。。。
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二編の小説でしたが、両方とも後味が悪かったです;
表題作は特に。心はどこに存在するのか…深遠な世界。だけどなんか軽く感じました。
合わなかったかも:
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2253年の海を舞台にした、生物の進化のお話、「ネプチューン」。と、交通事故で瀕死の重傷を負った女性(享子)ほ、半年間の昏睡状態から目を覚ます。しかし、なんだか変な非現実感を感じ続け、「自分は死んでいる」という悪夢を見続ける。彼女に、どんな事実が隠されているのか・・・という「今はもういないあたしへ...」の2編です。
「ネプチューン」
「自分の知らない世界へいってみたい。自分の知らない世界を見てみたい。」という23世紀の1人の青年の想いが、カンブリア紀(進化の始まりの頃、なんだそうです。)に持ち帰られて、生物の進化がはじまったのだ、というような終わり方がステキだと思いました。物事には、偶然なんかはなくて、全てが必然だということなのでしょうか。ただ、私には、由布子、洋介、正行、3人の恋愛の動きというか感情の動きがなんだかしっくりときませんでした。ネプチューンの感情はさすがにストレートで、納得できました。あと、環境に目を向けていかないといけないなぁと思いました。茶色の海になってしまったら寂しいので。
「今はもういないあたしへ・・・」
知り合いの方に薦めていただいたお話です。「クローン」という技術について、「心」というものの正体について、考えさせられる話でした。心が今の自分のものと違ってしまうなら、体は生きていても、本当に生きていることにはならないんだなと思いました。死んでしまったもう一人の自分(自分のクローン?)の意識を持ちながら生きていくなんて、普通の精神の状態を保ち続けられるわけがないし、そんなのキツ過ぎる。一方で、このお話のような医療技術が確立する日も、そんなに遠くないうちに来るんじゃないかと思ったり。やっぱり、心って不思議だと思いました。実際に、臓器移植や、大量の輸血で性格が変わった、なんてニュースもありますもんね。(話がずれてしまいました。)このお話は、ラストで胸に穴が開いてしまったような、一人の女性の悲しいお話でした。
印象に残っているところは、「脳があたしだったんじゃない、あたしの体、そのすべてが『あたし』だったんだ。」です。
(古本屋さんで、250円でした。)
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少女マンガですね!中高生のときに読みたかったなぁ。ネプチューンの話のがすき。洋介って魅力的な伽羅ですねvいかんせん彼が活躍しないのが残念でした。ようするに男は夢より安定感!で選べっていう教訓ですね。海を青くするためにがんばる人の話とか見たいなぁ。
あたし・・・にしても、ハッピーエンドじゃないのがいまいちでした。一時期この手の移植した人の臓器が云々って漫画結構ありましたね。救われない系は今はあまり読みたくない。
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「今はもういないあたしへ……」と「ネプチューン」のSF中編2作の収録作である。特に「今はもういないあたしへ……」に一言。発表された当時もこの文体に賛否両論だったというのは後から知った。
言葉の選び方の大切さをこの本で学ぶことができた。第二次言文一致運動であると賛成した方もいたらしいが……
話し言葉は基本的に生ものである。流行り言葉は長い年月に耐えうるものではない。
この物語は、80年代の女の子の話し言葉で物語が綴られる。
実にダサすぎて参る。この鼻につく話し言葉で、物語のコアまで辿り着けない。物語の構成も冗長だ。交通事故に遭った少女の、生きてるのか死んでるのかわからない、謎が謎を呼ぶ物語。少女の延々と続く思考のループに嫌気がさして、何度本を閉じたことか。それまでして読むほどのものでもなかったなあ。
もう一作の「ネプチューン」は23世紀の未来の海洋汚染が進んだ日本に現れた一人の美少女が、とある仲良し大学生グループに波紋をなげかける物語。ダサさが薄まった感のある、こっちの作品のほうがまだ読めた。