紙の本
資本主義の未来
2023/01/02 13:12
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これからの世界の状況が、分かりやすく解説されていてよかったです。帝国主義化する資本主義に、興味深かったです。
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選挙に対する不信感、国会の権威低下などの民主主義を足元から掘り崩す現象が日本に限ったことではなく世界的にみられるだという指摘に納得する共に、深刻ではあるが悲憤慷慨するあまり如何に日本がダメかといった悲観論から脱却する役に立つ。
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選ばれたひとびとが大衆の代表ではなくなっているという点に納得。多様化の弱点でもある、わかりやすいリーダーのたてづらさ。人口論も興味深い。
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国家が市場に組み込まれるようになると、国家は市民よりも「市場の力」によって支配されるようになる。世界的な市場や企業は、即席でしばしば非政府的な、いわゆるグローバルガバナンスの機構に当地されることになる。新しい問題、例えば利害・価値観・アイデンティティをめぐる政治的総突、難問やジレンマが現れている。
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ブリグジットやトランプ大統領の誕生をグローバル経済でないがしろにされていた民主主義が復活と断言して、EUと日本の民主主義の行く末を語ります。
日本のエリートは欧米と異なりグローバルではない指摘し、少子化対策に婚外子を奨励するなどもあり、フランス人らしいエスプリに満ちた言説がとても興味深く読めます。
また、21世紀は移民政策が重要にもかかわらず国を開こうと意識が薄い日本と指摘されていますが、先日、日本の移民流入数が世界第4位との記事を読んで驚きました。この件は真っ当な移民政策の議論が必要そうです。
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世界的な右翼化といわれる世の中について、政治学者4人によるインタビューや講演を収録した本。
今の世の中は民主主義の崩壊といわれることもあるけれど、むしろこれこそが民主主義なのだとか。もともとの民主主義は、自分たちの仲間とそうでないグループを峻別する排他的な側面があったらしい。まあ、だいたい今の世の中でいわれている「もともとはこう」みたな考えは、たかだか100年ほど前がそうだったってことだけの話だろうしね。特に日本では、明治維新後の影響が強くて、江戸時代からそうだったと思ったら実は違ったなんてこともあったり(専業主婦とか)。
なお、ヒトラーは選挙で民主的に選ばれたといわれるけど、35%以上の票を集めたことがないらしい。さすがに、半分以上から指示があったわけではないということかな(最も多い得票率ではあったのだろうけど)。
なお、日本では人口動態は語るためのテーマではあるけど、行動するためのテーマではないとのこと。海外の人でもそういうふうに見えてるのか。まあ確かに、自民党は積極的に少子化対策やってるようにみえないしね。意見がでても、的外れだったりするし(自分も人のことはいえないけど)。
なお、G20はグローバル政府ではなく、国家指導者とマスコミのための4億ドルをかけてPRショーとのこと。自分もあまり詳しいわけじゃないけど、納得。それだけ経済効果をもたらしてくれるならそれはそれでいいことかもしれないけど(来年、大阪で行われるG20はどうなるだろうか)。
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4人の大御所が論説。世界の未来、はじめに核家族と民主主義があった。民主主義の希望、選挙ではちゃんと代表されない時代になった。資本主義の限界、市民より市場に支配される国家。分断の克服、移民政策に失敗した国は21世紀の負け組になる。
社会のしくみを見ると、世の中は複雑化し、かつてのエスタブリッシュな世界が崩れてきているということでしょうか。難しいです。
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<目次>
1世界の未来ーエマニュエル・トッド
2民主主義の希望ーピエール・ロザンヴァロン
3資本主義の限界ーヴォルフガング・シュトレーク
4分断の克服ージェームズ・ホリフィールド
おわりに
そうそうたるメンバーのインタビューまとめ本。
だけど、凡庸。多分、聞き手悪い。
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世界情勢と日本の動向を様々な評論家が分析した一冊。
ヨーロッパ中心なのは仕方ないが、勉強にはなった。
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資本主義のこれからを知るために手に取った。止まることが許されない資本主義。今必要なのは速度を落とすこと。貧富の差は拡大し続ける社会で、ヒエラルキーの下層にいる人たちの声を吸い上げる必要がある。
アメリカの移民問題、実はアメリカ違法移民は正規で入国した人たちのオーバーステイ。メキシコからアメリカよりも脱アメリカする人の方が増えているとか。ニュースの表面ばかりを受け取っていたな。
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エマニュエル・トッドのインタビューがごく一部だけ。
最近はやりのトッド本のひとつ。
それも悪くはないけど、立ち読みで十分。
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グローバリゼーションとポピュリズムの中で、揺れ動く、民主主義と資本主義
四名の知性が語る現代と未来
1 世界の未来 エマニュアエル・トッド 私たちはどこへ行くのか
・核家族こそが人類の最初の家族システムだった
・今見られる政治的な代表制という仕組みは、それが民主的なものであれ、寡頭制的なものであれ、むしろ古い過去から残り続けたものであるとわかったのです。
・民主主義は、人間の小さなグループが自分たちの間で組織したものでした。そしてそれはいくらか排外的だったのです。
・この排外性は民主主義と反対のことではなくて、民主主義の始まり、あるいは再登場の始まりなのです。
・高等教育というのは、体制順応のための制度として優れているのです。
・民主主義がないところというのは、EUレベルのように、人々が投票するに、それが考慮されないところのことです。
・日本は大国であることをあきらめてしまった。それは、日本が人口減少を受け入れているのは明らかです。日本はあきらかに自分であることを選択したようです。
2 民主主義の希望 ピエール・ロザンヴァロン
・選挙が民主主義に次第に成果をもたらせなくなった。
・人々は選挙が民主主義にとって本質的な三つの機能を果たすことを期待してきたから。
①代表という機能
②政治的な各種制度や統治する者たちを正当化する機能
③議員たちをコントロールする機能
・選挙は今日、代表する能力を減じてしまっている。それは、社会学的な理由と制度的な理由があります。
・民主主義の中心にきているのは行政権力の選出です。
・一人ひとりがそれぞれ特異な存在になっていて、個人主義の発展とつながった社会的アイデンティティの時代に突入している。
・今や社会とは、たくさんの少数派の被っている境遇の集まりになっている。「人民」とは、たくさんの小数者のことになっている。
・行政権力が強くなるという流れの中で、議会の機能は縮んでいる。
・民主主義の進歩が意味するのは、今やそれを複雑化し、主権について複数の形を設けることなのです。一般意思を表現するチャネルを多元化し、人々を代表する仕方を広げなければなりません。
3 資本主義の限界 ヴォルフガング・シュトレーク
・国家が市場に組み込まれるようになると、国家は市民よりも「市場の力」によって、支配されるようになる。
・最も重要な要求は、自由貿易の制限と移民規制だ。それは、住民の経済的地位をこれ以上に低下させず、社会生活を崩壊させないようにするためだ。
・軍事的敗北と、国内の経済的・社会的後退は、保護主義と孤立主義を約束したドナルド・J・トランブの大統領選出にもつながった。
・資本主義は常に安定した国際秩序 特に信頼できる資金と、帝国主義的な平和を周辺に提供できる海運国を必要としてきた。
・重要な転換点は、EU離脱を決めた英国の国民投票(2016年)だった。
・政治的主体が、グローバル経済の中で生き残り繁栄するには、どの程度大きけれ��十分か、もしくは大きすぎるのかという問題だ。
・ドイツはユーロ圏の成長と繁栄の極みであり、この文脈でのみ、経済状況と政治状況を説明できる。
・ドイツは工業生産が集中しており、完全雇用、財政黒字につながる高い税収、最近では安定した収入分配がある。
・財政的な余裕があったため、メルケルの政府は、ドイツの福祉国家に手をつけなくてすんだ。
4 分断の克服 ジェームズ・ホリフィールド
・現代の移民政策は、治安・人権・文化・市場(経済)の四つの側面が入り混じっていると理解するのが重要です。
・米国、ドイツ、スイスなど多くの欧米諸国は、労働力確保の必要性から、移民を受け入れる決定をしている。
・移民をめぐる議論は時に、大きく変更します。多くの人々にとって、移民が「脅威」と映るときです。移民は物質的な脅威、安全保障上の脅威ともなりえます。
・日本は英国と違って、「単一文化の閉ざされた国だ」といった神話を信じています。
・自由貿易協定は、米国、カナダ、メキシコに経済成長をもたらしました。地域統合は欧州統合と同様に極めて重要です。人の移動と進歩との好ましいサイクルを築くことができれば誰もが利益を得るシナリオとなるでしょう。