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ヒット・アンド・アウェイ
暴力夫から我が子を守るために、平凡だった女性がボクシングをはじめ、
身を守るために筋力、体力を徐々につけていきますが、
それと共に精神的も力強くなっていくところが
読んでいてワクワクしました。
そしてついにラストにはガツンと一発
くらわしていたのがとても爽快です。
冷蔵庫を抱きしめて
幸せな新婚生活のはずなのに摂食障害をぶり返してしてしまった女性。
想像を絶するような行動をしてしまいこの結末は
どうなるのだろうかと思ってしまいましたが、
夫の意外なひと言でそこから抜け出せることが出来る道が出来て
結婚というのはまさに二人三脚ということが伝わり微笑ましかったです。
アナザーフェイス
平凡な営業マンがブログやSNSの更新に没頭してしまいます。
これはよくありがちな話ですがそこからが面白く、
SNSからのコメントでは自分の顔をそっくりな人を見かけたということが
書き込まれ、それが徐々に自分の近くまでに及んでついには・・・
これは自己顕示欲から出ているものか、それとも本当なのかなどを
色々と想像してみると面白いですが、それよりも正体が分からずに、
徐々に近距離になってくるところはミステリーのようで
背筋がぞっとしてきました。
肩を叩いたのは誰でしょう?
顔も見たくないのに
ダメ男にある恋人が出来たのをきっかけに別れた女性。
それなのに元彼がテレビでしょっちゅう見かけることになり気になってしまう。
本当なら顔も見たくないのに相手なのに
何故か元彼と比較してしまったりとして気にしてしまう。
何の因果か分からないけれどこうゆう心理になる心境が
上手く描かれていました。
こうゆう人って学生時代ならばクラスに一人はいるかなとも
思ってしまいました。
マスク
風邪をひいたことをきっかけにマスクを着用した男性が
顔を隠せるということが居心地良くなり常にマスクをしてしまうことに。
確かにマスクを付けるというのは何となく特別な思いがする気がします。
現に若い世代の人達の間でも同じような現象があり、
風邪をひいていなくてもマスクを常に着用して
自分をガードしているというのを聞いたことがあります。
本来のマスクの意味ではなく人から自分という存在を消すためにマスクを
していたのに、いつの間にか人目をひく存在になってしまい、
そして行きついた所では本当の自分を見て欲しいと言ったり。
人はある程度見られているから良いのかもしれないと思いました。
それにしてもラストまでおかしくて何度も読みたくなります。
カメレオンの地色
恋人が遊びに来ることになり部屋の片付けをしていたところ
ゴミと思い出が一緒になりタイムスリップ気分というところです。
片付けをしていると彼女のような行動や心境になるので共感出来ます。
だた思い出だけでなく本当は彼女自体が
どうなのかなというところがツボでした。
果たして昔の懐かしいアノ人どうしているでし���うと
追跡したくなる気分でした。
それは言わない約束でしょう
転勤をきっかけに一人暮らしをするようになった男性。
いつしか心で思っていたことがいつの間にか口から出てしまうことに。
決してここまでは言ってはいけない、でも言いたくなるという心理を
よくついていて痛快でした。
本音と建前は必要だけれど、時には声に出してストレスも
発散したくなってしまうだろうなと
少し同情もしてしまいました。
でもここまで酷い事を言われた相手だとしたらショックかもと
複雑な胸中とユーモラスに描かれているので
思わずくすりとしてしまいました。
エンドロールは最後まで
結婚をしない女として決意をした女性が思いかけずに
出会った男性と恋に落ちたけれど、段々と雲行きが怪しくなる。
結婚をしないと決意をしても愛しい人が現れれば
誰だって目の前のものに飛付きたくなるもの。
けれどそれを簡単に受け入れるのではなく
彼女らしく受け入れている姿が見事でした。
最後の台詞の
エンドロールは最後まで見なければ、たとえハッピーエンドでなくっても。
それが劇場に足を踏み入れた人間の義務だから。
はキメ台詞のようで恰好良いです。
どの作品も面白くて読みやすいのですいすいと読んでしまいました。
特にアナザフィス、マスクは映像化にしても面白いかと思います。
荻原さんは心に沁みて泣ける作品も良いですが、
このようなユーモラスたっぷりな作品も上手なので好きです。
これからもこのような短編集を楽しみにしています。
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ヒット・アンド・アウェイ/冷蔵庫を抱きしめて/アナザーフェイス/顔も見たくないのに/マスク/カメレオンの地色/それは言わない約束でしょう/エンドロールは最後まで
ちょっと爽快だったりちょっと怖かったりちょっとギョッとする。非日常の味付け
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前に読んだ短編が良かったような気がしたので購入
結婚して子供ができて、作者の描く人物に自分や家族を重ねることができるようになった。
だからなのか読むのが苦しい、読後スッキリしない
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今の世の中、他人事と思えない心の病を抱えた主人公たちの日常が、ユーモアたっぷり、かつシニカルに描かれる。読む前は荻原浩らしいハートウォーミングな話ばかりだろうと思っていたので、ホラータッチの一編が含まれていたのは意外で、良い意味で裏切られた。
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真剣に考えだすと重めのテーマを軽めのタッチで。「カメレオンの地色」のどうしようもない感じはよくわかる。
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これというテーマでくくれない短編集。
DV彼氏にイライラしたり、デリカシーのない夫の発言にイライラしたかと思えば、ドッペルゲンガーが迫ってくるホラーのような作品もある。軽い感じで読めて、少し笑えて、でも考えさせられる。うまい。
何かに悩み、前に踏み出そうとする物語が多かったな。そういう意味で読後感はいい。
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踵は使うな バレエとボクシング 腿もも レンジローバー イスラム教徒が豚肉を食べないのは寄生虫を忌うからだ 摂食障害 義姉ぎし ドッペルゲンガー 成りすまし 背の高いドラセナの鉢植え 離魂病と夢遊病 一時的な意識の混濁 十勝の種牛 トイレで三角折り 赤い葡萄=レザン・ノワール 白は発酵の時に皮を使わない ジュレ=煮凝り 新型三次元マスクを手に入れた俺は、知った。人は顔面から、あらゆる個人情報を漏洩して生きているのだ。今までの俺の顔はなんて無防備だったのだろう。言葉にする前に、顔から感情や本音や秘密をことごとく曝け出してしまっていたのだ。恐ろしい。ヌーディストビーチで勃起してしまうようなもの。 下戸で甘党 不識布 恥毛ちもう 第二次性徴期のホルモンバランスの不均衡 笑いのツボの染色体が違う 四次元ポケットの向こう 黴菌 怒濤の罵詈雑言 フィギュアとファックしてな 小児性愛愛好家か 不興を買わない 所詮人間は正直に生きることなどできはしないのだ。人の思考の半分は悪口でできているのだ。ピュアな心っていうのは清い心のことじゃない。嫌がられるか喜ばれるかもわからない、剥き出しの感情のことだ。そうとも"人はみんな嘘をついて生きているんだ" 男達の求愛中のグンカンドリみたいな鼻息に わかりやすいカリカチュア 救急救命士 エンドロールは最後まで 頭も体も完璧な人間なんてどこにもいない 前職のコピーライター時代に磨かれた感覚 刊行
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図書館で。どの短編も心に残るものばかり。登場人物の女性の心情にグッと来ながら読みました。表題作の『冷蔵庫を抱きしめて』はじめ、終わり方がどれもすごく好きだったなぁ。ホロっと、泣かせてくれます。
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摂食障害・DV・精神疾患・・このようにあげるとどの短編も非常に重々しいものに感じてしまうが、どれも現代社会で起きているテーマであり、もしかしたら自分の隣に同じ苦しみを抱えている人がいるのかもしれないという思いを馳せながら読んだ。
全てハッピーエンドではないけれど、主人公たちにエールを送りたくなる1冊であった。
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荻原浩久しぶりの一冊。
短編8編それぞれに荻原ユーモアがたっぷり。
解説者の藤田香織氏も書いていますが、全く同感です。
解説を読み、それぞれの本編を読んでも十分楽しめる一冊
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8話からなる短編集。
〈ぼくらはみんな 病んでいる〉。
マスクに依存する、片付けができない、空気が読めないなどの「ビョーキ」でみんな病んでいる。
〈病んでいるけど 笑うんだ〉。
怖い話もあるが、読み終えてクスッと笑えた。
心の傷を癒やす本って大事。
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短編集。あまり短編は好みではないのだが、著者が好きなので、読んでみた。軽いタッチのものが多かったような気がする。
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色々な問題を抱えた人々の8のお話。
最初のDVの同棲の彼にボクシングを習い
正当防衛で仕返しは、なんだかスッキリした。
マスクの彼は彼女が居て良かった。
じゃなきゃ、入院するしか無い…。
ゴミ屋敷の子は片付けが出来て良かった。
この後、またゴミ屋敷にならないことを願ってます。
それは言わない約束も
言っちゃうんだから、正しく言う事を選んだ事は正解かな。
拒食症の彼女もきちんと向き合ってくれる旦那さんが居てくれるから、大丈夫。
アナザーフェイスは怖い。
最後のお話の二人はアフリカ行ったのかなぁ?
テーマが心療内科的なお話だったのでちょっと重かったです。
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幸せなはずの新婚生活で摂食障害がぶり返した。原因不明の病に、たった一人で向き合う直子を照らすのは(表題作)。DV男から幼い娘を守るため、平凡な母親がボクサーに。生きる力湧き上がる大人のスポ根小説(「ヒット・アンド・アウェイ」)。短編小説の名手が、ありふれた日常に訪れる奇跡のような一瞬を描く。名付けようのない苦しみを抱えた現代人の心を解き放つ、花も実もある8つのエール。
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現代社会のさまざまな心の病に苦しむ人々。そんな彼らに訪れる奇跡の一瞬を鮮やかに描く短編集。
DVや摂食障害、ドッペルゲンガーにゴミ屋敷やマスク依存性など、私たち自身にいつ発症するかわからない現代病のあれこれ。解決方法は結局は発想の転換なのかな。心地好いラストを迎える「ヒット・アンド・アウェイ」や「カメレオンの地色」などは、神の声の如く気持ちの変化である。