紙の本
最高にムダな知的興奮
2017/12/30 15:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通りに、変なテーマやタイトルの論文を取り上げている。ただし、中身が「ヘン」というわけではなく、学術的な内容であると推察される。ヘンな論文を単に揶揄するものになっていないのは、筆者が「面白い(interesting)」と思って、論文と向き合い、何が面白いかを軽妙は筆致で叙述しているからではないか。真面目に面白がっているので、論文の筆者とも交流が続いている場合があるというのも納得である。
筆者自身も修士論文をものしている文学修士であるため、取り上げた論文の見方はなるほどと頷けるところが随所にあって、「最高にムダな知的興奮!」という帯のキャッチコピーはなかなか上手いことを言っていると思えた。
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<目次>(原本は「第×本目」の表記)
第1章 「世間話」の研究
第2章 公園の斜面に座る「カップルの観察」
第3章 「浮気男」の頭の中
第4章 「あくび」はなぜうつる?
第5章 「コーヒーカップ」の音の科学
第6章 女子高生と「男子の目」
第7章 「猫の癒し」効果
第8章 「なぞかけ」の法則
第9章 「元近鉄ファン」の生態を探れ
第10章 現役「床山」アンケート
第11章 「しりとり」はどこまで続く?
第12章 「おっぱいの揺れ」とブラのずれ
第13章 「湯たんぽ」異聞
ほかコラム6本。
熱文字や許可局で間違いなく同じ趣味だとわかるサンキュータツオ氏の「国語辞典の遊び方」に続く本。
論文の面白さもタツオ氏の突っ込みの的確さもそもそもこの企画の素晴らしさも、実に美味しい本だった。
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研究とはエンターテイメント。
偉大な?謎の前に、ああだこうだ。
プロセスと結果の面白さ。
珍論文には役得がないかわりに、純度の高い情熱が詰まっている。
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"大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する知的エンターテインメント本!"。 ―― https://bookmeter.com/reviews/68939902
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論文は正しいことを言っているのではない、正しいことを求めた人々の知的好奇心のアウトプットである。
溢れる好奇心を抑えきれなくなった人たちが、時に宇宙の深淵に迫り、時に走行中のブラジャー着用時の乳房振動を調べたり、湯たんぽの来歴を追う。世界を変える論文から本書に収められた珍論文まで、論文ーー人々の研究とその表現はそういう知的エンターテイメントなのだな、ということがよく分かった。
これは芸人である著者の、伝わりやすい言葉で語られている功も大きい。そして、論文には物語の種が仕込まれていることも知れた。面白い。
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真面目に不真面目な学問の世界。
院生だった頃を思い出す。学習じゃない、研究をすると言ったら、自分の疑問をトコトン追求できる環境があることに嬉しかった。確かにタイトルを見れば「!?」と思うような論文が挙げられているが、本人たちは至極真面目に、この研究が社会に役立つ、世界を変える、と思っている。その熱さに乾杯。
一人ひとりが情熱を注いだ成果の上澄みだけ掠め取っていく輩がいることに、そうたいした研究じゃなかったけれど自分なりに時間と情熱を捧げた一人として、激しい怒りを感じます。
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珍論文コレクターの著者が集めた論文の数々を紹介した一冊です。万人に共感されるトピックだけが学問ではありません。賢い人が興味を追及するとこんな大作が生まれるのだなと、各章を読んでいてとても愉快でした。こんなの役に立つのかと思ってしまうのですが、収集された資料や論理的に記されたフローチャートがきっと今後の我々の生活を更に豊かにしてくれるのかしら…とポジティブに捉えています。
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世の中には、こうもヘンな(勿論大マジメな)論文があるんだととても関心した。著者が後半指摘している研究の本質には感銘を受けた。実際に、インスタントコーヒーをスプーンでかき混ぜると音が高くなってとても感動した!
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愛人とも奥さんとも上手くやってる不倫男の心理を分析した論文が面白かった笑
「学問」とは、何かに取り憑かれてしまった人のコク深い行き着く先であることを知る一冊。
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奇をてらい無理やり理論を組み立てた悪あがきを笑い飛ばす内容かと思いきや、至極真面目な研究成果の紹介でした。
真の学者は、自分のプライドよりも、とにかく「真実」に重きを置く。
今までわからなかったことが知りたいだけなので、地道にデータをとり謙虚に分析している。
理系人間だからでしょうか、個人的には「コーヒーカップとスプーンの接触音の音程変化」のアプローチのしかたと謎が解けていく過程が面白かった。
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高校生ビブリオバトルの全国大会(決勝大会)にて販売されていました。地方予選のチャンプ本として全国に出てきた本の要です(この本の発表は組み合わせの関係できくことができませんでしたが)。
大学や大学院の教授をはじめ、特定の研究分野に特化した論文をとりあげ、その目の付け所の「面白さ」に対して芸人でもある著者がツッコミを加えながら論じる、という構成。
全部で13本の論文が取り上げられていますが、そのチョイスも、筆者のコメントも読みやすくてよいと思います。
なにより、これから大学や大学院に進学する人に対して、研究や「学問=”問いに学ぶ”」の面白さを知ってもらうきっかけになるのではないかと思います。
筆者のコメントにもある
「大学全入時代になって久しいが、大学の学部生までの勉強は、ほぼ「確定しているっぽいこと」を覚える、という作業でしかないので、学部卒で社会に出る人はあまり学問の本当の面白さに触れないで終わってしまうことが多い。これは残念なことである。▼学問の面白さは「わからないこと」にどう立ち向かうか、という点にある。立ち向かうときに知識がどうしても必要なので、それまでの「覚える」作業も体力づくりとして必要なのだが、そうなると、人は22歳くらいまではずっと「基礎練習」をしていることになる。つまり、「試合」の面白さを知らずに終わるのだ。最近では卒業論文すら書かなくても卒業できる大学も増えたので、ひたすら「ほぼ」確定していることを覚える、というのが学問だと誤解している人もいる(p.233~224)」
という部分は、ぜひ大学生や大学受験をひかえる高校生に読んでもらいたいと思います。
また、13章で取り上げられている「湯たんぽ」の研究論文とその剽窃問題については、メディアリテラシーとして身につけておくべき最低限のマナーについても考えさせられます。
また、あまたある研究を
①「人間とはなにか」の「いまどうなのか」の研究
②「人間とはなにか」の「いままでどうたったのか」の研究
③「この世界とはなにか」の「いまどうなのか」の研究
④「この世界とはなにか」の「いままでどうたったのか」の研究
という4種に分類して考える、という視点も、よく整理されていてわかりやすいと思いました。
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自分の興味にピッタリ当てはまる本。日常のどうでも良さそうなことに色々妄想をかきたてる自分からすれば、こういう本は面白ありがたい。
研究者や手法など、プロセスを含めて説明されているため、ありがちなネットコラムとは違い、納得感がある。
好きだったのはコーヒーカップと猫の話。どうしても興味が持てなくて読まなかったのが二本有り。
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難解なイメージがある学術研究の世界。一見ばかばかしい研究論文が、人間社会の真理を鋭く突いている。大真面目な珍論文を芸人ならではのツッコミで解説する知的興奮本。
Eテレ『ろんぶ~ん』に触発され購入した一冊。真理を追求する全てのものに無駄はない。そして、『湯たんぽ』無断引用事件のようなことは、研究者を冒涜するもっともやってはいけないことでもある。
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芸人で学者のサンキュータツオ氏が、変な論文を紹介する。
いたって真面目に書かれているが、真面目になればなるほど込み上げてくる笑い!
特に、次の二つが面白い。
1 公園の斜面に座る「カップルの観察」(傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離 小林、津田2007)
カップルが座るとき、どのくらい他のカップルと離れて座るか、昼間帯、夜間帯で違いはあるのか?
デバガメかこの研究は。
ち、違いますって!
これは、いわゆるパーソナルスペースの研究ということ。
たしかに、すぐ近くに他人がいるのに、あんまりいちゃつくのは、ねえ。
知らないおっさんのすぐ隣でわざわざいちゃつくのは、ないね。
っていうかおっさん近いよ!ってなるでしょ、まず。
非常に面白い研究なのだが、でもやっぱりそこはかとなく漂う、デバガメ感。
2 「おっぱいの揺れ」とブラのずれ(走行中のブラジャー着用時の乳房振動とずれの特性 岡部、黒川2005)
は、なるほど!も、そりゃすごい!もへぇ!もあって、とにかく面白い。
ブラのズレというと、エロちっくな妄想をしだす御仁もいるかもしれないが、結構これは深刻な問題なのである。
伸びをした時にズレた、走ったらズレた、そうすると胸が揺られてクーパー靭帯が伸びてしまい、ハリのあるおっぱいでなくなるのだ。
美容面からも、精神面(またズレた!ムキー!)からも、おっぱいとはかくもデリケートなものである!
そしてこの一見ふざけた論文は、そうした女性たちのストレスの解消、つまり、快適な下着の研究開発につながり、私たち女性はその恩恵を一身に浴びるのである。
いいですか、もう一度言いますよ、これはエロではないのです。
実用なのです!
他にも「不倫男の頭の中」(婚外恋愛時における男性の恋愛関係安定化意味付け作業ーグランデッド・セオリー・アプローチによる理論生成ー 松本2010)も興味があるが、夫に話したら本気で嫌そうな顔をされました。
「妻(私)とは家族でいたいの。裸で歩いてるぐらいなんなの?!」と。
思わぬところで幸せを得たのでありました。
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古今東西のちょっと変わった論文を紹介するエッセイ。
気になる論文の内容は…湯たんぽの研究、公園の斜面に座るカップルの観察、世間話の研究、などなど。
タイトルだけで、んん?と興味を惹かれるものばかり。そんな変わった論文を、研究者へと学問への惜しみない尊敬と愛情込めて面白おかしく紹介しています。
「ヘンな」と名打ちつつも、その「ヘン」には親しみが詰まっていて、呼んでいてて非常に面白く痛快です。
ヘンな論文探し、自分もやってみようかな。
学者とは、究極の趣味人でオタクだよねという総括。