紙の本
世界経済を俯瞰して、将来を予測した書です!
2018/10/25 13:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、安倍政権のご意見番として活躍されている高橋洋一氏による作品です。同書は、世界経済を俯瞰して、将来の世界の動向を予測したものです。高橋氏の鋭い視点と統計などを詳細に分析して得られた情報は、かなりの精度があり、非常に現実に起こるであろうという臨場感をもって読むことができます。世界経済、世界情勢に興味をもっておられる方々には、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。
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交渉というものは、
それぞれの言い分を足して2で割ったもの。
言い分の5割にもいかないのが当然。
タイムテーブルが決まってないとプレッシャーになる。
FTA
貿易の自由化
EPA
+資本の自由化 *中国はできない
ロシア
GDPは日本の1/4、韓国より低い。天然エネルギー頼り。 東へシフトが進む。
比較優位の原則
プライド無くし、体力を。
自分の価値を知る。
日本の財政のバランスシート
実質負債は500兆円、税収増加で補える。
日銀と合わせるとさらに。
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つい最近、米中貿易戦争の真意は日本を狙い撃ちしたものである、という論調の本を読みました。社会人になったころから、その方の著作を数多く読んできているので、なるほどと思いながら読み進めました。
一方で、その本を読む前に、高橋洋一氏によるこの本も読み終えていました。タイトルを見る限り、正反対の主張をしているように思えます。彼の本もいつも納得しながら読ませてもらっています。
このような対照的な主張の本を読み比べることも読書の面白いところですね。米中貿易戦争の顛末は、少なくとも3年以内には決着がつくと思いますので、今後の動向に注意していこうと思います。その際に、テレビ等のメディアの情報は、惑わさせることが多いと、これらの本を読んで感じています。
以下は気になったポイントです。
・デフレの国際的な定義は、二期連続での物価下落、と定められている。物価とは、消費者物価と企業物価をあわせたGDPデフレーターで見る。それによるとデフレは1995年からと判断できる、デフレが始まった原因は、バブルではなく、バブル潰し(金融引き締め)にある(p5)
・アメリカの通商拡大法232条に基づく追加関税は、1982年にレーガン政権下でリビア産原油を禁輸したのを最後に発動していなかったが、トランプ大統領はそれを36年ぶりに引っ張り出してきた(p23)
・韓国は米国とのFTA見直し交渉に同意した(2018.3.27)が、競争的な通貨切り下げを禁じる為替条項に同意した、これは極めて異例な事(p32)
・トランプ大統領の貿易政策は、ミクロ的に見れば無茶苦茶に見えるが、全体のマクロ政策を見ると、積極財政策をとっているので大きな景気後退はなりにくい(p38)
・米中のお互いの報復関税は、結果は中国だけが損をすることになる、アメリカが中国に輸出している額よりも、中国がアメリカに輸出している額のほうがはるかに大きいから(p38)
・国際金融のトリレンマによれば、中国は、1)自由な資本移動を禁じているので、2)独立した金融政策を確保したいなら、3)固定相場制を選択するしかないことになる(p53)
・中国のアメリカへの輸出量が減少すれば、中国のアジア、アセアン5からの輸入も減少する、なかでも大変なのは韓国である(p107)
・日本の輸出産品は、日本にしかつくれないものが多い、粛々とTPP11との交渉を続ければいい、アメリカとはFTA,EUとはEPA(ルール作りをしている部分がFTAとの違い)を進めればいいだけ(p110,123)
・経済成長率の高いドイツは、本来ならもっと高い為替レートになるべきであるが、ユーロ体制の中で相対的に優位な立場となり輸出により大きな利益を上げている。一方、ギリシア、スペイン、ポルトガルは輸出不振で苦しんでいる、彼らの正しい選択は、ユーロ離脱である(p127)
・ベトナムは2016年2月に協定に署名してTPP参加国となった、これは社会主義国をやめる、という宣言であり中国と同じ道を歩まないという意思表示である(p129)
・2017年の名目GDPにおいて、アメリカ(19390、十億ドル)、中国(12014)、日本(4872)、ドイツ(3684)、イギリス(2624)、インド(2611)、フランス(2583)、11位に韓国(1538)、ロシア(1527)である(p130)
・働き方関連法は、労働基準法等の8本を束ねたもので、2019年4月から順次導入されることになっている(p140)新しい「モデル就業規則」では、副業・兼業が以下のようになった、第14章67条:ポイントは、事前に会社に所定の届け出を行う、会社が禁止・制限できることもある(p142)
・凡人はみんな、他者を凌駕するような素晴らしい能力など持っていない、相対的な自分が優位な部分を探せばよい、それが比較優位の原則である。これは人生を全うするうえで役立つ数少ない経済理論の一つである(p149)
・インフレ率2.0%プラスマイナス0.5%というレベルが半年くらい続くようになるまでは、金融緩和を続けるべき。2006年の失敗を思い出すべき(p170)
・政府の借金は1000兆円以上と言われるが、これはグロスの数字であり、ネットの純債務は500兆円規模(548兆円@2017)である(p176)
・アベノミクスによって、有利子の国債から無利子の日銀券への転換という負債構成へ変化が進んでいる、その結果、毎年転換分の利子相当の差益(通貨発行益)が生じる。具体的には、10兆円x金利であり、1%であれば1000億円となる(p185)
・高度プロフェッショナル制度の対象となる人は、1)年収1000万円、2)同意したヒト、などの要件があるが、年収1000万円以上というのは、全労働者の4%程度(p195)
・米中が互いに貿易制裁をすると、米中は日本との交易で、米中間の貿易の減少を補おうとする。(p200)
・消費税を10%にすると同時に、その日から全品目に軽減税率を適用すれば、増税による経済的ダメージを回避することも可能であろう(p223)
2019年9月16日作成
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2019/02/27:読了
統計を使ってわかりやすい本。
前提となる統計操作について、どう考えているのか、今度本を書いて欲しい