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紙の本
こんな風にして父から子へと伝わっていくものがあるのかと思わせられた
2019/01/26 23:33
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品をほとんど知らないが、『ミッドナイトジャーナル』が意外と面白かったので、手にしてみた。『ミッドナイト~』と似て新聞社、新聞記者などが登場してくるというのも惹かれるところだった。
本作はスポーツ新聞社を舞台にして、ライバルとしのぎを削りながら編集局から営業に回ることになった男と、後に父親と同じようにして新聞記者や営業畑で働くことを選んだ息子達の活躍や、彼等をとりまく女性達が描かれている。
平成時代およそ30年の社会の移り変わりの中で、スポーツ新聞の業界にいるとあり得るだろう出来事が描かれるており、そこに登場人物達の関係特に父と息子達、兄と弟といった切るに切れない関係からにじみ出してくる生き方の問題がこの作品全体を通して描かれていた。
著者自身がスポーツ新聞の記者を長く勤めただけあり、新聞業界の描き方はさもありなんと思える。特に本作ではプロ野球選手と新聞記者とのやりとりや、他社の記者達との駆け引きのことなどが面白かった。
全体の構成も9つの話とエピローグからなっており、まるで野球の選手9人と監督のような構成のようにも思えた。もともと前半5話は雑誌や新聞に連載されたものであり、後半は書き下ろしとなっているので、それぞれを独立した話としても読めるし、全部を通して人間関係の話としても読めるというのも良かった。ただし、第9話だけが時間の経過を曲げてあり、やや唐突な感がある。エピローグが全体の話の終わりになっていて、9話で出て来るエピソードがエピローグだったら著者が描きたかっただろう「世代」の話がハッキリとしたようにも思うのだが。
個人的には父子の話というのに敏感に反応してしまうところがあるので、いろいろと考えさせられながら読んだ部分もあるが、全体としては新聞業界を扱った連作小説として面白く読めるのではないかと思う。
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