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文学のあらすじも紹介されているので読んでみる。
「結婚に失敗したとき」「孤独な時」と、過去から今まで変わらぬ人間の悩みを文字に起こしてきた文学ばかりである。
仲には「」お腹が痛い時などの症例に対応する処方箋の本が。トイレにこもっている間に読める短編だよ、という紹介だが、多分、当人はそれどころじゃない。
でもそんな緩さが面白い。
全部は読めていない。また読みたくなった時に続きを読もう。
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体や心の様々な症状別に「効く」文学作品を処方し、その理由も書かれた風変りなブックリスト。
症状は多岐に渡り、「不安なとき」「心が折れてしまったとき」といった確かに本に縋りたくなるようなものから、「お茶がほしくてたまらないとき」「鍵がなくて家に入れないとき」といった本を手に取る前に他の解決法が即座に頭に浮かびそうなものもあれば、「悪魔に魂を売り渡したくなったとき」「結婚相手をまちがえたとき」といった割とショッキングな症状まで網羅されています。冒頭から読み進めていくというより、目次から気になる症状の頁を眺めていき、目に留まった文学作品はひと先ず片っ端にチェックしていく、という使い方が正しいように思います。
海外の著者ということもあり、扱われているのは主に海外作品が中心で知らなかった作品も多く掲載されていました。あまり症状に捕らわれることなく、気になる作品に手を伸ばしてみようと思います。
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悩みに効くかどうかは別としても、読みたい本、読んでみたい本がたくさんみつかった。あ、それでもう、悩みのひとつは解消されてるのか。。
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人が本当に何かを学んだときって、誰かから正しいことを教えてもらったからって場合もあるけれど、どちらかというと、反面教師的に正しくないものを見たり聞いたりしたことによって、逆に自分にとっての、正しい方向を学ぶことのほうが多いと思う。僕が単にひねくれものなのかもしれないけれど、正直なところ、教師よりも反面教師に助けてもらったことのほうが僕は多い。
例えば、僕は以前かなりまずいくらのレベルでギャンブルにはまっていたことがある。その結果散々な目にあったわけだが、そこから抜け出る事が出来たのは「カイジ」というマンガの中のある一場面が、妙に頭に焼き付いて離れなかったからだ。そこで描かれていたギャンブルの闇に取り込まれている人たちの、姿と言葉はとても怖かった。そうはなりたくないと思った。それで僕はギャンブル依存症から抜け出たわけだ。つまりマンガが僕のギャンブル依存症という病気を直す薬となったということになる。
つまりマンガでも小説でも映画でもだが、物語というものは人の病気やケガを治す力をもつ場合がある。それはおそらく教科書のように、正しい事だけを書かなくてなならない、という縛りがないからだ。物語は自由だ。ストレートに正しいことも描かれるが、全く正しくない残酷で身の毛もよだつものも描かれる。そこから教訓を得る、または自分自身の傷を癒すための薬とするのかは、物語を体験するものの側にまかされている。物語をどう書くかも、どう読むかも、これもまた自由なのだ。
今回ご紹介する本は、人の心の病気やケガを治療する効果のある文学作品を、著者の治癒効果の解説(つまり薬効だ)とともに読める一冊である。中には劇薬と思われているものもある。しかしその劇薬にもある種の治療効果があることを教えてくれる本でもある。
そしてこの本の特筆すべき点としては、著者があげている心の病気やケガのバリエーションが豊かなことである。その項目が目次でずらりと並んでいるのだが、それを見ているだけで面白い。そしてその中でドキッとする項目だけを開いて読むというのも楽しいかと思う。
紹介されている薬効のある本には、聞いた事もない本もあれば、超有名な古典もある。日本人作家としては安部公房と村上春樹が1作ずつ選ばれている。ふたりがどんな症状に効くのか、気になる方は本書をご覧になってみて下さい。
以下に私が気になった症状と薬効のある本のリストをまとめます。
☆買物依存症
【夜はやさし F・スコット・フィッツジェラルド】
www.amazon.co.jp/dp/486182480X
当時最も美しいと言われていたニコルという女性でさえ、自分の価値を容姿やファッション以外に見いだせなかった、という姿を読んだ後どう感じるか?
【アメリカン・サイコ ブレット・イーストン・エリス】
www.amazon.co.jp/dp/4047912107
ここに登場するサイコパスにとっての人生の価値は、いかにより良いレストランで食事が出来るか?にかかっている。
☆希望を失ったとき
【ハツカネズミと人間 ジョン スタインベック】
www.amazon.co.jp/dp/410210108X
ジョージは、力はあるけれど頭は��いレニーに、二人が将来住む事を夢見る居心地の良い家の話を、時折しなければならない。誰の心にもレニーは住んでいる。だから我々は時に自分にも他人に対してもジョージになって希望を語らなければならない。
☆窮地に陥ったとき
【パイの物語 ヤン マーテル】
www.amazon.co.jp/dp/4812415330
ピンチだと思った時は、大海原に浮かんだ船の中で虎と航海した少年の機転や勇気を思い出そう。
☆罪悪感に陥ったとき
【罪と罰フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー 】
www.amazon.co.jp/dp/4334751687
罪悪感と羞恥心は社会をまとめるための社会的道徳として不可欠なものだ。しかし行き過ぎた罪悪感はよくない。ラスコーリコフから少しだけソーニャをお借りして、罪を告白し、罪をあがない、罪悪感を許そう。
☆自己中心的なとき
【カッコーの巣の上で ケン キージー (著),】
www.amazon.co.jp/dp/4572008531
「笑いを失うってことは自分の足場を失うってことだ」自分がどういう人間として記憶に残りたいのかを考えよう。まわりの人たちの人生に喜びと笑いをもたらした人か、それとも自分の人生だけがうまくいくことばかり考えていた人間としてか?
☆周囲にとけこめないとき
【かもめのジョナサン リチャードバック】
www.amazon.co.jp/dp/B01916B8V8
人と違うことをプラスと思えれるようになれば人生はずっとうまくいく。他の人がやっていないことで、自分に出来る事があればもっと取り組もう。
☆食欲がないとき
【山猫 (岩波文庫) トマージ・ディ ランペドゥーサ】
www.amazon.co.jp/dp/4003271610
年老いた貴族による欲望への賛美にうっとりしよう。何よりも大切な命そのものへの欲望を再発見しよう。
☆ズボラで困る
【星の王子さま サン=テグジュペリ】
www.amazon.co.jp/dp/4102122044
小さな星のたったひとつの花に水をやるように、自分のまわりの花に水をやろう。時間と手間をかければ、ただのものが大切なものになることを実感できる。もしも世話を怠ったらある朝目覚めて、まわりのものすべてが色あせて見えて大切さを感じられなくなる。自分の星をB612くらい大切にしよう。
☆チャンスをつかむのが下手だと思ったら。
【窓から逃げた100歳老人 ヨナス ヨナソン】
www.amazon.co.jp/dp/4890137068
「これをやるべきだろうか?」という問いが生じたら、答えは必ずYES。
☆憎しみを感じたら
【一九八四年[新訳版] オーウエル】
www.amazon.co.jp/dp/4151200533
憎悪習慣において、大衆の憎しみが、いとも簡単にユーラシアからイースタニアへ変わって行く 様子を観察しよう。そして憎しみの感情と憎しみの対象に本当に関係があるのかを考えよう。
☆腹が立ったとき
【老人と海 アーネスト ヘミングウェイ】
www.amazon.co.jp/dp/4334752993
老人とともに船に乗り、少年や海や魚に対する老人の愛を目撃しよう。過去の自分でも、今後なりたい自分でもない、今の自分を受け入れよう。人は時にとても遠い所まで行ってしまうこともあるが、帰ってこられないわけでもない。老人が海辺のライオンを思い浮かべたように、腹が立った時は自分の好きなものを思い浮かべよう。
☆���観的なとき
【ロビンソン・クルーソー ダニエル デフォー】
www.amazon.co.jp/dp/4087520463
ロビンソンクルーソーのように紙とペンを見つけて、良い点と悪い点を書いてみよう。どんな現象にも何かしら感謝すべき点はあるはずだ。楽観的な考えを掘り起こして明るい見通しを発見しよう。
☆無意味なことをしてしまう
【人生 使用法 ジョルジュ ペレック】
www.amazon.co.jp/dp/4891762535
こんな事をして何になるのか?と心配するのをやめて、その無意味さが提供する生活や突拍子もない出来事やこじつけを楽しみさえすれば、無意味な事自体が大きな喜びとなる。人生最後のパズルのピースがうまくはまらなくとも、そこにいたるまでの旅路には魅力的なものや、楽しい事で満ちている。
☆先送りしてしまう。
【日の名残り カズオ イシグロ】
www.amazon.co.jp/dp/4151200037
先送りと忙しいことは関係ない。原因は感情にある。その仕事を意識的にまたは無意識的に不快な感情と結びつけているからだ。それは先送りしているうちにどんどん大きくなる。その結果として悲しみがこの小説では描かれている。不快な感情に手を差し出してあいさつしよう。心の中に招き入れ、席を与え、くつろがせよう。そして仕事にとりかかろう。そうすれば不快な感情は立ち上がり出て行くだろう。そして望ましい感情がやってくるはずだ。
2017/09/15 13:40
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こんな気分のときにはこの本がおすすめ!という内容。出てくる本はすべてフィクションの小説で、自己啓発本などが入っていないのがよかった。洋書なのでもちろんお勧めされている本もほとんどが海外の名作だが、安部公房や村上春樹などちらほら日本人作家も紹介されている。
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悩みの解決に役に立つ、立たないは別として(多分立たないけど)、色々な本がその簡単な内容とともに紹介されているので、興味がそそられて大変楽しい。
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高橋源一郎のエッセイに掲載。
人生に悩みはつきものだ。
あるテレビ番組を見ていたら、モデル・女優のある女性が「悩んだことない」「悩むことなんてなくないですか?」と言っていたのは衝撃的だったが、まあ、大抵の人は悩むことが何かしらあるはずだ。
例えば、インフルエンザに罹り、辛い日々を超えてしかしなお家にいなけりゃいけないとき。
Netflixもいいけれど、『アクロイド殺し』はいかが?
あっという間に弱った灰色の脳細胞が奮い立つ。
ストレスがあるときは『木を植えた男』。
あの素晴らしい絵は、物語は、疲れて弱った心を優しく包む。
ストレスなんてない時も、何度も読み返したい。
読書の悩み:「読んでいる本を見られるのが恥ずかしい」(383頁)
そんな人にもし私が処方箋を書くなら?
こうだ。
日本に行きましょう。日本ならブックカバーだらけです。
100円均一の店にもあるし、書店で紙のカバーをつけてくれます。
そして何より英語で書かれた本の表紙を見る人はいませんし、みんなスマホに夢中です。
「本を大事にしすぎてしまう」(342頁)
本は書き込んでいいです、だって?
いやいや、私は書き込みや折り目なんてつけない。
風呂に持ち込むことだってしない。
手垢なら許せる。
大事にしすぎて何が悪い!
薬は人によって効果が違う。
効く本もあれば、そうでない本もある。
是非ともこの本を読んで人生を楽しもう。
でも、あまりに薬が多すぎるので、メモを取るのを忘れずに。
最後に一つ。
実存的不安を感じるとき(165頁)で紹介されている『シッダールタ』。
古代インドの架空の人物、とされているがゴウタマ=シッダールタは実在、ですよね?
それともそもそもその認識が間違っている?
いやいや、ここで書かれているシッダールタは釈迦とは別人?
気になる点だ。
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こういう本読んじゃうと、また読みたい本が増えていってしまう。
死ぬまで読書は止められなさそうだ。
読む時間をどうやってつくるか。それが悩み。
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事典好きの私だけど、これほど読んで楽しい事典は初めて。
「あ」から始まるこの時点の最初の項目は”悪魔に魂を売り渡したくなった時”に読む本。
トーマス・マンの『ファウスト博士』というのはまあ納得としても、”悪魔に魂を売り渡したくなった時”ってどんな時よ?
そんな時、本を読んでいる場合?
本を読む心の余裕がある時点で、悪魔に魂を売り渡さなくても大丈夫なんじゃない?
なんて突っ込みながら読んだけど、ふと気がついた。
これ、日本語版だから五十音順だけど、原書はABC順のはず。
訳すだけでなく、このように並べ替えも必要なんだ。
また、未訳の本も多数あるので、原書では347冊の小説が紹介されているけれど、日本語版で紹介されているのは202冊のみ。
それでもこの充実ぶり。
インフルエンザにかかった時は→アクロイド殺害事件
死ぬのがこわい時は→百年の孤独
無職の時は→ねじまき鳥クロニクル
花粉症の時は→海底二万里
等々、症状別に、または年代ごとの紹介が、理由と共に紹介されている。
そのチョイスに膝を打ったり、突っ込みを入れたりするのが楽しい。
だってさ、”鍵を忘れて家に入れない時”のために、家の外の物置に本を何冊か用意しておくといいと言って、それ用の小説を何冊か紹介しているけど、そんなもの用意しておくくらいならそこに合鍵を隠しておけばすむ話じゃんって思わない?
ただ、なじみがなくてピンと来ない作品が多いのも事実。
誰か、日本人向けのこういう事典を作ってくれないかなあ。
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昔ジュンク堂で平積みされているのを見つけ買ってみた。さまざまなお悩みに対して処方箋としてそれぞれ読むべき本が紹介してある。
この本でまず面白いのが興味を引くお悩みの種類。人には相談できないけど、でもたしかにこういう悩みってあるよな。っていうことが細かく直接的に書いてある。
それで、なんとなくこの本をパラパラしてみる。すると、自分が言葉にできていなかった悩みも見つかる。 「なるほど 、自分は、これで悩んでたんだ」ってね。それに、ここに書いてあるっていうことは、他にも悩んでいる人がいるんだなって思えたりして安心する。「孤独なとき 」とか「思春期で悩んでいるとき」とかね。
それで、そこで紹介されている本を読むと解消できる。
まあ、絶対じゃないけどね。「読んだって気休めにもならないとき」、「自分の悩みが書いていないとき」。まあ、紹介されている本を読まなくたってそこの「説明を読むだけで気晴らしになるとき」もある。
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病や悩みに対し、処方と称して本を勧めてくる。無責任で適当な選書と解説が非常に面白い。
自分でも処方箋を書きたくなる本。
面白くはあるし、紹介されている本を読んでみようかなという気にもなるが、座右の書にはなり得ないので星3つ。面白さでいえば4つに近い。
文学好きの人へのプレゼントなどにいいと思う。
トイレに置いておいて拾い読みするのもよい。
『カモメのジョナサン』や村上春樹に対する態度でその人がどういう人か言い当てられるというのは然りという感じ。