紙の本
出来すぎ
2018/08/17 05:06
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投稿者:ぴょんきち - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学病院から訪問診療へ。
左遷と思い込んだ主人公が、悩みながらも周りのスタッフに助けられながら成長していく。
手強い患者にも、最期は受け入れてもらえる等、読んでいて先がわかる。
こんなに分かりやすい患者ばかりではない!とケアマネジャーをしている私は感じました。
もっとも医療と介護では、利用者の受け入れが根本から違いますから、この本のような事は日常なのかな?
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連続して初めて読む作家さん。
ここしばらくは本屋でなんとなく出会った本ばかり読んでいる。
刑事物とか猟奇物以外で、ここまで人が死ぬ本はなかなか無い。
医療物の作品で1冊を通してひとりの患者を追う物はよくあるけれど、章毎にひとりの「死」を見つめ続けるだけに、最初から登場人物に死が訪れることが分かっているのにも関わらずつらい。
「生きていく事」「生かしていく事」「死なない事」「死を選ぶ事」「死に寄り添う事」。
正解は分からないけれど、自分が選択したことがきっと正解なのかもしれない。
ただ、自分の事を選択する事が出来ても、家族の事をいくつもの選択肢の中からひとつに決める事はやっぱり難しいと思う。
それをすごく感じさせられる作品。
読んでいる最中も読み終わった後も、これまでちょっと感じた事の無い印象の本だった。
帯は告知がメインだからなんとも言えないが、とりあえずこの本は「ミステリ」というジャンルでは無いのではないかと思う。
解説は、実体験、本のあらすじ、作者紹介、本の感想、作者近影などなど盛りだくさん。盛りだくさん過ぎてそれぞれが浅くなってしまっていてちょっと残念。
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母の闘病中、そして、母が亡くなってから、この類の本は読めなかったのですが
ようやく手に取ることができるようになりました。
子育て中の33歳の時に医学部に学士入学、38歳で医師になった南杏子さん。
彼女のデビュー作がこの本です。
まったくのノーマーク。
たまたま紀伊国屋書店の平台で見つけ、手にしました。
2016年9月に単行本が発行され、2018年7月に文庫本が発行されました。
デビュー作でありながら、2年足らずで文庫化。
話題作だったのですね!
終末期医療をテーマにした小説。
主人公の水戸倫子は大学病院から、むさし訪問クリニックへの異動を命じられる。
そこでの彼女の仕事は自宅で最期を迎える人々を看取ること。
患者の性別、年齢、家族構成、患っている病気は様々。
そして、患者自身が望む最期の迎え方も。
患者に寄り添う倫子、むさし訪問クリニックのスタッフ。
あぁ、こんな人たちがそばにいたら…、そう思う。
解説は自らもお父様を自宅で看取られた藤田香織さん。
父が死んだ後、慌ただしく過ぎていく時間のなかで、頭の片隅にはいつもこびりついたような後悔があった。
ー 中略 ー
もしも手術をしていたら。もしも胃瘻にしていたら。もしもあのまま病院にいたら。父はもう少し長く生きられたかもしれないと、考えても仕方のないことばかり考えて考えて、こんなことならこうなる前に父の意思を聞いておけば良かったと悔やんだ。
この気持ちはとても良くわかります。
私自身、考えても仕方のないことを考えて考えて。
今も考えることがあるから。
母を看取り、自分自身も50代を生きる私にも、最期の迎え方を考える時が必ずやって来ます。
それは果てしなくとおい未来ではなく、ちょっと先の未来だから、この本のなかの言葉に心が揺らぎます。
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終末期医療考える所あります。
自分がそうしないといけないケースもあるかと思います。
自分がそうなるケースもあると思います。
その都度自分にとって最善のケースを選択していくはずですが、それが正しいかどうかは結果わからない事多々あるような気がします。
様々な状況や環境で、学んだり、考える事が出来る素敵な物語ではないかと思います。
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大学病院の総合診療科に勤務する水戸倫子。患者を思い丁寧に診察しているが要領が悪いとされ、訪問クリニックへの事実上の左遷を命じられる。在宅で最期を迎える訪問診療クリニックへと。そこでそれぞれの患者の最期を、最後は自分の父を看取ってゆく、短編集。医者は、安らかに看取れないことこそ、敗北だという。まわりや家族はそこしでも長くというが、苦しみたくない、生き物らしく自然にゆきたいと願う患者もいる。最期はいつくるかわからないが、一度は考えておいたほうがよさそうだ。より長く生かせようとするだけれなく、安らかに看取る医療が増えることを願う。現役の医者だけに綺麗事だけではなく書かれていた、より考えさせる。
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スピリチュアル・ペイン
イノバン
エンバーミング
ケシャンビョウ
ロングターム・サバイバー
サイレント・ブレス
著者:南杏子(1961-、徳島県、小説家)
解説:藤田香織(1968-、三重県、書評家)
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最近、母を無くした自分にとって、インパクトのある作品でした。終末期の治療のあり方、過ごし方について考えさせられます。
なるほどと思ったフレーズがあったので紹介します。
あなたの好きなものは?
どうして好きなの?形容詞で5つ答えて。
形容詞の後に自分とつけると
心にある理想像
だそうです。なるほどと思いませんか?
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南 杏子氏の「サイレント ブレス 看取りのカルテ」という本を読みました。
南氏は現役の医師。
25歳で結婚をした夫がイギリスに転勤。
イギリスで出産、子育てをしている間に医学に興味を持ち、帰国後33歳で医学部に学士編入したという経歴を持っています。
終末期医療に携わりながら、55歳でこの本でデビュー。
この本は6編の連作でなっていますが、どの編も読みごたえがあります。
死は「負け」ではなく「ゴール」。
読後感のとてもよい本でした。
他の本も出版されているようなので、読んでみたいと思いました。
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最期から逆算する。
とか、家族としての看取りとか。
生き方を考えさせられる。
終始涙が出た。
あとは、主人公が、自分が要領悪いと思ってた…というところにやや共感。そして、自分のやりたいことを見つけたところも。
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さすがに経験豊富なお医者様が書かれただけあるというリアリティ。そして章立てやストーリー展開、ちょっとミステリー要素もあったりと全く読者をそらさない流れは見事としか言いようのない一冊。
出版された時から気になっていましたが、やっと文庫にて手に取りました。
タイトルがもう気になってしょうがない。ちょっと知識のある方ならきっと人が亡くなる直前の呼吸のことを言っているのだなと察しがつきます。
内容は在宅看取りの話なので、話が進むにつれ人は確かに亡くなっていきます。重いです。でも重いだけでなく心にしーんと染みわたるような悲しみと温もりも一緒に感じさせてくれます。
医者である主人公が仕事として看取りを行っていくと同時に自身のプライベートでの看取りも進んでいくのですが、身近な方や肉親を亡くした方には一層物語が深く染みると思います。涙無くして読めなくなりました。
文庫版の藤田香織さんのあとがきもまた、とても心に染みるいい文章でした。物語の後でこの文章を読めたので、自分は文庫版で手に取ることができてよかったです。
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生きることの大切さ、大変さ。病気になることは誰も望まないが、そうなったとき残された人生への向き合い方は人それぞれ。
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静かな静かな最期。医療小説は多くあるけど、しみじみとした読後感。さすがに医師だけありリアルな人間の姿に、久しぶりに亡くなった父の最期を思い出した。今後必ず迎えるであろう身内の終末、ベストはないだろうけど寄り添った最期にしたい、と思わせる作品
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この本を薦めてくれた年下のお友だちに感謝。キューブラーロスの死ぬ瞬間を読んだのは20歳になるかならないかの頃でわかったような気がしていたけどそんな簡単じゃないよね。正しい答えはないけれど死ぬことを考えることは生きることを考えること。親のことも、自分のことも流されずちゃんと向き合ってかないとなあ
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面白かった。話の流れとしては『優しい死神の飼い方』(著:知念実希人)のミステリ色なしバージョン。ただしブレス4だけがちょっといびつ。
テーマとしては、「死をじっくり見れない医者多いよね」ということであり、超高齢社会を迎える現日本では死を見れる人が必要であるというメッセージ性が込められていると思われる。
病院で死ぬことは患者にとっての敗北か? 自宅でみすみす死なせてしまうことは医者にとって敗北か?
この、ある種究極のテーマに切り込もうとしていると想像する。
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看取り医の話なので
命が消えかかっている段階である。
これが読む前は心が痛むのでないかと心配していたが
よくある程よく絶望することが希望に繋がると考えさせられた。
主人公倫子は大学病院の出世ラインから外れて
訪問医、看取り医の仕事は左遷だと思っていて
理想とする医療ができなくなってしまったと
暗澹たる思いを抱きながら
訪問治療を始めていく
訪問する人々は皆
これ以上は回復はしない
病状を重くしない、現状維持、痛みを取り除くなど
医療というよりは薔薇の棘をどう気付かれないように抜くかという、抜いたところで何が変わるわけでない
痛みが一時的になくなることだけ
それでも死を認められない状況から
受け入れていくまでを
看取り医は向き合わなければいけない。
サイレントブレス
穏やかな息をして 息をひきとる
理想とされている死に方のために
正しく生を諦めるには