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中国人芸術家の蔡國強氏と、友人で共同制作者でもある志賀忠重氏のお話し。川内作品は何冊か読んでいるが今回もまたプロローグから面白い。
本作を読むまで全然知らなかったが蔡氏は世界的なアーティストで、美術界のオリンピックと呼ばれているヴェネツィア・ビエンナーレで国際金獅子賞を受賞しているそうだ。たしかに沢山のオオカミが宙を舞う作品「壁撞き」は自分も見たことがあった。
そして蔡氏を無名の頃からサポートし続けている志賀氏は、芸術家ではなくいわゆる市井の人なのだが、親分肌で非常に使命感が強い人物である。たまたまテレビで見た冒険家に資金を援助し、資金援助だけではなく実際に北極まで物資を届けに行ってしまったエピソードは面白かった。
二人の出会いは決して偶然ではなく、強力な嗅覚が互いを嗅ぎ分け、出会うべくして出会ったのだと思う。作品が10億円で取引されるようになっても、変わらぬ付き合いを続けている二人がとてもうらやましい。
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"国境を越えた友情というありふれたテーマ…"とはじめにあり、私も、こういう人と違ったことしてる人いるよな〜くらいに思いながら二人のお話を読み始めた
二人が何をしたいのかわからず、それぞれ自由な人なだけ、と思っていたが、だんだんわかってくる、二人の魅力、深い考えと筋の通った自由な思い
義務じゃなくて愛情の問題だ、と志賀さんが言い、それを素直に受け止めすぐに行動に移せる蔡さん
桜を植える志賀さんを応援するように桜を描いた蔡さん
二人の友情の美しさ
また、二人の周りにいる方々の温かさ
ぐっと胸を掴まれた
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中国人の現代美術家蔡國強氏と福島いわき市との繋がり、特に志賀氏との個人的な繋がりを描いたノンフィクション作品。
東北大震災、原発問題もテーマの柱としてストーリーが進んでいく。
中国と日本との繋がり、911と震災との繋がりと、ドットが結びつく過程をモチーフとしてうまく取り上げている。
個人的には蔡氏も志賀氏も、いわき回廊美術館のことも知らなかったので、この本を通じて自らが知らない領域に導かれる心地よさを感じながら読み進めることができた。
そして人生を大きく、太く生きている人の人生観は興味深い。
ノンフィクションの場合、テーマ選びがとても重要だと思うのだが、著者が海外で生活し、勤務した経験があるからこそ、今回のモチーフがレイダーに入ってきたのだと思う。
いつか、いわき回廊美術館を訪れてみたい。
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いわき回廊美術館行ってみたくなったなー。
終わることのない9万9000本の桜の植樹
普通のペースで後250年
蔡國強の人となりもさることながら
普通のおじさん志賀さんが
普通に見えて凄い人だったなぁー
人たらしというか人あしらいというか巻き込む力が凄い
北極横断の冒険家を援助する話も会社を2週間もほっといて
命の危険がある北極に行って手伝うってなかなか出来ない
船の展示は本当はチームいわきでなくても
出来るのかもしれないけど
彼らの背負ってきた年輪が作品に反映されてるとも言える
朽ち果てる船首に
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現代アートのスーパースター蔡國強と福島県いわき市の"おっちゃん"志賀忠重の30年近い交流を軸に、北極海単独徒歩横断に挑む冒険家大場満郎の話も織り合わさって、深みのある作品となっている。そして何より東日本大震災と万本桜という途方もないプロジェクトのこと。実に豊かな一冊。第16回開高健ノンフィクション賞受賞作。
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現代美術界のスーパースター・蔡國強さんと
いわきの会社経営者・志賀忠重さんの三十年の交流を追った、ノンフィクション。
蔡さんといえば、北京オリンピックの開会式では
芸術監督として壮大なスケールの花火パフォーマンスを行なった方。
あー、あの花火、素敵だったな。
冒険家の大場満郎さん、いわき市民など
この本に登場した人たちは、みなさん、すごいパワーを持っている。
肩ひじ張らずに自然体だ。
2011年、東日本大震災による
福島第一原発の原子力事故。
p276
「福島はフクシマになった」
山に桜を植える「いわき万本桜プロジェクト」
p337
志賀さんの言葉。
「お客さんに来てもらうためではないんだ。
”怒り”を鎮めていくものなんだ」
スケールが違う。
一年、二年先なんて
本当にあっという間だな・・・と
思わせてくれる。
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日刊ゲンダイ 2019/01/23 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/245984
蔡國強 Cai Guo-Qiang
http://www.artfrontgallery.com/artists/Cai_Guo-Qiang.html
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蔡國強の個展を横浜で見た時の圧倒される迫力を思いながら読んだ.あの時の「夜桜」の背景にこのような物語があるとは,いわきの人々と芸術家の強い絆に感動した.そして何より素敵なのは志賀忠重さん.彼の存在感,人生哲学に脱帽である.
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現代アートの本だと思ってたら、大場さんが出てきてビックリした。
アーティストよりも強烈な志賀さんという人ほんとすごい。
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川内有緒さんのこれまでの著作はどれも面白くて、大好きな書き手の一人。ただ今回は、読み通すのにちょっと苦労した。丁寧に取材してあるし、いつも通り読みやすい文章なんだけど…。題材にあまり興味をひかれなかったのと、著者自身のことがほとんど出てこなかったせいだと思う。
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アーティスト蔡國強といわきに生まれ育った志賀忠重というふたりの男性の人生とその友情を描いたノンフィクション作品。
1人にフォーカスするのでなく、それぞれの人生とその交わりが描かれていたのが良かった。
蔡國強がいわきでアートプロジェクトを実施するにあたって掲げたフレーズ「この土地で作品を育てる/ここから宇宙と対話する/ここの人々と一緒に時代の物語をつくる」は、彼にとってアートがどういうものかをよく表している。ふつうに生活をしている中で、宇宙と対話するというスケール感を持つことは難しいけれど、それを可能にするのがアートなのだと思う。ことばにできないことや、ことばになる前のなにかを、身体で感じ取るための触媒のようなもの。
蔡國強の作品を見てみたくなったし、いわき回廊美術館にも行ってみたい。
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二人の人物をおいながら、自然と二人がつながっていく流れがお見事です。知り合いの紹介で読んだのですが、読みやすく引き込まれました。
知らなかった人の生きてきた過程を知ることができてよかったです。
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なんかのラジオで題名聞いて、なんかおもしろそうだなあっと思っていたら、すっぴんでゲストにでられてたので、
あ、この人が書いた本かあっと、思って手に取る。
表紙がとても幻想的で美しい。
題名とあいまって、ちょっとファンタジーっぽいけど、ドキュメンタリーである。
2人のとんでもなくエネルギッシュで温かく魅力的な人物の関わりから紡がれるたくさんの物語。
いやあ、面白かった。
志賀さん、なにもの?
ライオンがガーガー言ってるみたい、とゆーのに笑った。
ハンググライダーの件はすっごくなるほどっとおもった。
人の期待に左右された決断はだめだ。
これ、肝に銘じるべし。
北京オリンピックの巨人足花火、さすが大陸中国、やることでかいなあっと思った覚えはあるんだが、あれが蔡さん演出だったとは。
つってもこれよむまでそーゆー人がいるとゆーことさえ知らんかったけど…。現代美術とかよーわからんし。
でも、これ読んだら、機会があれば彼の個展行きたいなあ
P354の光の梯子は本当に綺麗。
桜の巨大画も見てみたい。
いわきの回廊美術館も春に行きたいなあ。
そーゆーのあったらいいよね、から、本当に作ってしまうまでがすごい。なんかもう、凄いとしか言いようがない。多くの人が志賀さんに魅かれるのわかるなあ。
桜を植えることで怒りを鎮めている。
日本人は怒らない民族だというけれど、
怒り、はないわけじゃないんだよね。でも結局原子力発電はゼロにならなかったのはその怒りが奪われた人達のみのものだったこと、なのかもなあ。
震災後自粛モードだったエネルギー消費も結局戻って今も煌々としてる首都をみるとそう思える。
にしても、いわきチームがセットの美術作品。
なんかほんとかよっとツッコミをいれたくなるような出会いの連続の果てに続いているプロジェクトだけど、
ほんとなんだなあ。
明治の文豪時代みたい。
大変だけど楽しい、と、みなが懸命に美味しいもの一緒に食べつつ同じ時間を過ごす、ことの幸せをしみじみ感じる。素敵だ。
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「こういうノンフィクションもあるのか」
というのが読後の率直な感想です。
一方は著名な芸術家であるものの、主題は
その芸術家が作り出す作品に関わる市井の
一人の人間が織り成す生き様です。
自分以外の「他者」のために常に生きていると、
こういう素敵な人間関係を築くことができるのか、
と今さらながら学ぶことができる一冊です。
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蔡國強の作品は多くの人手がかかりましたが、作品の良し悪しを先に判断したりせず、協力を惜しまない、贈与の気持ちを持ち続けるスーパーボランティアの方々がいることが、すばらしいなと思いました。