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このヴィヴァルディの手稿譜が辿った歴史はほぼ史実通りだとのこと。そういう意味では歴史小説であると同時に、ドキュメンタリーでもあるのかもしれない。
内容とは裏腹に、登場人物の一部が割と漫画ちっくというか、ややエキセントリックな描写をされているのは少し驚いた。
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協奏曲「四季」で有名な18世紀のイタリアが生んだ大作曲家、アントニオ・ヴィヴァルディの手稿譜をめぐる作品。本作は小説風に描かれているが、内容のほどんどは史実らしい。
ヴィヴァルディは、音楽では類まれなる才能を発揮したが、残念ながら商才には恵まれていなかったようだ。ヴィヴァルディの死後、彼の弟が兄の膨大な債務を返済するために、兄の遺産である手稿譜を貴族に売却してしまう。その後、手稿譜は地元の貴族や聖職者の手を転々とするのだが、所有権が移る際に聖職者の方が金に汚いのがとても印象的だった。
最終的には20世紀に入り、ある教会が手稿譜の一部を売りに出したのをきっかけに、研究者や図書館長たちの尽力によって、バラバラとなっていた楽譜をすべて買い取る事に成功する、あの荘厳なメロディからは全く想像もつかない数奇なストーリーだった。しかし、当のヴィヴァルディに商才が無かったからこそ、あの純粋で美しいメロディが生まれたのかもしれない。
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時系列を排したシークエンスの転換がみごとで、極上の歴史ミステリー映画のシナリオを想わせる。
舞台がイタリアであるだけに、斜陽の大貴族、イエズス会、サレジオ会、ファシスト党の面々が臆面もなく曝け出す無知と強欲さがコミカルな隠し味となり、ヴィヴァルディの手稿譜散逸から発見までのプロセスを活き活きとして、血の通ったストーリーとして見せてくれる。
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これは、ビバルディの手稿譜が現代(第2時世界大戦)に於いて再発見されるに至る迄の歴史についてのほぼ・ノンフィクションである。ビバルディ自身は登場しない。
自分は、ビバルディの手稿譜に隠されている謎とか、手稿譜の読み解き方な事を期待して読み出してしまったため、後半になるまで、違和感というか、シックリ感無いままだった…
おまけに、章を移す毎に、時代がに180年も飛ぶので、頭の中で画像化するのに非常に骨が折れる…子供の頃観た「家族の肖像」の様に、画面(シーン)がしょっちゅう変わって何が何だか分からなくなる。
詳しく説明されている料理に至っては、どんな色形をしているのか?当然ながら味の見当すら付かない…
ビバルディは、同じ曲を何度も書いたと揶揄されるが、ビバルディの作品が辿った運命を知ってからは、彼の作品に対してもう少し敬意を払って耳を傾けたい。特に手稿譜の保全を図った真の探求者のジェンティーレに思いを馳せながら…
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悪くない。
作者あとがきにあるように、小説で音楽を表現するのは難しい。
しかし、あの曲、そんなにいい曲だったのか、、、聞いたことがあったのにピンとこなかった。
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この本にヴィヴァルディは登場せず主役はヴィヴァルディの手稿譜の再発見、それに尽力をつくした人々である。ほとんど史実に基づいているとのことだがまるで物語を読んでいるようだった。ラストの”八分音符が雫となって降りそそぎ~“では胸が熱くなり辛かった。
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ヴィヴァルディの音楽を愛する全ての人に。今日、ヴィヴァルディを聴くこと、弾くことができるのは、これら先人のお陰でした。
参照Web「赤毛の司祭」のBBS1と3
http://vivaldi.music.coocan.jp/index.html
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ここ数年,ヴィヴァルディをよく聴く.頭が疲れない音楽はあまり類がない.
ヴィヴァルディは故郷ヴェネチアの人気作曲家だったが,飽きられて零落し,ウィーンで客死する.死後,散逸した手稿譜が1920年代に発見されるまでの史実をもとにした小説が
本書.その歴史は興味深いが,あまり愉快なものではない.借金の肩としての差し押さえをを逃れ,貴族に売られ,遺産の分割によってバラバラになったり,貴族の死後,寄贈を受けた修道院からは粗末に扱われ,教会拡張の資金調達のための売却よって,ようやくトリノの図書館と音楽学者 Alberto Gentiliの目に触れる.ユダヤ人の資本家による出資により,国有財産になるが,ファシズムの宣伝材料として利用される.
18世紀と20世紀が交互に進むストーリーは,読み進めるにつれ,重くなり読み進め難くなる.
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ヴィヴァルディが亡くなった。残された手稿譜は時の流れに埋もれてしまう。その重要性を知らないものの手にあったり、大切に保管されていたり大事な人の記念の銘を冠されたり。その楽譜が世に出た時、関わった人のみが知る履歴は埋もれてしまったのだろう。不完全ながらも大まかな来歴が見えた時、苦労を重ねた関係者は天国でほっとしているのか、少し悔しく思っているのか……
最後の関係者はジェンティーリ、イタリア人種ではないため教職を追われ、多くのユダヤ人のように逃亡生活に入る。その時目にした新聞には「ヴィヴァルディの楽譜発見」の記事。発見者とされるのは……
それでも ヴィヴァルディの音楽は
美しい 美しい う つ く し い
1740年から1780年、1893年、1922年から1927年を行ったり来たりしながら物語が進むので、わけがわからなくなったりしたけれど、何度読み返しても第十二章の最後の文章には涙が出てしまう
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ヴィヴァルディは借金を踏み倒していなくなり、残された手書きの楽譜は弟や妹たちに残された。それを巡って18世紀とムッソリーニが支配する20世紀のイタリアで起こった物語。事実に基づくフィクション。。
なかなか面白かった。価値の解らない人に寄贈されほっぽらかされていたり、欠落に気づいて探し回る人がいたり。史実であることが、より興味を増す。