紙の本
行動経済学についてそのエッセンスを纏めた書です!
2018/11/28 12:34
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、very short introductionシリーズの一冊で、多忙を極めるビジネスマンを対象に、重要な学問的知識のエッセンスを短期間で理解できるように編集されたものです。本書は、ノーベル賞で有名になった行動経済学のエッセンスを誰にでも分かり易く解説したもので、これを読めば、今注目の行動経済学の概要が分かるようになっています。
紙の本
今流行りの感情的生物としての人間
2018/10/26 10:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
我々の意思決定は利益とコストの合理的計算のみに成り立っているのではなく、社会的・心理的要因や個々人の性格・感情等更には気候や条件付けにも影響されていることを前提に、実は効用の最大化ではなく満足化を求めていることを再認識させてくれる書。行動経済学が市場の失敗や行動バイアスの解決に役立つことを希望する。
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行動経済学という名前は自分が大学生の時は聞いたことが無かった。
これは私が不真面目な学生だったと言うよりも、行動経済学自体がまだ歴史が浅い分野と言うとことだろう。
最近のマーケティング人気もあり注目が集まる分野なので読んでみた。
基本的に概要説明なのでさらっと読める。
何かこれを使って深い理解やインスピレーションを得たりと言うことは期待できないが、まずは取っ掛かりとして広く浅く知識を得ようと思うのならオススメだと思う
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面白かった。
経済学に、社会学と心理学のエッセンスを追加した、行動経済学という新しい学問のジャンルについて。その基本が網羅されたような良書だった。
社会学と心理学ということで、言われてみれば当たり前であるようなことも多かった。
でも、自分の行動について、統計と言葉で裏付けが取れたような気がして、新鮮だった。
個人レベルでは、節約とか貯金とか、資産運用にちょっとだけ役に立つかも知れないと思った。
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合理的なホモエコノミクスを仮定する従来の経済学とは異なる対象を仮定する行動経済学。本書以外にもいくつかの有名な一般書があるが、内容が新書サイズにまとまっていてかつ内容も保証されているという点で類を見ない貴重な一冊。
ファストスローで言及されてるすぐに利用可能な情報や置かれた状況に依存したヒューリティクス・バイアス、時間的に現在に強い価値を置くのに遠い未来には容易に耐えられる時間バイアスなど、様々な書籍で紹介されている主な内容がまとまっているので、参考書籍として非常に優秀だと思う。
ただし神経経済学に関する知識で調査がどのように行われているかにも短いながらも丁寧に文章が割かれているので、どうしてもエンタメ性は類似署に比べると犠牲になる印象(その分過不足ない実態をつかめるのでメリットでもある)。行動経済学関連の類書をどこかで多少でも聞いたことがある人以外は、他の書籍から手をつけてもいいかも、とは感じた。
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18.9.21
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、ノーベル賞等で話題の学問「行動経済学」
を、コンパクトにまとめた、便利な一冊。
一時期、あれだけ話題になりましたから、一冊、二冊は読んだとい
う方が多いかもしれませんが、そんな方には速攻でおさらいできる
コンパクトな本として、またこれから学ぶ人には、要点を外さず、
さくさく理解できる入門書として、おすすめの内容です。
著者のミシェル・バデリーさんは、ケンブリッジ大学で経済学の修
士号と博士号を取得。
現在は、南オーストラリア大学選択研究所教授で、ユニヴァーシテ
ィ・カレッジ・ロンドン構築環境学部の経済学・金融学教授を務め
たのち、現職についています。
イギリス政府の有害物質諮問委員会メンバー、ケンブリッジ大学科
学政策センター研究員も務める才女のようです。
本書は、そんなミシェルさんが、行動経済学の基礎理論と研究結果
を、じつにコンパクトにかつわかりやすい言葉でまとめた一冊。
通常なら300ページ以上の本を数冊読んで得られる知識を、わずか
170ページでまとめているので、講演・講義をする方は、手元にリ
ファレンスとして置いておくと便利でしょう。
さっそく、ポイントをチェックしてみます。
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私たちの選択は粘着性を持つことがある。状況が変化したとき、私
たちは常に効果的に行動を変えるとは限らない。ライベンシュタイ
ンは私たちの行動が粘着性を持つ状況は二つある、と主張する。一
つは選択を変えるコストが高すぎると判断したケース。もう一つは
怠惰で無気力なために選択を変えないケースだ
質の高い情報が得られないとき、急いでいるとき、認知的制約や社
会的影響を受けているとき、私たちは時間や情報が十分にある完璧
な世界では下さないようなまずい判断を下すことがある
最も成績が悪かったのは、個人として金銭的報酬を受け取らず、し
かも仕事ぶりが公表されなかったグループだ
私たちは他の人々が自分と比べてずっと恵まれている、あるいはず
っと不幸であるのを好まない。それは不平等な結果を嫌うからであ
る。経済学者はこの選考を不平等回避と呼ぶ
私たちは優位の不平等回避より、劣位の不平等回避にはるかに大き
く影響される
ジョージ・アカロフとレイチェル・クラントンはアイデンティティ
の分析を通じて、タトゥー(入れ墨)やピアスといった自らの身体
を傷つける行為など、一見不可解に思える行動は、実は内集団に対
して仲間であることをシグナリングする試みであることを明らかに
した
人間の社会的性質の重要な特徴の一つは、他者を模倣し、群れ(ハ
ード)を形成し、行動をともにしようとすることだ。社会学者が説
明するところによれば、このハーディング現象は二種類の要因によ
って引き起こされる。規範的要因と情報的要因だ
日々の生活のなかの私たちの判断は、それによって現状からどれく
らい変化するのかを基準としていることが多い。転職するとき、あ
るいは家を売るとき、正当な収入や売却価格に関する私たちの認識
は、現在の収入や家を買ったときの価格、あるいは隣人が最近家を
売った価格が基準になる。こうした判断の問題点は、市場の実際の
需給とほとんど関係がないことだ
リスクのある結果に対する人々の反応には安定性や一貫性がない
私たちは飛行機のハイジャック事件や墜落事故といった鮮明な恐ろ
しい場面を見ると、実際には飛行機より電車のほうが事故のリスク
は高いのに、飛行機に乗るのを避けようと思ったりする
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地味な見た目の本ですが、行動経済学は学問そのものが面白いので、
読んでいて飽きることがありません。
『選択の科学』『ファスト&スロー』『経済は感情で動く』『予想
どおりに不合理』あたりを読んだけれど、中身をすっかり忘れてし
まっている、という方は、ダイジェスト版として持っておくといい
でしょう。
一冊置いておくと、マーケティングのヒントとして、リファレンス
として、また雑談のネタとして使える一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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・行動経済学は、従来の経済学に心理学、社会学、神経科学などの知見を結びつけ様々な知識の融合により、経済行動や金融行動に対する理解を深める経済学。
・伝統的な経済学者は、人間を合理的な生き物とみな
すが、行動経済学者は「限定合理性」(人間の意思決定には様々な制約ある)、「環境合理性」(合理性は人間が置かれた状況や場面に左右される)を提唱する。
・インセンティブとモチベーションを2つに分類する。
└外発的モチベーション:お金など個人の外部にあるインセンティブや報酬である。
└内発的モチベーションは、プロ意識、大義への忠誠心など個人の内なる目標や姿勢から生じる。外的インセンティブは不要。
・人間には、他者を模倣し、群れ(ハード)を作り、行動をともにしようとする社会的性質がある。
ハーディング現象は「迅速な意思決定のための手段」と解釈され、行動経済学はそれを「ヒューリスティクス」と呼ぶ。
・ヒューリスティクスは便利だが、他者の誤りの繰り返しにもつながる。失敗要因に次の3つがある。
1.利用可能性ヒューリスティック:関連する情報を入念に調べることなく、簡単に手に入る情報に頼る。
2.代表性ヒューリスティック:類似性があるように見えるだけの出来事から、もっともらしい関連性を見つける。
3.アンカリングと調整ヒューリスティック:特定の参照点を判断のアンカーとし、選択を調整する。
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「行動経済学」というのを初めて知ったのはカーネマンの名著『ファースト・アンド・スロー』だった。それ以来、カーネマンに続き、リチャード・セイラーもノーベル経済学賞を取るなど、行動経済学自体の認知度はここ最近でもかなり上がった。本書は、その行動経済学の比較的しっかりとした入門書と言える。
行動経済学の基本概念を説明した後、重要な概念である社会選好、ヒューリスティックス、危険選好、時間選好を丁寧に解説した後、最新のfMRIなどの脳神経科学の新しいツールを活用した神経経済学まで話を進め、最後に行動経済学がマクロ経済学や公共政策など社会全体に与える影響について議論するという構成になっている。
読み物としては、リチャード・セイラーとキャス・サンティーンの『実践 行動経済学』、ダン・アリエリーの『予想通りに不合理』『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』の方が面白いかもしれないが、きちんと行動経済学を理解しようとするのであれば、わかりやすく良い本。
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『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(ダン・アリエリー)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4152089792
『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』(ダン・アリエリー)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4152093412
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経済学全体に言えるが、あまりにも価値観や文化で自由に定義を発明できてしまうのが、行動経済学の弱点であり、また強みでもあり続けてきた。
例えば、インセンティブを外的、内的と分けること自体が発明的だ。例にあったように、彼らは金銭的報酬を外的とする。そして、家族があるものもそれが外的だと言っているが、では家族の安心、安全は果たして外的か?そもそも、外的か内的かという問題に客観的なしきい値を作ることが難しい。文化や、個人的価値観によるところがあまりにも大きい。よって彼らがしていることは、昔、宗教がしていたような、文化の再発明やある価値観の強化と言えよう。
本書はリファレンス、ランドスケープとしては役立つが、知的好奇心や探究心を満足させるかという点では期待できない。その発明があまりにただの言葉の定義の羅列に過ぎないためだ。
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人間はそれほど合理的な生き物ではない。行動経済学では伝統的な経済学と異なり、人間が必ずしも合理的な判断を下す生き物ではないことを前提としている。そのときその人が置かれている状況や時間の有無などの外的要因に加え、その人自身の性格や感情等の内的要因によっても影響を受ける。そのため、心理学や社会学、さらには神経学など多様な分野の考え方を融合させる必要があるのが行動経済学という学問である。この本では行動経済学という学問を様々な側面から網羅的にカバーしてくれる入門書になっていてとても分かりやすい。
特に興味深かったことをメモ程度に残しておきたい。
・人間は、モノを購入する際にたとえその選択がお得でなかったとしても、時間をかけてリサーチせずに経験則や直感を活用して素早く判断を下す。このシンプルな経験則をヒューリスティクスと呼ぶ。ヒューリスティクスはときには役立つが、バイアスを生むことにつながりかねないという問題もある。
・人は何かを選択する際に、必ずしもゼロから検討材料をすべて確認するわけではない。自分が現在知っている情報や置かれている状況(参照点)と、新しく検討しようとしている情報を比較する。そのため、私たちの意思決定は参照点からの変化に基づいて行われている。
・同じお金であっても、そのお金がどのように手に入ったかによって扱い方や価値が変わる。例えば、宝くじで当たったお金はたなぼた勘定に分類されるため、散在する可能性高いが、自ら必死に働いて稼いだお金であれば貯蓄に回すだろう。
そのため、現実的には同等価値のあるものであっても、その人が置かれた状況次第でその価値は変動する。
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「いま、行動経済学に注目が集まっている(11p)」
この言葉で始まる本書は、ノーベル経済学賞に輝き、政策立案にも活用される行動経済学を教科書的に学べる。
人間を「完璧な生き物」と見做す伝統的経済学に対し、行動経済学は実験から様々なバイアスを見出す。まだまだ可能性を秘めた行動経済学は、これからの時代を生きる働き手としても生活者としても必修の教養だと思った(逆に知らないと危ない…)。
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行動経済学のエッセンスが詰まってる一冊。
行動経済学で明らかになった事実とそれを示す事例集です。
読み物として面白い。