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ナノマシンにより、記憶を書き換える「義憶」ができるようになった現代社会を舞台にした、軽くSF風味の爽やかな恋愛小説。
難しい用語は出てこないので「SFは‥」という方も大丈夫。
文句なしに面白く、他人に勧めたいと思うくらい良い出来です。
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記憶を買えたり、忘れることが出来る技術がある、今よりもう少し先のお話。
記憶をいじれるのは、とても便利で優しくて温かくて、寂しい。忘れてしまうのも、忘れられてしまうのも、切ない。
どんなに苦しくて、辛くて、虚しくて、悲しくても、自分に諦めたつもりでも、幸せなんて望んでいないつもりでも
あんなことがなければ。とか、世界中のどこかに“運命”の相手がいるんじゃないか。と信じてみたくなってしまう。そんな期待をしてしまう。
だからこそ、その期待を、本物の救いにするために、人間は、想像に、夢に、恋い焦がれてしまうのかもしれないな。そう思った。
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三秋さんのファンで。
期待しすぎたのかな…正直、イマイチ…読んでて何回も眠くなってしまった…。
でも好評化の方が多いので、私の感性の方がズレてるのかな…
ああ、三秋さんの新作、楽しみたかったよ、己の感性よ…。
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夏になると、きっとまた読みたくなるのだろう。
おそらく、この人の小説の感想を書くたびに同じことを書いていると思うのだが、なぜこの人の作品はこんなにも優しくて、こんなにも残酷なのだろう。
足の欠けている人に義足をつけるように、この世界では思い出とか、記憶に満足できない人のために義憶というものがある。
そんな義憶の中の、大好きな人の、嘘に塗れた記憶と、嘘じゃない思い出の話。
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青春ゾンビな自分はこの本を読んで青春コンプレックスに磨きがかかった。儚くて自己完結的だけど、こんな青春送りたかった…
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昔から「袖振り合うも多生の縁」と言うが、恋人でも友人でも宿命によって出会う人が必ず1人はいる。らしい。
ただし、出会った時に直感に従えるだけの心の余白が無いと理性を優先してすれ違ってしまう。とも。
事前知識ゼロで読んだけど美しい話だった。
ただ、ヒロインの夏凪灯火て名前は余りに現実離れしていて少し冷めてしまう自分がいた。
もうちょっと現実にいそうな名前にすれば良かったのになぁ。。
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近未来で起こりえそうな設定。
記憶の売買や望んだ記憶を植え付けることができる世界。
そんな世界だからこそ、誰かの記憶に残りたいという執念が生まれるのだろうと感じた。
最後の、
それでも確かに僕には幼馴染がいた
という一文。
大事なのは自分が感じ取った真実が正だと信じること。他人から見ると不幸だと感じることも、自分で正だと信じれている人にとっては必ずしも不幸ではないのだと感じた一冊。
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インセプションやブレードランナー2049でも描かれた、人工的な記憶の導入技術や記憶の抹消技術を軸に据えたSF恋愛小説。
大変興味の湧く設定だった。そのあたりの仕掛けは大変しっかりしている。とてもよくできている。10代のうちに読めば『君の名は。』や『君の膵臓をたべたい』みたいに思い出深い作品になるかもしれない。もしかすると映画にもなるだろう。3大「君の○○」的な。
ちなみに私は「03 パーシャルリコール」の公園の場面で読み進めるのを諦め「11 君の話」を少し読み、その最後を読んで「12 僕の話」をさらっと読み終えた。
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義憶というSF設定の中で、切なく美しい青春ラブストーリー。どこか懐かしさを感じるような描写や、繊細な文章にラストは思わず涙してしまいました。
三秋 縋さんの作品を読んだのは本作が初めてだったのですが、他の作品も読んでみたいと思います。
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三秋縋先生が好きで初版で買ってましたが、最近ふと文庫化したと聞いたので再読。
当時学生だったと記憶していますが、冗談抜きで50倍良く感じました。
人生ベスト書籍です。最後の一文グッときました。
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一度も会ったことのない幼馴染がいる。
ナノマシンで脳の記憶を改変できるようになった時代、天谷千尋は自らの人生を振り返ると虚しくなるほど何もなく、いっそ少年時代の記憶を消してしまう薬を注文した。
そのはずだったのだが、千尋が飲んだ薬は、ありもしない幼馴染の記憶を脳に植え付けた。
夏凪灯花、存在しない幼馴染の彼女との記憶は、千尋にとって幸福なものだった。
ある夏の夜の祭りの日、千尋は灯花の姿を雑踏の中に見る。
記憶と偽の記憶が混同した始めたときに決定的な出来事が起こった。
アパートの隣に引っ越してきたのは、存在しないはずの幼馴染だった。
仮想空間に仮想現実。
仮想の可視化を可能とする技術が進んでいる。
たとえ記憶まではいじれなくても、映像として見せることはできるし、人の記憶というのはあやふやなものだ。
過去に戻ってやり直せるよりも、選択を間違えなかったという記憶に改竄したいという欲望のほうが強い、と作中で指摘されている。
大切なのは現実か。
現実が重くのしかかる人でも逃避してはいけないのか。
同じ境遇の二人が互いに優しい嘘をつき続ける。
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あ~、いわゆる切ない恋物語、なんだろうなぁ。
設定は近未来(?)なのか目新しい感じではあるが、流れとしてはありがちなストーリー。
特に心に迫るものではなかった。
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予備知識ゼロで読み始めたらSF恋愛小説でした。苦手なものがダブルだけど、騙されたと思って読んでみました。
設定としてこのナノマシンは好きになれないし、重大な作用をもたらすものなのにクリニックが間違えて渡したり、個々人が入れ替えても気がつかないような外観をしていること自体ダメだと思うのですが、やっぱりポイントはそこではないということなんでしょうか。
消し去れない記憶に苦しむのが人間なので、この設定で複雑さを楽しむのがSFの読み方なら、やっぱり私には難しいです。
薬は「すばらしき新世界」のソーマくらいにしましょう
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あの時こうだったらよかったのに、と夢想することがある。あの時自分の味方がいてくれたらよかったのに、と思ったことがある。過ぎ去った自分自身を、大人になった私は「こうだったらよかったのに」という妄想で慰める。そうすることでしか救えない自分がいる。あの日、言いようのない孤独を味わって、訳の分からない悪意に苛まれた自分の前には誰も現れなかったから。せめて今、妄想の中だけでも私のためだけのヒーローがいてほしかった。そういう思いを抱えている人にとって、この小説はすごく刺さる。特に、灯花の話が。こころの、やわらかくて傷つきやすい部分に刺さって、ああ偽物の記憶じゃ限界がある、こんなものじゃなくてもっと満たされる何かが欲しい、妄想なんかじゃなくて、あの日、本当にヒーローが現れていてほしかった。見えない誰かじゃなくて、隣で息をする誰かがほしかった。私がほしいのは記憶じゃなくて、今もヒーローでい続けてくれる誰かだった。この小説がそんな想いを抱えている人に届いてほしい。
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記憶を植え付けられることで始まる恋愛ものSF。過去を消したりうまく作られた思い出を植え付けることができる薬がある世界。千尋は過去のことを消す薬を飲んだが、手違いで幼馴染という女の子・灯花との思い出が入った薬を飲んだ。植え付けられた”義憶”の(存在しない)灯花であったが彼女と出会い…。最初は義憶とか薬とかその世界の説明で、どうかなあと思ったけれど、読み進めると切なく悲しく。孤独であること、寂しさ、二人が感じたこと、描写が素晴らしい。世界に対してもう望みはないけれど、でも求めてしまう。想像であった人。運命の人の存在。物語全体の世界といい、流れといい、言葉といいうまく作ったなあという感じ。