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紙の本
その扉がひらくとき
2018/02/11 10:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
小川さんの新作は嬉しい。誰にも描けない世界。小川さんの中で完結している。その世界の扉が開き、少しお邪魔させてもらう。けれどその世界とわたしがいる場所は薄いベールで隔たっているから、わたしは息を殺して眼を見張ることしかできない。それでも甘美な空気は流れ込んできてわたしの刺々しい心を癒す。小川さんの物語の人物になれたらと切に思うけれど、現実は毎日定刻通りやってきて、わたしの意志に構う事なく時計の針を進めて行く。そんな生活の隙間に存在する小川さんの物語に引きずり込まれる瞬間、実感する。裡に息吹くわたしの生命に。
紙の本
わたししか気がつかない秘密。
2018/11/28 00:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
短篇集です。一冊すべて小川ワールドでした。
最近の作品は気に入るものが多いのですが、
この一冊も同じくでした。
研ぎ澄まされていてしびれました。お薦めです。
八篇あります。どの作品もあさって感があり、
誰も気がついていないのに、自然と受け入れてしまうことから
始まる物語です。
弱者や孤立者の視点で語られています。
それを価値観の中心に据えて、世界を違う角度から見せるという
小川さん得意の形です。
読んでいる人には秘密めいた感覚が伝わるため、
神秘的な心持ちをもって自分だけが知る特別な時間が味わえます。
それは、小川作品の魅力のうちの大きな一つだと思うのです。
一作目は先回りローバ。七才の男の子の前に現れた小さな人です。
男の子の家庭は不穏で、男の子自身もなにかに苦しんでいます。
本人は気がついていませんが。かわいそうに。
そして男の子は言葉をなくしてしまったのです。
いざ発音しようとすると、なぜか喉と舌の連携が乱れ、
空気が停滞し、口が硬直するのです。
男の子を救うのはローバ。小さなローバです。
他では、亡き王女のための刺しゅう、仮名の作家、
口笛の上手な白雪姫などが気に入りました。
ほかの作品もレベルが高く、満ち足りた気分になれます。
どこの部分がどう満ち足りるのか、うまく説明できないのが残念ですが。
そんな一冊です。
電子書籍
小川さんの
2018/12/24 18:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラジオを聴いていますが、小説の感じと同じく、とても穏やかな印象です。この短編集は白雪姫とは関係ないのですかね?
題名に惹かれましたが短編それぞれを楽しみたいです。
紙の本
「ささやき」の小説
2018/07/06 14:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小川洋子さんの小説も好きで、新刊が出るたびに読んでいます。
日常の中からの密やかな「ささやき」のような雰囲気が独特です。
本作は、8つの短編を収録。私の場合「かわいそうなこと」が最も印象に残りました。
紙の本
以前は小川さんのファンでしたが
2018/05/02 13:20
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まこと - この投稿者のレビュー一覧を見る
「かわいそうなこと」この小説は感覚がおかしいと思いました。ライトの彼はかわいそうではないです。語り手の僕が病んでいるのか。
ライトの彼は野球が上手くなるように練習すればいいのです。
また「亡き王女のための刺繍」。中に出てくる「亡き王女のためのパヴァーヌ」というピアノ曲はごく普通の子供が発表会で簡単に弾くような易しい曲ではありません。作者が単に語呂合わせの為に使っただけでしょう。小川洋子さんはデビュー作から天性の何かをもっていらっしゃる、真の作家と呼ぶにふさわしい方だと思ってファンでしたが、この短編集はネタ切れかんをかんじてしまい、短編集だったので、途中まで読んで図書館に返却してしまいました。ごめんなさい。