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紙の本
透けているのは下着にあらず
2017/10/08 21:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからまず想像するのは透けた下着だと思う。濡れたシャツ、もしくはシースルーな衣服から透ける下着の艶っぽさに興奮を誘われるところであり、表紙カバーの写真も透けている。しかし、本作に透けた下着等は出てこない。透けているのは奥さんそのものだからである。
オンボロアパートの主人公宅に妙齢の女性が霊となって出没する。どうやら主人公が越してくる前に住んでいた女性が亡くなったらしい。そんな噂に戦々恐々とする主人公だが、何故か甘美な体験ばかりで訝しむ。社会人ながら未だチェリーな主人公が置かれている状況なのだが、最終的には心地の良い愛情物語に発展する。いわゆるゴーストな奥さん(名前の「透子」は安直過ぎなのか洒落なのか)との邂逅には若干の無理押しを感じるが、噂を打ち消すものではある。限りなくゴーストながら実はゴーストではないという隙間を突くギリギリなのかもしれない。
透子は序盤から見え隠れしているのだが、メインヒロインだけに本格的な出番は最後となる。それまではお口奉仕に添い寝の手淫といった施しを透子から受ける主人公だが、その時点では霊だと思っているのでビビり捲ってもいる。
主人公が生真面目にいろいろと考えを巡らせていることもあって軽妙ではあるがコミカルとまでにはいかない塩梅で進む序盤から中盤を官能的に占めるのはサブヒロインである。隣に住む都会的なOLに職場のアイドルといった主人公との接点を活かすのは上手なところ。物語の本線に少しずつ絡ませながらも主人公とは一夜限りと割り切り、別に歩む道があることを示して透子との違いを明確にしているのもそつのないところと言えよう。
そして、終盤への導線(?)となる3人目のサブヒロインに人妻霊媒師を配したのは絶妙だった。ゴーストの核心に迫るのか?と思わせつつ巧みに肩透かしなうえに霊媒師ならではの逆襲を喰らって淫気が増してしまい、サブヒロイン最年長の人妻らしく最も貪欲に乱れている。旦那の苗字も含めた、こうした洒落の利いた細かな設定で笑いを交えつつ淫らさもしっかりなところはさすがの描写と言える。個人的にも愛すべき人妻霊媒師だった。
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