紙の本
犬と料理と
2019/08/05 11:36
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
犬と料理とは近藤さんの得意分野(笑)
山の中で失われかかった潮田の命、亡くなった母親の命を嘆く○○氏の娘の気持ち。
食材になった野生の生き物たちの命。そして食べられることなく処分されていく生き物たちの命。
この作品は終始命について語っていたように思う。
電子書籍
ジビエ料理
2019/08/09 23:55
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投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジビエ料理食べたくなりました。ピリカとマタベーという犬たちの描写が、とてもいきいきしていて、作者の犬に対する愛情が伝わってきました。命をいただくという行為についても考えさせられる作品でした。
紙の本
ジビエか
2024/01/01 12:53
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
需要と供給と価格のバランスだよね。
安価で安定的に供給できれば、もっと流通に乗るだろうけど。
お店に行かないと食べられないようじゃ、厳しいかな。
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タルトタタンでダメだったのに一応期待して借りたのだけど、割と早めの途中で続きを期待できなくなった。読み終わったというのではなく放棄です。
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ジビエが食べたくなる一冊。
キャラは結構立ってたのですが特に大きな波乱があるわけでもなく、サクッと終わった。
オーナーとかもっと出てくれば面白そうなのになぁ。
最後のミステリー的な要素も要らないかも。
前半が好きな感じだっただけにちょっと後半は失速した感が否めない。
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これまたクリーンヒット。(このところ当方の打率が良い)
犬と暮らす人を描くためにジビエを素材として選んだような感もあるけど、それも悪くはない。
ただ、タイトルは、ちょっとピンぼけな感も…
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山で遭難したシェフの潮田を助けてくれたのは、
無愛想な猟師・大高だった。潮田は、大高の
仕留めた獲物を店で出せるよう交渉するが…。
ジビエを通して繋がるふたりの成長物語。
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猟師の大高さんとフレンチのシェフ潮田さんとでジビエ料理にまつわる物語。ジビエは美味しいが正しく管理や調理しなくてはならない。狩猟も捕りすぎると生態系を崩すし中々難しい。だが料理はとても美味しそう!
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陽のあたる縁側に、何度綿を打ち直してもすぐにぺたんとなってしまう縞木綿の座布団を敷いて、その上に座る一人の老女。庭の奥には亡夫が丹精した蜜柑の木に木守めいて残る黄金色の果実に一羽の鵯がきて止まり、さかんに実をついばんでいる。手にした湯飲み茶碗に、斜めになった茶柱がそこだけ陽を浴びて揺らめいている。そんな光景が目に浮かぶ表題で、字面だけで想像するなら随筆か何かと取り違えそうだ。
かな書きの題名だけを読んだとき、ふとそんなことを想像した。近頃では書店も減って、新刊の表紙を目にすることもなくなった。まして、ベストセラーででもなければ平積み、面陳という形で、表紙が目に留まることもない。本を手にして初めて、表紙に描かれたマウンテン・パーカを着込んだ男二人が、ワイングラス片手に季節外れのキャンプを楽しんでいる姿が目に留まる。手前にいるのはポインターか。枯れ木に吊るしたランタンはおしゃれだが、焚火でもバーベキューコンロでもなく七輪というのが微妙だ。
『タルト・タタンの夢』や『ときどき旅に出るカフェ』で料理とミステリをうまく融合させた独特の路線を行く近藤史恵の新作である。例に挙げた二作が連作短編集で、いわばアラカルトだとすると、今回はやや短いものの長篇のフル・コース。野性的な男とどちらかといえば線の細い男性、それに生きのいい女性という三人の組み合わせは『タルト・タタン』を思わせる。今回のテーマは近頃何かと話題になっている「ジビエ」である。
腕はいいのだが、経営手腕に欠けているのか、店をつぶしてばかりいるシェフの潮田は三十五歳。今は女性オーナーにジビエ料理を食べさせるという契約で、店を一軒任されている。野鳥を撃ちに山に入った潮田は道に迷い、遭難しかけたところを猟師の大高に救われる。その日の獲物を解体する大高の手際に魅せられた潮田は、それ以降大高が仕留めた野鳥を引き取ることになる。
フランスなどでは季節になると供されるジビエだが、日本では害獣駆除という目的が先になって名前が知られるようになったようだ。野生の鹿や猪を、こちらの都合で勝手に害獣扱いするのはいささか気になるところだが、山間で農業をしている友人がいて、近くのカフェでお茶しているとき、林から鹿が出てきたことがある。ふだんは優しい男なのに、鹿の害を口にする口吻の激しさに驚いたことがある。町の人間には見えていない部分があるのだ。
店を軌道に乗せるため、潮田がどんな料理を作るのか、という愉しみが一つ。そこに、潮田が泊めてもらった大高の山の家が放火に遭うという事件が起こる。人づきあいを避け、猟犬と山に籠る大高にはどんな経緯があるのか、という興味が話を引っ張る。二人の男はほぼ同年輩で、まだ不惑には遠い。自分の生き方に対する悩みもあるし、他者との軋轢もある。対照的な男二人の出会いは二人の成長にどう影響を与えるのだろうか。
閑話休題、少し前に中島敦の『山月記』がネットで話題を呼んだことがある。長年にわたり教科書教材たり続ける理由は、全文転載可能な短篇であり、代表作であることの他に、人を虎に変えるほどの執心を戒める奇譚を「臆病な自尊心、尊大な羞恥心」という作家のアイデンティティの核となる主題を絡めることで普遍的な主題に再構成した工夫にあるだろう。
超エリートの主人公が己の才を恃み、職を辞して詩作に励むが、困窮し下級官吏と成り果て、遂に発狂し山野を馳せるうちに虎に変身を遂げる。偶々出会った旧友にその苦衷を打ち明けるという話だ。自分の才能を恃んで次第に生活が苦しくなっているという点で潮田に、人と交わらず独り山に籠る点で大高に似ている。とかく、若いうちは自分の生き方にこだわるあまり、周りが見えず独りよがりに執して身動きが取れなくなるものだ。
潮田は調理学校では自分の方がずっと成績がよかったはずなのに、あまりぱっとしなかった同期のシェフが大きな店を成功させていることに嫉妬する。このあたりの落ち着かない気持ちには覚えがある。優等生の陥りやすいところで、師匠のお覚えめでたく何でもそつなくこなすのは得手だが、さて、自分独りになった時、何ができるかというとそれはまた別の問題である。むしろ、しくじって頭を打った者の方が周りをよく見て失敗からの脱出法も知っているものだ。
大高の車が当て逃げされたり、友人の猟師が銃を盗まれたり、と不穏な空気が漂い出すあたりで話は一挙にサスペンスが高まる。動物の命を奪うという点で、猟師は環境保護を訴える運動家には目の敵にされる。ジビエ料理を看板に揚げるレストランのシェフも同様だ。しかし、一方では作物を荒らす鹿や猪、鳥を駆除してほしいという近隣の農家の願いもある。また、せっかく仕留めた獲物も、衛生管理の点で許可を得ていない施設で解体したものは店で提供できないなどという縛りもある。
ミステリではないが、サスペンス風味を利かせて読者を引っ張ることで、他の生き物の命をいただくジビエ料理を切り口に、料理、環境保護、農業、狩猟といった各種の間に横たわる確執をどう考えればいいのか、というヒントを与えてくれる。ひとくちに解決できる問題などはありはしない。その中で、他者との間に生じる軋轢を逃げることなく受け止め、誠実に対処してゆくよりほかにやれることはないだろう。二人の青年の交流がその糸口となる予感がする。
フランス語をあしらったメニューに見立てた目次は今回も健在。第一章「夏の猪」に始まり、第十一章「ヒヨドリのロースト みかんのソース」に至るまで、全十一品。どれも実際に口にしてみたい料理ばかり。それにもう一つ、愛犬家の近藤らしく、潮田の飼うイングリッシュポインターの雌犬ピリカと大高の北海道犬のマタベーが人間たちに負けずに活躍する。頼りない潮田ではあるが、ピリカを案じる気持ちに嘘はない。犬に限らず動物と暮らす者として、うんうん、そうだよね、と何度もうなずかされた。シリーズ化できそうな気もするが、ジビエに限ると難しいか。とまれ続編を期待したい。
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山で遭難しかけたシェフの潮田は猟師・大高に助けられたことを機に、彼から獲物を譲ってもらうことになる。
害獣かジビエかという話かと思ったら、後半からはミステリーの展開になっていく。
なぜこんな展開にしたのか、読み手の気持ちを置いていかれているようで残念でならない。
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【目次】第一章 夏の猪/第二章 ヤマシギのロースト/第三章 若猪のタルト/第四章 小鴨のソテーサルミソース/第五章 フロマージュ・ド・テット/第六章 猪のパテ/第七章 ぼたん鍋/第八章 雪男/第九章 鹿レバーの赤ワイン醤油漬け/第十章 熊鍋/第十一章 ヒヨドリのロースト みかんのソース
他の生き物の命を「いただく」ことをめぐる物語。保護派として取り上げられている側が極端すぎる嫌いはあるが、筆者の主張には納得できる。押しつけがましさがないのも好ましい。
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+++
はじめたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。相棒の猟犬と途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。かねてからジビエ料理を出したいと考えていた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるよう交渉する。しかし、あっさり断られてしまい―。夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。
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ジビエ料理にスポットを当てた物語は珍しいのではないだろうか。獣を狩る者とそれを料理する者、そして犬たち。著者ならではの題材という気がする。獣を狩る者、それを料理して提供する者。店を維持していくことも考えなければならないというジレンマ。さまざまな事々が相まって、日々何かに追われているようでもある。自然を相手にし、自然と共に生きることの過酷さと覚悟や、人間社会で生きていく上で避けて通れない難題が、物語を通して伝わってくるような気がする。立場の違う大高と潮田だが、互いの存在が、より深く考えるきっかけになり、互いの視野を広げたことは確かだろう。それぞれの今後と、犬たちの成長をもっと見たいと思わされる一冊だった。ぜひ続編を読みたいものである。
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フレンチのシェフが主人公と言うことで、「パ・マル」シリーズのように、ほんわかとした日常の謎ものかと、勝手に想像して読み始めたら、どうも今作は違う雰囲気に…
猟の為に山に入ったフレンチのシェフ・潮田は道に迷い、一緒に連れていいた愛犬・ピリカと一緒に遭難しかけてしまう。
そんな潮田を救ったのが、少し不愛想な漁師の大高。
その日から、何とも言えない二人の不思議な関係が綴られていく。
ジビエが苦手なので、狩猟で獲た獣の肉を解体する過程などは、少し気持ち悪いぐらいだが、読み始めるに連れて、現代の日本が抱える動物との共存の問題が、鮮明に描かれる。
元々、肉が苦手で、ましてや癖のある肉の魅力には、残念ながら最後まで魅力を感じなかったが、問題提起としての作品としては、十分に考えさせられるものだった。
これでジビエを好きになれたら、もっと素敵な作品だと思えたかもしれない。
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(2020/9/15読了)
ジビエにそそられた分おまけして星4つ。
主人公、潮田の挫折から、様々な出会いにより、自分の目指す生き方を模索する話かと思っていたら、途中からサスペンス色が強くなっていって、苦笑してしまった。
たしかに、事件が起きたり波乱万丈な方が飽きないだろうし、私も先が気になってノンストップで読んでしまったけど、その流れになる前の、穏やかな感じが最後まで続いていても、それはそれでいいんじゃないかなと思った。映像化するなら、お料理をメインに、美しい映画ができると思う。
お料理の専門用語が度々出てきたけど、何かわかりやすくした方が、誰にでもわかりやすく読めるんじゃないかな。
肉が苦手な私だけど、食いしん坊なので、食べてみたいなぁと思いました。
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ハンターとフランス料理シェフの話
ハンターのハンターたる苦悩
シェフの理想と現実の間での葛藤
里山に クマ、イノシシ、シカ、その他 小動物を
作物を荒らすという理由で、害獣などと呼ぶ
動物は
ただ 生きるために食べて
子孫を残すべく日々 純粋に懸命に生きている
でも
それを駆除しなければ ニンゲンも困る
とても難しいし
すぐ解決つく問題じゃないけど
命をいただいて 私達は 生きている
そのことを 忘れては いけない
そして生きるのには
ほんとうは ほんとうに 時間がかかるのだ
て 思った
シェフ潮田の成長が 好ましかった