電子書籍
ファンタジーではあるけれど、
2020/03/17 16:29
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投稿者:ヒヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンゲームものというのが一番正しいのだと思う。
10月最終日、満月の下に現れる異次元の「門」を巡り、この世の理を外れたものが英国の寒村に集まって来る。
門を開くもの、閉じるもの、見届けるもの、彼らの思惑と彼らの使い魔達の信念が絡まり、じりじり導火線が焼けていくようなひと月の物語。
話はプレイヤーの一人、切り裂きジャックの使い魔(犬のスナッフ)視点で語られる。
使い魔達は主人と会話出来ないが、使い魔同士の会話は可能という設定で、プレイヤーと使い魔双方の葛藤や策略を覗けるのが面白い。
更に、読者はスナッフの視点から他のプレイヤーの素性や動機を推し図るしかないので、まるでスナッフと一緒に覗き見しているような緊張感を味わえる。
作者晩年の長編だからか、多少ガス欠を感じる所もある。
途中に挟まれたラヴクラフトへのオマージュが一見さん殺しになっているのも事実。
ただ、小道具ちりばめて悍しい暗黒神話でございで終わらせないラストに、ゼラスニイらしさを感じた。
紙の本
古きクゥトルトゥとの戦い。
2017/11/16 22:56
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投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めは良くわからない文章からはじまりましたが、読んでいるうちに使い魔である犬や猫が主役で有名な怪物たちを主人に持つというユニークな発想の本だと思いました。
紙の本
オールスター?
2017/12/30 20:42
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
万聖節と満月が重なる夜に行われる儀式に参加するのは誰か? そして儀式の場所は?
ジャックとその使い魔の犬のスナッフ。何故か、名探偵や吸血鬼の伯爵、死体で変な実験を行う科学者にその実験体、狼男、魔女まで勢揃い。
神秘の儀式の予想外の結末に、苦笑した。
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ほぼ四半世紀ぶりに邦訳された、ゼラズニイ晩年の長編小説。
ゼラズニイは若い頃にハヤカワ文庫だったかで何作か読んだ記憶があるが、こういう作風だったか……。
色々なところに細々とした仕掛けが仕込まれていて面白い。存分に楽しむには、クトゥルーよりも、他の、古典と言われる物語やネタを知っている方が良いかもしれない。
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およそ四半世紀ぶりのゼラズニイ新訳だという。しかも最後の長編。厳密にいうと死後、ベスターの遺稿を補筆完成させた「合作」が出版されているので、最後の単独作長編。
一人称主人公は番犬スナッフ。ところはロンドン郊外。時は19世紀。彼の主人はジャック。ジャックは呪いをかけられていて災禍を防ぐために夜中にいろいろしなければならないらしい。たぶん、女性の腹を割くようなことである。
周辺には怪しげな人々が集まっている。それはゲームのプレイヤーらしい。誰がプレイヤーかはわからないが、プレイヤーはスナッフのような使い魔を持っているのでおよそはわかる。こうもりを使い魔として持つ伯爵。博士(グッド・ドクターというのが原語らしい)の家からは片言を喋る大男が現れる。スナッフと親しいネコのグレイモークの主人は魔女のようだ。そして巨大な狼。怪しい2人組、異教を崇拝する教区司祭、ロシア名の怪僧。相棒を連れた名探偵が巧妙な変装をして嗅ぎ回っている。
ゲームは10月のあいだに終始する。プレイヤーには「開く者」と「閉じる者」がいるようなのだが、誰がどっちの陣営なのかは最初のうちはわからない。クトゥルー神話もモティーフになっているというから、この「開く」のがクトゥルーの古神の召喚に関わっているのだろうことは予想がつく。
というような設定で、世紀末ロンドン・アヴェンジャーズみたいなオールスター戦である。
スナッフは他の使い魔たちから情報を集めつつ、プレイヤーの総勢と彼らの居所を探る。それがわかれば中心地点を計測することができるからだ。中心地点とは何かもなかなか説明されないが、召喚点なんだろう。しかしどうも中心地点はそれらしくないところに算定されてしまい、隠れているプレイヤーがいるのではないかとスナッフは思う。そうこうするうちプレイヤーがひとりふたりと殺されて、事態は錯綜としていく。
例によって、ゼラズニイの小説は、カッコいい。華麗といいたくなる。犬があたりを嗅ぎ回って情報を集めているだけで、なぜ華麗なのかよくわからないが、華麗なのである。
10月1日に始まって30日に終わる小説を11月2日付けで発行する竹書房の編集者のセンスはどうよ、と思うのだが、まあ、こっちも読了が12月になってしまった。
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ゼラズニイの未訳ものが出るのもビックリなら、ラノベの様なカバーで竹書房から出るのもビックリでございました。
表紙絵にも違和感だし、オビの説明文も余計な気がするが、この方が若い子が手に取りやすいんだろうな…
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明言はされていないが切り裂きジャック、ドラキュラ伯爵、フランケンシュタイン、狼男という豪華キャスト登場のクトゥルフもの。使い魔の動物たちの会話がファンタジィ。面白かったけど、読む人を選んじゃうだろうな。
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犬の日記視点で描かれる異色の小説。
ロジャー・ゼラズニイ27年ぶりの邦訳新刊。
舞台は19世紀イギリス、クトゥルフ神話をバックボーンに切り裂きジャックや某「伯爵」、某モンスターや某名探偵が、ある儀式をめぐり駆け引きを行う。
ところがあくまで主人公は使い魔たる犬であり、彼が主に他の使い魔(猫、蛇、梟、鼠、鴉etc…)とコンゲームを繰り広げるのだ。この犬の視点こそがこの小説の醍醐味であり、ゼラズニイの飄々とした文体とマッチしている。
ゼラズニイがクトゥルフ神話を題材にして、動物視点でのコンゲームを描く、とモリモリの作品。
なお、主人公の犬とヒロインの猫の名コンビっぷりは二匹の関係性も含めて特筆に値する。
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ゼラズニイの遺作。
クトゥルー神話とハロウィンをネタにしたこんな本を書いていたのか!
いろんな魔物が出てくるけど、そのパートナーになっている動物たちが中心となっている物語。ゼラズニイの割にはわかりやすく優しい感じに描かれています。おしゃれなハロウィン・パーティーって感じ。ゼラズニイ丸くなったな。
ペットの犬とか猫とか鳥があんなオシャレな会話してたら飼い主の自分は面目丸潰れだなぁ。ちゃんとしよ。