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日常の中に潜む古典的なホラー。
それぞれ短編だが何気ない話の中に背筋がゾクッとする
気配が漂っている。古びた歯医者や田舎の旅館の地下室など古典的な場所が帰って怖さが増してくる。山荘奇譚が
一番怖かった!
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「異形のものたち」というタイトル、帯の幻想怪奇小説集というフレーズに惹かれて購入しました。
もともと幻想小説を好んで読んでいるため、6篇にそれぞれどんな「異形」が隠されているのか、かなり期待して読みました。
しかし、「異形」はほぼ6篇全て人の霊的なものに限られており、主人公の境遇や舞台も似通っていたため、期待した未知なる感覚を得る事はできませんでした。
また、ほぼ全てに不倫や浮気、離婚が関わっており、読み進むうちに、またか…またこのパターンか…といった意識がちらつき、少々興がさめる時がありました。
そうした先入観なしに読めば、文章は非常に読みやすく、スムーズに楽しめたと思います。
個人的には最後の「緋色の窓」が好きです。
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嫌だな他に女がいるなんて。家族の大事のときに他の女の扱いがうまくできないのなら、付き合わなければいいのに。妻にバレる、これだけはあってはならない。たとえ、自分が秘密にしておくのが気持ち悪くなっても。それがルールだよね。それができないのなら、手出ししないこっちゃ。
心に闇を抱えているから異形のものを見るのだろうしな。心を反映させているのだよ、きっと。
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幻想怪奇な物語を6篇収録してある短編集。どの物語も最後にぞわぞわとした恐怖で終わるが、私は中でも「山荘奇譚」の最後が怖くてならない。夜中に読まなくて良かったと心底思った。
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冷えっとする短篇。
亡くなった母とハルゼミ。面
みんなぜりーのように。 森の奥の家
摩訶不思議な歯科。 日影歯科医院
これちょっと怖い。ゾフィーの手袋
浴衣の山荘と、きしや。怖い。 山荘奇譚
姉の家、、隣のお妾さん。緋色の窓
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初出 2014〜17年「小説野性時代」
短編ホラー6話
幽霊というよりは亡者が登場するが、亡者の側の恨みや情念が描かれないので、さして怖くはない。
あとは、不倫や近親相姦といったことがモチーフになっていることが共通点となっている。
「ゾフィーの手袋」は亡くなった夫を恋慕していたオーストリア人女性が自殺し、幽霊となって夫の遺品が詰まっていた洋ダンスに住み着き、妻の夢にまで出てくるのだが、一言も発しない。あの世で亡夫と仲良くすればいいのにと思ってしまった。
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小池真理子さんらしい、男と女にまつわる甘美だけどひんやりとした6つの短編集。
どの物語にも共通するのが、こちら側とあちら側の世界を繋ぐ異形のものたち。この世のものではない彼らは、常に隣り合わせでここにいて、こちらのものたちに何かを訴えかけている。
怖かったり、ゾッとするだけではなく、それが愛おしい人だったらどこか懐かしく、甘美でさえあるのかもしれない。
「森の奥の家」が特に哀しくて、切なかった。
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夏はやっぱり怪談だ〜。
いずれも秀作揃いの短編集。
少し前に読んだ小野さんの『かるかや』同様、どことなく昭和の風情漂う舞台に顕れるさまざまな異形のものたち…。 前述の『かるかや』が淡々とした怖さなのに対して、こちらの恐怖のボリュームはやや高め。
個人的には『山荘…』と『日影…』の2作にぞぞっとさせられた。
異常な暑さのこの夏、日本古来のこんな方法で涼を取るのも一興かと。
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あの世とこの世との境界が曖昧な物語を、6話収録した短編集。
大事で身近な人を失った人間は、向こう側の世界に近づくのだろうか。ぞっとするけれどもの悲しく、静かな怖さを湛えた作者の短編は、夏よりも冬に似合うように思う。
しんみりとして品のある、大人のためのホラーだった。
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この世とあの世を結ぶ、目に見えないつなぎ目のようなものを感じる短篇集。『日影歯科医院』が特に印象に残った
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「面」
家族を裏切っていたというのに、簡単に許されると思ったら間違いだろう。
何と出会うか知っていたからこそ、一人で行かぬよう教えていたのだろうな。
「森の奥の奥」
背後に見えた二人を認識した時から、疑念が生まれ最後には気付いたのか。
記憶にある日常の全ては、都合良く作られた偽物に過ぎなかったのだろうか。
「日影歯科医院」
適切な治療を受けた証拠があるからこそ、思い違いとは言いきれないよな。
皆が良く知る話だったからこそ、誰もが口にすることなく廃れたのだろうな。
「ゾフィーの手袋」
見えたり気配を感じることがなかっただけで、生前から憑いていたのでは。
簡単に話すことが出来ないのは、過去も共に伝えなければいけないからだろ。
「山荘奇譚」
作られた物語は沢山あるだろうが、その中に本物も混じっているのかもな。
一度訪れただけだというのに、何か気に入られるものでもあったのだろうか。
「緋色の窓」
真相は明らかでは無いが、少なくともただのお隣さんではなかったのだろ。
精神を病むような状況だというのに、他に当たれないのは辛すぎやしないか。
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「面」「森の奥の家」「日影歯科医院」「ゾフィーの手袋」「山荘奇譚 」「緋色の窓」
6話収録の短編集。
私が唯一、全作品購入している小池真理子さん。
本作の完成度も期待を裏切られる事無く十二分に堪能出来た。
文中からひたひたと押し寄せて来る恐怖、既にこの世にはいないはずの異形の者が、薄皮一枚隔てたすぐ傍に潜んでいる様な感覚を味わい薄ら寒さを覚える。
異空間の体験を描いた『日影歯科医院』は鳥肌物。
この世に未練を残した女達の恋情を超えた執念深さに戦慄を覚える『ゾフィーの手袋』『緋色の窓』
甘やかさと恐怖を共存させた怪奇集。
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小池真理子さんの作品を読むのは初めてだった。
目の前に情景が映し出されるような臨場感のある描写に引き込まれた。
「日影歯科医院」「山荘奇譚」が特に良かった。
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異形のものたちとは、この世のものではないもののこと
でも、なぜか、一瞬、自分のことなのか、この世のものでないのは、自分なんじゃないのか、
と、本を読み進めるうちに思ってしまって、いや、生きてる、存在してる、と、確認してみる
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小池真理子先生の作品は昔よく読んでたけど、しばらくぶりでした。こちらはホラー系の短編集でしたが私は元々霊をはっきり見たりした事がないせいか、はっきり見える描写があってもあまりリアリティを感じられなくてそれほど怖いとかは感じなかったです。でも「日影歯科医院」と「緋色の窓」は読んでいて印象に残る好みの作品でした。