紙の本
読みやすい!
2016/02/24 01:24
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藍玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリウッド映画のシナリオを書いて競売にかけて売っていた著者。
読みやすい語り口で、シナリオに必要な要素をまとめてあります。
でもこれ一つで必ず書けるようになるわけではない。補完するためには別のアプローチからの勉強も必要。でも大切なことや使えるアイデアは書いてあるので、この手の本の中でも使える本です!
創作に関して、売れるモノを描くというのは媚びてることだろうという人がいますが、それは違うのであしからず。
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↓以下のように書きましたが、再読して印象変わりました。
わかりやすく注意点を指摘してくれる文章には
リマインダーとして学ぶべきものがあるとは思います。
作劇術関連の本は自分なりにこつこつと読んできた者としての感想。
うーん、正直言って新味のない内容でした。
この作者が語っていることは、今まで私が読んできた
脚本術の本ではほぼすべて書かれていたことでした。
妙に口語体風なのも日本語で読むと今ひとつですね。
なんかデーブ・スペクター的で。
興味深いのはチャプター2のタイトル
「同じものだけど、違ったものをくれ!」という言葉。
ハリウッド的だなーと思いました。
もっとほかにいい本があると思います。
初めて脚本を書こうと思ったひとなら
古いけど
新井一「シナリオの基礎技術」
シド・フィールド「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」
リンダ・シガー「ハリウッド・リライティング・バイブル」
などのほうがおすすめです。
この本に書かれていることがもっときっちりと書かれています。
あと翻訳ですが、ハリウッド式脚本術の書籍は
(フィルムアート社、フィルム メディア研究所が多くのものを出版しています)
おおむね誤植、意味不明の表現が多いのですが、
この本も同様でした。
人物表記もバーバラ・ストライサンドと間違えてるし。
古い映画をある程度見てる人なら、
バーブラと文字を打つと思うんですが。
訳者はあまり映画のことに詳しくないんですかね。
否定的なコメントばかりになりますが。。。
あと、この人は15のビート(局面、シークエンス、オオバコ、フェーズ)で物語を構成する考え方のようです。
それに基づく「デンジャラス・ビューティー」のオオバコの箱書きがあります。
結論としては読んで感心するようなことはありませんでしたが、
以前読んだことを再度思い出すみたいな効果はありました。
ただ、もしかしたら
この類の本を初めて読む人ならとっつきやすいからもしれません。
ちなみに
ここで語られているロバート・マッキーの著作は読みたいんですが、
ビジネス本以外の
単行本としての翻訳は出ていないようで残念です。
「Story: Style, Structure, Substance, and the Principles of Screenwriting」
これは時間があれば頑張って読みたいんですけどねー。
翻訳出してほしいです。
脚本関係の本については厳しい純丘先生も絶賛していますし。
→この人のいう15のビートシートはハコガキとは微妙に違うものでした。
ハコ+ポイントとニュアンスからなるものです。
意外にこれはいいかも。
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いわゆるハリウッド式三幕構成をベースとしている脚本術の書籍。軽快な文章で独自の脚本術やルールを紹介している。なんにしても、書かなくちゃ、書こう! という気になる本。前半(1章~4章)の、ログラインやタイトル、BS2の話あたりは日本でいえば企画書作成に役立ちそう。
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脚本術指南もさることながら、私はブレイク・スナイダー本人に好感を持ってしまった。
故人であるのが惜しい。
脚本術指南書ではあるが、物語を紡ぐ指南書でもあると思う。
大変勉強になった。
しかし、勘違いしてはいけない。
ここで指南してくれているのは、ビジネスとしての物語術だ。
もし、大衆に何か迎合したくない、なんて反論を述べるようならお門違いだ。
これはあくまで、脚本家という職業に身を置いた一人の男の処世術だ。
図らずも本書のような口ぶりになってしまった笑
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Save the catの法則という名前からもわかるように、過度の一般化を避けている点がすばらしい。
そう、これは、学者が物語という生き物を解体した解剖学の本ではなく、ハリウッドという最前線で脚本を生業としてきた著者が売れている作品の良いところ、実際に脚本を書いた経験からわかったことを生かしながら、これから脚本を書く際に気をつけるべきことが、そして気をつけていることが書かれている虎の巻なのである。虎の巻て。
まず気の利いた(そして皮肉のある)ログラインを決めて、どんなジャンルの作品を書くか決めて(バカの勝利・難題に直面した平凡な奴・バディとの友情)、独自のテンプレートに従ってどんな事件を起こすかを決めて、場面をボードに貼ったりはがしたりして構成を練って、最後にちゃんと法則に背いてないかをチェックする(魔法は一回だけか・パイプを置きすぎてないか・氷山は遠すぎないか)。
物語の構造としては救済が、援助者が、どうこうなんて物語論じゃない。バカの勝利だの、氷山遠すぎだの、プールで泳ぐローマ教皇だの、中国の百科事典みたいな分類には、そういった意味がある。
すなわち、実際に作劇の際に使える方法論であるという意味が。
もちろん、本文でもしばし例外がでるように、これは物語すべてにスコープがあたってるわけじゃない。ハリウッドで売れている作品が主な焦点。しかしだからといって価値を損ねるものじゃないし、こういった本においてはむしろ有益だろう。
だってこれは本当に売れる脚本術なんだから。
そったら意味で、実際に脚本家を目指す人にとっても、他の物語を志向する人にとっても、物語論を読むのが好きな人にとっても、いろんな意味で有益な本。いいね!
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最初に断っておきたいのですが、僕の仕事は脚本家ではありません。俳優です。ではなぜこんなテーマで本を紹介するのかと言えば、この文章を書くために自分の本棚を眺めていたら、この手の本がたくさん並んでいることにあらためて気付いたからなんです。どうやら僕は「面白い脚本を書いてみたいという欲求がある」らしいのです。そして今からご紹介する「SAVE THE CATの法則」も、そんな僕の願望を満たすために購入した一冊です。
この本は、いわゆるハリウッド映画の脚本術について書かれているのですが、まず僕が面白いと感じたのは、この本の著者であるブレイク・スナイダー氏のキャラクターです。彼はいかにもアメリカ人的で、売れる脚本を書くための法則を次々に断定していきます。例えば「きっかけを書くのは12ページ、絶対だ」のように。なんて潔い文章なんでしょう。ここまで言い切られると、その通りに書いてみようという気になるってものです。この調子で、氏は1ページから最終ページまでになにをどこに書いたらいいのか、全て解説(断言)してくれます。
法則を知って驚いたのは、多くの有名なハリウッド映画の脚本が、この法則にピッタリ合致して書かれていることです。かなりの衝撃だったので、他のハリウッド式脚本術の本も調べてみたのですが、ほぼ語られている内容は同じでした。しかもそれは、ページ単位、時間単位で決まっているのです。それは、これらの法則が、ハリウッドの長い歴史の中で蓄積され、分析されてきた集大成なのだということを感じずにはいられませんでした。
ただ、この完璧に見える法則にも、弱点がないわけではありません。それは、一定の法則に従えば、どの作品もどこか似たテイストになるということでしょう。近年のハリウッド映画を観ていると、前に観たような話だと感じることも少なくありません。しかしながら、基本を知らなければ応用もありえません。この本に書かれている法則を知っていて損はないですし、この本を読んだあとにハリウッド映画を観ると、エンターテイメントの歴史が培ってきた優れた法則を作品の中に発見する喜びを得られますから、この先、脚本を書く予定がない方であっても充分楽しめるのではないかと思います。
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「それってどんな映画なの?」という問いから始まる、売れる映画の脚本の書き方。
これから映画の脚本を書くーその前に、この問いのきちんと答えられて、且つそれだけで「面白い」と思わせるものになっているかどうか。
それができないうちは、まだ書き始めてはいけない。
この本の中では、「どんな映画なの?」に対する答えを「ログライン」という言葉でいっていますが、これはもしかしたら、ビジネスでも同じ問いあてはまるかもしれない。
「それって、どんな会社なの?」「どんな計画なの?」と置き換えると当てはまるはず。
色々なヒントにもなるかもしれません。
噂ですが、今やこの本は映画の企画打ち合わせの場でも皆持っているとかいかないとか・・・
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園子温がハリウッドのプロデューサーに「こういうのが売れる脚本だよ」とこの本を渡されたというのをどこかで見てどれどれ試しに読んでやろうじゃないかと手にとった。
定形を提示するような本は好きじゃないののだけれど、この本は面白かった。
とにかく、売れる、という一点に絞っているのが潔い。
そして定形の命名が面白い。
「プールで泳ぐローマ教皇」「マジパン多すぎ」「家の中のモンスター」などなど。
映画を時間分節で区切るやり方も他の脚本術の本よりわかりやすい。
著者が売れる脚本の優れた例として挙げている映画の中には今までなら見ずに済ましていたものもあった(「キューティーブロンド」)が、この本をきっかけに見てみると確かによく考えられたエンターテイメント作品であることがわかった。
これは収穫だった。
とても優れた脚本術の本でシナリオ執筆に興味がある人なら誰にでも薦めたいところなのだが、唯一の懸念は著者が「刑事ジョー ママにお手上げ」の脚本家だということだ。
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所在:展示架
資料ID:11300616
請求記号:901.27||Sn
エンタメ映画の殿堂、ハリウッド仕込みの脚本術。
王道なエンターテイメント作品をつくるにはかかせない知識が盛りだくさんの1冊。
読みやすく、わかりやすい(海外の本だから、わかりにくい部分もある)。初めて、物語や脚本、小説を書こうと思っている方にオススメの一冊。
スランプのブレイクスルーになる可能性も。
とりあえず、何かを書いてみたくなる本。
また、とにかく形にすることを可能にしてくれる本。
この本の指示に従っていれば、ある程度のストーリーができるため、一発ネタ程度の構想しかない場合にも便利。
プロットの作り方から王道映画の類型、脚本の売り込み方まで書いてある。
脚本の売り込み方はハリウッド基準なので、日本人にはあまり関係ないかも。ただ、知識としては面白い。
ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)という独自のシートを使った創作法が紹介されている。
曖昧で固まってなかったネタでためしてみたところ、たしかにそこそこのプロットができた。
著者は、このシートにあたる部分は何ページ~何ページまでと厳密過ぎるくらいの指示をしているが、脚本基準であるから、小説や漫画などの制作では気にしなくていいだろう。
使いやすくシートをカスタマイズすると、よりスムーズな創作活動ができるはずだ。
このシートで数~十数作分のプロットを完成させれば、意識しなくても物語の流れを生み出す力が身につくだろう。
ログラインという考えた方は、エンターテイメント作品を作る上では必須だと感じる。
今まで、意識せずに似たようなことをやっていたが、もっと精錬されてやり方があると知った。
物語は感覚で作るのも大切だが、それ以上にいかに理論的に考えるかも大切であると再確認させられた。
「魔法は一回」(手元にないからうろ覚えの表現)という考え方も載っていた。これは作中に不思議な要素は1つでいいということ。
日本の漫画を読んでいると、そこかしこに「魔法」がちりばめられていることが当たり前だが、一作でまとまっていることが前提の映画の場合、「魔法」をちりばめすぎるのは危険なのだ。
小説も基本的には1冊に1つの物語をまとめなくてはいけない。
まとまった作品にするには必要な教えのように思う。
尖らせたい場合は(ラノベや漫画など)あえて、この教えをやぶるのも手だろうが、バランス感覚が必要なので、最初の内はこの教えを守ったほうがいいと思う。
とにかく、初心者の第一歩になりそうな本だった。
s.s.
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シナリオ作成関連本で個人的に最も分かり易かったです。
実際にシナリオを書いたことはありませんが。。。
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ハリウッド三幕構成のメソッドが、類書の中では最もシステマティックに解説されていると思います。
訳文も、ちょっとテンション高めなのがたまにひっかかりますが読みやすい。
個人的には恋愛とかアクションとかじゃなく、映画の根幹のテーマから作品をジャンル分けするところが興味深かったです。
ただ読みやすいぶん、引用などは少なめ、諸々の掘り下げもライトなので、シドフィールドなんかと合わせて読むと、より理解が深まるかもしれません。
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ハリウッド3幕構成法の理解が進んだ。文章がアカデミックしておらずエンタメ。楽しいし、わかりやすいし、おすすめ。
「Chapter2 同じものだけど・・・違った奴をくれ!」
自分の作品がどのジャンルに属する作品かを知る。全く新しいジャンルはまずない。自分の作品は、本質的にどのジャンルになるのか理解し、そのジャンルのストーリーの本質を理解する。
それぞれのひな形を研究し、ストーリーを構成する歯車がどう組み合わさり、どう機能しているのかよく考える。
これってパクリじゃない? と思ったら、パクるのをやめなさい。
これってお決まりのパターンじゃない? と感じたら、ひねりを加えなさい。
こういうやり方よくあるなあと思ったら、多分その通りだから新しい方法を考えるべきだ。
でもまずはお決まりのパターンを使いたくなる理由と利点を知ろう。
パターンやルールが生まれるのには、それなりの理由がある。
ルールをしっかり理解して、応用できるようにする。
そういったものに制約されている感覚がなくなり、ものすごく解放感を感じるはずだ。
打ち破りたいものを理解して、初めて創造性を発揮できるのだから。
「Chapter3 ストーリーの主人公は?」
設定された状況の中で一番葛藤する
感情が変化するのに一番時間がかかる
楽しんでもらえる客層の幅が広い!
主人公は、何があっても顧客が応援したくなる人物でなければならない。
少なくとも観客が、主人公の行動の動機や感情を理解できる人物でなければならない。
「Chaputer4 さあ分解だ」
(ハリウッド3幕構成法)
全体:110分
論理的ミッドポイント:55分頃
論理的第1幕(1~25)
論理的第2幕(26~85)
論理的第3幕(86~110)
<第1幕:1分~25分>
オープニング(1)
テーマの提示(5)
セットアップ(1~10)
きっかけ(12)
悩みのとき(12~25)
第1ターニングポイント(25)
<第2幕1:26分~55分>
サブプロット(30)
お楽しみ(30~55)
ミッド・ポイント(55)
<第2幕2:56分~85分>
迫りくる悪い奴ら(55~75)
全てを失って(75)
心の暗闇(75~85)
第2ターニングポイント(85)
<第3幕:86分~1110分>
フィナーレ(86~110)
ファイナル・イメージ(110)
セットアップ:主人公に必要なもの、足りていないものがある時は、最初の10分、セットアップでしっかり見せる。繰り返しのモチーフや伏線になる。
第1ターニング・ポイント:一幕と二幕の境目は、古い世界を出て、正反対の世界に進む瞬間である。二つの世界はあまりに違うため、明確な意志が必要になる。何故25分に第1ターニング・ポイントがあるのか? そうなっているからだとしか言い様がない。(映画たくさん見てこの理由説明実感)
サブプロット:メインプロットから抜けて一息つく場。第一幕から突然第二幕になると、観客は混乱する。観客にとってのちょっとした息抜き。作品のテーマを伝えたり、ストーリーを前���させるブースターロケット的な役割もする。
お楽しみ:映画の宣伝で使われるようなその作品の最大のアピールポイント。
ミッド・ポイント:上映時間のちょうど中盤。主人公が絶不調か絶好調の状態にある。絶不調ならその後好転。絶好調ならその後沈む。
全てを失って:75分頃。主人公が死や大きな喪失を経験する。直接の死ではなくても、死や喪失を連想させるイメージが出てくる。古い世界、古い考えが沈む。(本当にどんな映画やドラマでも出てくるから不思議)
心の暗闇:全てを失って絶望の淵にいる時。
第2ターニングポイント:絶望の淵で、天啓を得るところ。最善の解決策が見つかる。
フィナーレ:全てのまとめ。主人公の直すべき点が全て直り、勝利で終わる。新しい秩序が始まる。これも主人公が死を経験したおかげ。
コメディーでも何でも、映画はこの構成で作られる。批判したけりゃヒットした映画を見て見たらいい(実際そうなってました)。
「chapter5 完璧なボードを作る」
ミッド・ポイントで主人公は偽の勝利に酔いしれるか、偽の敗北にうちのめされる。こうしておくと、その後の展開が作りやすい。
「Chaputer6 脚本を動かす黄金のルール」
主人公は観客が出会ってすぐ好きになり、応援したくなるようなことをしなければならない。
ギャングなら、日常会話で親しみ持てる人にする。主人公が悪い奴なら、主人公よりもっと凶悪な奴を敵として用意する(「パルプ・フィクション」)。
マスコミはなるべく出さないようにする。主人公と観客である私の2人だけの物語でなくなってしまうからだ。本当に必要な時だけ出すこと。
「Chaputer7 この映画のどこがまずいのか?」
よくできた映画では、主人公と悪役は、一人の人間の表と裏のように対の存在になっていることが多い。強さも互角だ。
魅力的な登場人物は彼ら独自の話し方をする。日常会話でも、彼ら独自の魅力を感じさせる言い方をする。
台詞は、人となりを表現するチャンス。
直すべきところはきっぱり直す。それがプロとアマチュアの違い。頭の中で「うわ、ここ駄目じゃん!」という声が聞こえてきた時、本物のプロだったらこう答えるはずだ。「大丈夫! 直し方はわかってるから!」ってね。
「Chapter8 やってはいけないこと」
脚本コンクールははっきりいって時間の無駄だ。コンクールに出ても、エージェントやプロデューサーとコンタクト取れるわけじゃない。受賞した脚本を誰が出資してくれるんだ? どうしてもコンクールに出したいなら、レベルの高い審査員がいるか、きちんとした座談会やセミナーがあるものを選びなさい。
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小説を書く際に役立てようと購入。
これは確実に殿堂入り。
ストーリー作りに必要なひな形がわかりやすく、かつイメージしやすい言葉で提示されていて、読み物としても楽しい上に、これに従えばいいものが書ける! という気にさせてくれた。
(実際、抜け落ちチェックなどに重宝しそう)
書く際の心構えなどの精神論ではなく、あくまでも実践編なのがよい。BS2とボードは、これから使っていきたい。
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Kindleでセールしてたので購入。映画脚本術の本。軽快な語り口で売れる作品を作るための方法を記しており、楽しみながら読み通せる。小説や映画に限らず、方法を一般化し、ものづくりを行うときに活かしたり、また、この本を踏まえて映画等を鑑賞すると違った見方もできるようになるかも。何はともあれ訳者による語り口調がたのしい。
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物語に潜む構造を類型化するという営みは、構造学者のクロード・レヴィ=ストロースを初めとして多くの文学研究者や社会学者が取り組んできた。近年でも、テキストマイニングの手法に基づき1,700のフィクションを時間軸とハッピーさでクラスタリングした結果、6つのパターンに収斂した、というバーモント大学の研究成果も公表されたばかりである。
さて、本書はアメリカのハリウッドで成功した職業脚本家である著者が、本当に売れる脚本術と題して、脚本家の卵へ向けた脚本の正しい書き方に関する書籍である。一見、単なるHowTo本に見える本書がなぜ面白いのか?
それは、世界のポピュラー映画の脚本には、10のパターンしかない、という見事な類型化が示されているからである。「家の中のモンスター」、「金の羊毛」、「組織の中で」等、それぞれの類型において守るべきポイントが示され、膨大な映画タイトルの中から各類型に当てはまる具体的な作品とシナリオが示されるが、読んでいて、「これは確かに・・・」という強い説得感がある。
また、売れる作品は1-2行(数十文字)の作品紹介文の中に、皮肉やイメージの広がり、ターゲットとなる顧客層などが全て込めらているべきである、というテクニックなどは、ビジネスにおいて何かしらの企画を考えるときの一丁目一番地といってもよい共通性がある。
脚本家を目指さなくても十分に面白くて何より学びがある稀有な一冊。