紙の本
不正をあばくには些細な兆候もみのがさないことが重要
2008/03/19 21:58
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
“食の安全” にかかわる新書はほかにもあるが,これはもっともあたらしい 1 冊である.最近は中国ばかりに目がいっているが,この本は日本こそ問題だということを指摘している.そのひとつは工場監査の際に不正の兆候がみのがされていることの指摘である: 「監査者が自分の頭の中で監査する範囲を決めてしまっていた [...] ミートホープの冷凍庫,冷蔵庫の中に豚の心臓があっても,自分の仕入れ商品と違うので問題視しなかったのです」.大前研一がある著書のなかでコンサルタントはどんな些細な兆候もみのがさないことが大事だということを指摘しているが,食品工場の監査もおなじだといってよいのだろう.
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この作者は文章を書くのがとてもうまい。構成として経験に基づいた説明や法令といった基準および数値的な根拠を巧みに織り交ぜ非常に納得させられる文体だし、「そうは言うけど、じゃあどうするの?」と思った次の章ではきちんと考えうる対策を提示してきたりと、「読みの手気持ちがわかっているねぇ」とうならされた。
スーパーの弁当やお惣菜を買うのがおそろしくなったよ。サミットがそうではないと思いたいのですが...近くの八百屋や魚屋となかよくならなくちゃね。
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現代を取り巻く「食」の現実は驚嘆に値する。知らない、無知な、販売サイドを盲目的に信じきった消費者をこうも罪悪感無く騙す事ができるのだろうか。食品に携わる父が以前「ルールがないのだから、それを破っていない限り、だましているとは言えない」という言葉を発しているのを聞いて愕然とし、良心の呵責は無いのか?と涙ながらに(酔っ払っていたせいもある)口論したことを思い出した。
悲しい現実だが1消費者ではどうすることもできないのではないか。どうすればいい?
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[ 内容 ]
相次ぐ“食の安全”が問われる事件の背景には、どんな問題があるのか?
消費者が気づかない数々のトリックから浮かび上がる、食品業界の“常識”とは?
―品質管理のプロとして、業界を見続けてきた著者がわかりやすく解き明かす!
すべての食に関心のある人、注目の一冊。
[ 目次 ]
序章 食品事件はなぜ続くのか?
第1章 消費者が知らない「賞味期限」のトリック
第2章 卵や肉、身近な食品にはトリックがいっぱい
第3章 「コンビニ・中国産は危ない」は真実か?
第4章 食品事件を防ぐために本当に必要なこと
第5章 賞味期限は「おいしさ」で判断するべき
終章 食品の現場が向かう明日
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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著者は、かつてハムソーセージメーカーで工場長をしていた経験を基に、いかにして日本の食品流通の現場における安全管理があいまいであり、消費者を向いていないかを憂う本である。食品偽装問題でお茶の間の話題となった多くの例を取り上げ、その本質と全体に共通する背景について解説している。安い賞品、安定供給を要求する小売の姿勢と、それに応えようとする製造メーカーが、消費者ではなく、自分たちの利益を追求する結果、こうした問題が発生する問題の根本だとしている。一方、食品行政は、法制度の不備が多く、上記の企業が必ずしも違法行為を行っているわけではなく、グレーなゾーンが多く存在することもまた理由の一つである。しかしながら、消費者が自覚するべきなのは、安いものには理由があるということであり、安いからといって手放しで歓迎するのではなく、その理由をしっかりと認識した上で、納得できるのであれば安い食品を受け入れるべきであろう。当然、生産者・供給者側からの情報提供によってそれは成り立つのであり、供給者と消費者の両者の意識改革があってこそ、日本の食品流通の質が向上するというものであろう。本書は、わかりやすい文章でかかれており、食品業界に携わるひとだけではなく、むしろ一般の人こそ読むべき本であろう。食品と無縁でいることの出来る個人は、いないわけであるから。
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プレゼン用に借りました。ネタ的には便利だったけどどこまでしっかりした裏付けがあるのかはちょっと不透明。参考文献まで辿る時間はなかったけどこういう場合はどんどんさかのぼって調べてみるべきなんだろうなあ…。
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卵の話が一番怖かったなぁ。偽装はともかく、あまりにも神経質になると何も口に出来なくなる。最終的には自分の臭覚と味覚を信じるしかないか。
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品質管理のプロが教えてくれる賞味期限や加工食品や表示に関するトリックの数々に唖然とするしかありません。
2007年に全国で起きた食品偽装の嵐。現場のモラルの低下だけでなく、消費者の何でも安ければいいという姿勢もあらためなければ、同じような偽装を今後も繰り返すことになるのではないでしょうか。
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この本を読むと日本の食品管理の不思議さが見えてくる。対面販売なら賞味消費期限の義務がないこと、賞味期限が製造者の任意で決められること、賞味消費期限は表示されてもいつ生産されたかの製造年月日の表示義務はないことなど、著者は日本の食の管理体制が甘いと指摘する。
赤福事件も消費期限パッケージを巻きなおしたことではなく(これ自体は違法にならない、合法)、いったん冷凍をしたことが加工にあたるという点で違法摘発になったということは驚いた。ホープの肉表示事件でも、牛肉100%とうたっておきながら牛肉が入っていなかったが、BtoB(企業相手への卸業務)の場合は摘発する法律がなくこの点では違法性は問われてないなども、へぇっと思った。
とりあえず、まずは日本・世界の現状を知ることからはじめなくてはと思った1冊。
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食品業界の、数々の"常識"が列挙され、何とも言えない気分に。最近も異物混入騒ぎがあったが、本書が書かれた2008年当時と何も変わっていないのだろう。売り手の良心に期待する考えは甘いのか。
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著者は、かつてハムソーセージメーカーで工場長をしていた経験を基に、いかにして日本の食品流通の現場における安全管理があいまいであり、消費者を向いていないかを憂う本である。
食品偽装問題でお茶の間の話題となった多くの例を取り上げ、その本質と全体に共通する背景について解説している。安い賞品、安定供給を要求する小売の姿勢と、それに応えようとする製造メーカーが、消費者ではなく、自分たちの利益を追求する結果、こうした問題が発生する問題の根本だとしている。
一方、食品行政は、法制度の不備が多く、上記の企業が必ずしも違法行為を行っているわけではなく、グレーなゾーンが多く存在することもまた理由の一つである。
しかしながら、消費者が自覚するべきなのは、安いものには理由があるということであり、安いからといって手放しで歓迎するのではなく、その理由をしっかりと認識した上で、納得できるのであれば安い食品を受け入れるべきであろう。
当然、生産者・供給者側からの情報提供によってそれは成り立つのであり、供給者と消費者の両者の意識改革があってこそ、日本の食品流通の質が向上するというものであろう。
本書は、わかりやすい文章でかかれており、食品業界に携わるひとだけではなく、むしろ一般の人こそ読むべき本であろう。食品と無縁でいることの出来る個人は、いないわけであるから。