サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

新規会員70%OFFクーポン

hontoレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー1件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

それは、遠いか近いか、渦中なのか。

2011/02/27 22:53

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いまは何でも見えすぎる。

人は見たいと欲するものしか見ない、と喝破したのは古代ローマのカエサルであったというが、見たくても目が悪くて見えなかった人でも見えるようになってしまうレーシック手術が広く普及して、こんな風に見えるようになるとは思いもしなかった3Dの映画やゲームが現れ、宇宙旅行だって視野に入ったことによって、近代は時の遠近法をはからずも手に入れてしまったのかもしれない。時空がのっぺりとしてきた近代において、この事実が意味することは、それでも何かを見たい知りたいと欲する人間とは何なのか、という根源的な問いだ。

何ゆえに、人はルネサンスを求めて止まないのか。

ヨーロッパのルネサンス期をライブに生きた人々はきっと、自分たちが文化の刷新を行っている自覚などあんまりなくても、巷に溢れ出した妙にリアルな絵画や彫刻や、それを創り出す数多の芸術家・科学者・哲学者たちのやけに活発な日常や言葉に触れて、ああ、あんな風にやるのもありなんだろうなあ、なんかちょっといいなあ、と思っていたに違いない。そう思っているうちに自然とそういう生き方を真似して勢いが出たんだけど、気が付けばいつの間にかその勢いも減速されて既存の価値観でがんじがらめになってしまった何世代か後の人間が、あの時代は人間の掘り直しにして、問い返しだったとやっと発見したんだと思う。本居宣長を振り返る小林秀雄をさらに振り返る橋本治のように。本書もそんな本。あるいは、ルネサンスに魅了され、己もルネサンスを生きたいと渇望する人間の、ルネサンスの延長戦。その勢いはまだ終わっていない、という感じがいい。

ルネサンスの渇望は人間の業のようなもので、人間とは何かを知りたいと欲してしまったらどこまでも知り尽くさないと気が済まない人はいつの世にもいて、本書はルネサンスオタクの渾身の一冊にして人間の描き直しでもある。ページをめくるたびに現れる「ルネサンス人たち」のめくるめく活動の数々は決して色褪せることなく、過去から現代を照らし出し、現代を3Dで未来へと投影するような人々は人類の歴史上にワンサカといたのだ。それも同時代に呼応しあってウジャウジャとひしめいていたのだ。勢いを先導して扇動する突き抜けた人間もまた同時代にいたのだ。そのライブ感たるや。

何でも見えすぎる現代にいて、そんなめくるめく文化史を知ってしまったら、ちょっともう逃げられない。頭と身体は勝手に反応するし、何も終わってなどいないことを証明するためにも、まず遠大な時の遠近法の渦中にいったん自らを置いて、ルネサンスの勢いをいまに感じてみる以外、ないんではないか?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。