紙の本
山本周五郎賞
2021/01/23 19:13
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
未熟な想いを覚えた中学時代の同級生の元女子と35年振りに再開した元男子の主人公との恋愛小説。果てしない波乱があるストーリーの筈なのに、何故か陸の様に“平場”に紡がれる淡い恋心が印象的だった。単調過ぎるほどの進め方が却ってリアルを強調していて、読者の年齢層によって著しく捉え方が変わるだろうと感じた。弱った大人のもどかしい強がりと甘えのコントラストが絶妙に面白い、山本周五郎賞受賞のオススメ作
電子書籍
青砥は腹の座りが悪い
2021/01/11 16:16
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投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の青砥は、頭の中であちこち行き来して、50という年の割りに腹の据わりが悪い人物だ。同年代の人間としてそう思う。もう少しだけでも、心の声が寡黙であれば、小説の切実さも増したのではないか。がん患者に寄り添う立場の人は、言葉にならない言葉を抱えている。青砥のうろちょろが、ややうるさく感じた。
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
偶然、再会した二人が、お互いに支え合うように幸せになっていくのだろうと思いながら読みました。しかし、その結末はそんな簡単なことではありませんでした。病気には勝てないんだなあと思いました。
紙の本
せつない
2020/02/06 09:10
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
50代のバツイチ同士の同級生が遭遇。
懐かしさに浸る間もなく、女性の方が大腸がんに。
ひとり暮らしの不安もあるなか、色々と手を貸してくれる男性。
「この歳で甘やかしてくれる人に会えるなんて、もはやすでに僥倖だ」
その言葉は、口下手で自分一人で生きていこうと決心した女性の相手に対する最高の褒め言葉。
しかし静かに淡々と時が二人を裂いていく。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生時代の仲間、青砥と須藤が、50歳になって病院の売店で再会。大腸がん、人工肛門というハンディを負いながら大人の愛を見つめていく、という展開。さほど珍しい物語でもなく、とりわけ前半はかったるくて仕方がない。終盤にきて読ませる部分はあるものの、全体的にはイマイチ。一見、読みやすそうで、しかし重みを感じて読みづらい文章は何だろう。直木賞候補になったと言うけれど、文学界のレベルそのものが落ちているのか。
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ああ、大人ってめんどくさい。
大人だからと考えも行動も慎重になって、でも好きで。しんどいなぁ、わかるなぁ。そしてこういう小説好きだなぁ。
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朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとり。元女子須藤とは病院で再会した。50歳になった男と女の、心のすき間を、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く大人の恋愛小説。
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どこに地雷があるかわからないめんどくせぇ中年女。僕も中年男になったのでその良さがすこしだけわかるような気がする。
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「田村はまだか」で、はじめて朝倉かすみさんを知り、読み続けて10年。わりと淡々と読んで来ましたが、ついに来たか、という感が強くしました。
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あぁ、こういう小説が好きなんだよ私、としみじみ思う。
たとえば、描かれている登場人物の年齢に違和感を感じる小説ってのはよくあって。これはどうみてももっと若いだろう、とか、この年齢でこれは無理よ、とか。
でもこの小説において、青砥も須藤もちゃんと50歳なのだ。
もうすでに若くはないけれど、それでも人生の残りはまだまだある…という年齢。
その年齢で再会した幼馴染み。木綿のシャツがゆっくりと肌になじんでいくような、そんなペースでお互いの距離が近づく快感。
こうやって穏やかにこころ静かに幸せになっていく、そんな二人を見守っていきたい、きっと誰もがそう思う。
なのに…
後半の二人の葛藤や焦りや「想い」ゆえの怒りが自分の中にくすぶる。
これはオトナにしかできない恋の物語であり、オトナにしか楽しめない小説なのかもしれない。
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大人だけど、大人だから…。躊躇って、慎重になって、時に臆病になったり… だけど好きという気持ち、相手を思い遣る気持ちは何歳になったって色褪せない。
最後は悲しくも、静かにそれを(須藤の死)受け入れていく青砥の想いは計り知れない。 須藤の気持ちも痛い程伝わって、読み進めていくうちに胸がいっぱいになった。
静かに、でも熱い大人の物語だ。
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読み終えて、映像化した場合
女優、俳優は誰がいいか。と思いめぐらせた。
須藤役の女優さんは、松雪泰子さん。
青砥役の俳優さんは、佐藤浩市さん。
落ち着きがあり、堂々としている須藤。
甘えることができない。
青砥は、須藤に甘えてほしい、頼ってほしいのに。
演じてもらうなら、松雪さんと、佐藤さんがいいな。
若いころとは違い、明るい未来がこの先も続く。
なんて、甘い考えは持っていない。
でも、終わりが来るとも思えない…青砥だが。
不器用な二人の不器用な恋模様がもどかしくて。
若い人にも読んでほしい。
きっと、思い出に残る一冊になると思う。
何十年か先、この本のことを思い出し
(そういうことか!!)となるはず。
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今の自分に当てはまる所が多く、共感を呼ぶ!!!
自分だったらどの様に考え、行動するのか?
いままでのすべての行動が今の自分になり、生活環境になっている。作中の主人公も死に向っている。これからの人生に不安をもっている。
【本文より】
「青砥には十分助けてもらっているよ。青砥は甘やかしてくれる。この歳で甘やかしてくれるひとに会えるなんて、もはやすでに僥倖だ。」
「母がいなくなっても不自由はなかったよ。むしろ快適だったかも。でも、なんとなく不便な感じはずっとあった。きもち的にね。不便じゃなくて不憫かな。うまく言えないけど、わたしとみっちゃんはなんとなく不憫でなんとなく不便な気持ちでいたようなきがする。」
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久々の星5つ。50代で中学な同級生と再会した2人が、お互いに距離感を縮めることに躊躇いつつも、次第にかけがえのない存在になっていく過程が絶妙。
最近は、余命幾ばくもない若者の悲恋を誇大広告で売り出していくパターンが多いだけに、このように「平場の人間」を主人公に据え、丁寧に心象風景を描いていく作品は貴重だと思う。
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平場ひらば。ちょっと老後が不安な中高年の単調な毎日にチラッと垣間見えた月の明かり、希望とでも言うのだろうか。
しかし、そう上手く事は運ばない。
切ないなぁ…例えそれが中高年であっても、中高年だからこそかもしれない。
人間の肉体の老いるスピードと、心の老いるスピードはだいぶ違うように思う。この話に出てくる人物たちの年齢と自分の年齢が近いからか、随分と感情移入してしまった。
青砥のその先の人生はどうなるのだろうか。
2019.9.10