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P+D BOOKSから刊行の倉橋由美子も4冊目になった。考えてみれば『アマノン国往還記』以外は全て桂子さんシリーズだ。
『交歓』を最初に読んだ時は何歳だったか。冒頭の一文で、いつの間にか自分が桂子さんより年上になっていたことに気付いて愕然とする。
次は何が復刊されるんだろうか。『ポポイ』辺りがそろそろ来て欲しいのだが……。
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よかった。なんだかなめるように読んでしまった。(ちょっと下品かしら)
それほど私の趣味にあっていたのである。というよりこの私の年齢にしてわかる本なのかもしれない。
しかし、文学が好きな方には是非お薦めしたいと思う一冊に間違いない。私が太鼓判を押す。
*****
倉橋由美子といえば昔1975年、横浜に住んでいた頃に取っていた朝日新聞の連載記事のひとつが忘れられない。
「神奈川50年 文学の風景」として神奈川を舞台にした文学作品、住み付いた作家が与えてくれたもの、感じたものの意味を探る、というコラムだった。沢山の作品、作家の中で倉橋由美子の記事に私は瞠目した。
伊勢原市大山のふもとに移り住んだ倉橋さんは、筆を絶っていたのだ。
1960年「パルタイ」でデビュー、61年「女流文学賞」62年「第四回田村俊子賞」などの文学賞を取り、絶頂だったろう、なのに「夢の浮橋」を書いた後「私にとっては育児も小説をかくことも片手間には出来ない」と休筆。
「パルタイ」の読者が「議論をしたい」と訪ねてきて、子育てに夢中な倉橋さんに「堕落だ」と言ったそうな。
違う違う、今にして思えばそれも倉橋由美子流の信念なのだ。
そのコラムが印象的だったのは、文学作品が読めなかった私の育児期間とだぶっていたく共鳴したからだ。(私は単に読者たり得なかっただけだから、次元が違うが)
「交歓」はその後の作品である。もう少し前に読みたかった。亡くなってしまったではないか!
桂子さんというのは「夢の浮橋」「城の中の城」「シュンボシオン」「ポポイ」というシリーズの主人公である。
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桂子さんシリーズは出版された順だと今作の前に「シュンポシオン」があるのだが、時系列としてはこちらの方が先だったから、飛ばして先に読んだ。超上空飛行という感じで、もはや下界の下々の生活など眼中にない、という態度が逆に清々しい。一種の教養小説。