紙の本
革ジャンにスキンヘッドでバイクを乗り回し、マスコミには揶揄交じりに「政界のブルース・ウィリス」と書かれたこともあります。
2020/08/17 20:35
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオハシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやすごかった武闘派だ、読んでよかった・面白かったなどという言葉ではうまく表現できないが、とにかくすごかった2019年3月の本。
確か春ごろに、「これ超面白そう!」と思って買ってあったのですが、どんどんどんどん読まなきゃいけない本が加速してきて後回しにされてきたんですが、正月休みである程度さばけたので、やっと読みたい本として読んでよかった本。あとからいろんな仕掛けを読み返すと、翻訳者があのFACTFULNESS を訳された関美和さんなんですね。
内容に関しては、多くのレビューアーがそれぞれのコメントをなされていると思うので、ほかの方のコメントも参照いただきたいのですが、プロローグを読んだだけで作者の意気込み・熱意がビリビリと伝わってきて、以下の部分が大好き。「この本の執筆は、楽しい作業だった。脚注も参考文献もつけず、学術論文の作法も気にせずに書いたのは、この本が最初で最後だ。」
あとはストーリーの途中で「マトリックス」の世界が表現されているのも好き。 なるほど! と思わされた。
あとのなるほど!は、(いつも通り?)訳者あとがきに書かれてあって、『できるだけ専門用語を使わず、地に足のついた、血の通った言葉で経済について語ったもの』です。
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P244
大切な判断を他人まかせにしないためには、経済とは何か、資本主義がどのように生まれ、どんな歴史を経ていまの経済の枠組みが存在するようになったのかを、自分の頭で理解する必要があるのです。
(中略)
だからこそ、日本で多くの人がもっと経済について自分の言葉で語れるようになるといいし、本書が経済と資本主義について考えるきっかけになることを願っています
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いや、なるほど!となったところはそのつづき
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P245
ギリシャの経済危機の最中2015年に財務大臣に就任しました。 そしてEU当局が主張する財政緊縮策に敢然と「ノー」を示し、大幅な債務帳消しを求め、国民投票でも緊縮策の受け入れ反対を勝ち取りました。(中略)その強硬な姿勢のため、やがて、より融和的な大臣が後任に指名されましたが、その大胆な主張は世界的に大きな注目を浴びました。
さらにバルファキスは、学者または政治家らしからぬその風貌も話題になりました。革ジャンにスキンヘッドでバイクを乗り回し、マスコミには揶揄交じりに「政界のブルース・ウィリス」と書かれたこともあります。
そんな著者が書いた本書は、現代の経済の本質を鋭く突いた内容が大きな話題を呼び、ヨーロッパを皮切りに各国でみるみるうちにベストセラーとなり、いまや世界25か国で出版が決定しています。
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いやほんとすごい本だった。
ぜひ多くの方に読んでほしいです!!
紙の本
「差」があるのはたまたま
2020/09/21 10:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:翔 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さまざまな「差」が生じてしまうのには、たまたまその環境だったから、というのが往々にしてあります。人の責任にするのではなく、その人たちを取り囲んできた周りの環境によるのだと考えることで、少しずつ優しい気持ちになっていけます。
紙の本
ギリシャ経済危機の当事者からみた「世界の見かた」
2020/01/05 22:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
交換価値と経験価値を峻別することを手掛かりに市場社会の仕組みを解き明かす視点が面白い。資本主義は、予言の自己成就、なかんずく楽観的憶測を燃料に、自己の欲を満たすために駆動する錬金術であるという。そして、市場社会への転換は交換価値が経験価値を凌駕したことを起点とする。
筆者は古今東西の優れた物語は、寓話としてわれわれの不安を映し出す鏡とみる。この逸話による脚色が文章に色を加え、より腑に落ちる。
しかし、現代への警鐘一辺倒かというとそうではなく、資本主義経済にはじめから埋め込まれた安全装置を、希望を見出す。マルクスと同様に。
筆者は読者を、若者を、人間を励ます。
電子書籍
必読!
2019/06/02 11:02
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AR - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで読んだ経済の本でベスト。この本の解説は未来に繋がるものとなるでしょう。是非多くの人に読んでほしいものです。
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分かりやすかった。
Surplusによるヨーロッパの発達と
船で渡る商人によるグローバルビジネスの発達。
あとは第二次世界大戦の人種別に別れた牢屋の中での市場について。
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専門用語をほとんど使わず、ストーリーを使って分かりやすく経済の事を説明した本。
今まで経済の本はとっつきにくいものが多かったが、この本は10代の娘に向けて書かれたもので、分かりやすくドンドン読み進められる。是非読んでおきたい本である。
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かつてリーマンショックを予測し的中させたギリシャの元財務大臣による経済入門。古代における「経済」の誕生から、産業革命における「格差」の拡大、国家による統制を受けない仮想通貨の弱点まで、「経済」という視点で人類史を俯瞰できるのです。
続きはこちら↓
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p138 いま、われわれはそんな大転換の最中にいる。〜しかし残念ながらこの変革は、解決と反対方向に社会を向かわせている。変革の目標が〜人間を機械に置き換えることになってしまっているのだ。
p141 〜利益について、それ自体が目的になっていく〜
p153 機械と違って人を雇えば、人はお金を循環させ〜
p154 だから、仕事が単純化され機械化が進み、賃金が下がりすぎると、ある時点でものが売れなくなる。〜労働者が機械化に抵抗することは、雇用主も含めて市場全体の得になる。労働者の抵抗が自動化にブレーキをかけ、利益の破壊を防ぐからだ。
#機械は人の営みを助けるものであるべき。社会は人のネットワークであって機械のネットワークではない。人が機械の道具となる日が来れば逆転する。
p155 〜もし機械が人間の創造力や〜能力〜今後機械が発達し、そうした仕事ができるようになるだろうか。
#アイデアが過去のアイデアから生まれるなら可能。その創造に機械自身が何らかの喜び(主体を動かすモチベーション)を得られるか、それが必要かはわからない。喜びを得るなら最早機械ではない。
p159 どの部分を取り換えたら君が君でなくなるのか〜そのどこかを取り換えたら、君や私が人間でなくなるのは確かだ。
#どこまでが人間であるかは本人ではなく他者によって決まる。周囲がどう接するか(どう扱うか)であり、扱われる側が決める事はできない。(扱われたい方向に努力することはできる)
鬼(異邦人)が村人(コミュニティの一員)になれるかはその働きによる。
p168 われわれ人間はテクノロジーの可能性を余すところなく利用する一方で、ひと握りの人たちの奴隷になることもない社会を実現すべきだ。〜機械が生み出す富をすべての人に分配したほうがいい。
p202 〜私の父に話を聞いた。〜政治犯として〜収容されていた。その収容所でタバコが通貨として使われていたかを聞いてみた〜。父の答えは〜「私たちは受け取ったものをなんでも分け合っていたよ。〜」
p232 〜ヘンリー・デイビッド・ソローは、「幸福になるには、それを求めないことだ」〜。幸福は美しい蝶のようなものだ。「追えば追うほど逃げていく。しかし別のことに気を取られていると、そっと肩に止まっている」
p233 市場社会は見事な機械や莫大な富をつくりだすと同時に、信じられないほどの貧困と山ほどの借金を生み出す。
p240 アルキメデスは、離れてみると、何事も不可能ではないと言った。〜人を支配するには、物語や迷信に人間を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。〜すっかり内側に入ってしまうと、アルキメデスの視点でものを見られなくなってしまう。
p246 この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿〜
#それって何?
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経済について分かりやすく語った一冊。
格差が起きる理由やお金について、歴史的なものも踏まえて書かれています。
交換価値と経験価値の話が分かりやすかったです。
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ギリシャ金融危機の際にギリシャの財務大臣を務めてた経済学者が書いた本。
たしかに面白かった!
『信用の新世紀』『日本が売られる』『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 』『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』なんかに書かれている事がこの本でギュッと結ばれた感じ。
国の財務を預かっていた人が、「基本的に金持ちは税金を払わない仕組みを作り、貧乏人はカツカツのところから税金を出すだけなので、総論として国を維持するための税収は常に足りていない。だから足りない分を国債で賄い、債務超過はある程度不可逆的なもの」って言い切られると、ねぇ。
人類史において市場ができた時代と、市場社会になった時代は全く異なっていて、交換可能価値にばかり重きを置かれるいわゆる資本主義社会というのは人類の歴史の中でも随分最近のもので経済活動においてさえ普遍的なルールではない事。封建制以前の宗教が支配の正当性を民衆に刷り込むためにその機能が果たされていた事と同じように、現代の経済学は資本主義支配の正当性を裏付けるための仕事しかしていない、とあっち側の人だった学者が言うんだもんなぁ。
とにかく、「考えろ、疑え」だそうです。
結論はテクノロジーを肯定的に利用し、人間の人間たる特性を最大限に使い、ベーシックインカム的な方法論で資源の民主化を進めるべきだ、という考え方の人でした。
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交換価値に支配された現代社会の私たち。昨今では「市場スコア」なる自分自身にまで市場価値を付けるサービスまで現れた。
いつ、どこで、どのように、この市場に支配される社会は始まったのか?その歴史を紐解きながら、今ある世界の経済のあり方を分かりやすく説いてくれる。
普通の経済書とは全く違ったアプローチ。
ギリシャの政治家だから古代ギリシャやローマのアネクドートがいっぱい出てくるのがいい。
もっと内容分厚くてもよかったな。
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経済は農作物の余剰が出来たことで発達。
・宗教発生は経済的要因。
余剰を支配者が独占し、それを正当化するためには、現在の地位は天からの授かりもので、それに反することは世の中に大混乱をもたらすのだと、信じ込ませる必要性があった。これが宗教の役目。
・オーストラリアは英国に支配されたが、逆にアボリジニが英国を支配できなかった理由。
経済は軍事力であり、経済力は余剰から発生、で、地政学的な話。ユーラシア大陸はヨーロッパから中国まで、比較的温暖で作物の生育に適しており、(特に小麦は西から東まで育つ)余剰が多く発生。これが国力となり世界を支配できる国力を持つ国はユーラシアから生まれた。アフリカは南北に長く、アフリカ全土で育てられる穀物は無く、農業文化の広まりは極めて限定的。そのためアフリカから強大な国家は生まれなかった。
・イギリスで産業革命が成功した理由。
大航海時代、貿易が金になることに気づいた英国貴族は、保有する広大な敷地で農奴に作らせていた玉ねぎなぞ、何の役にも立たないと気付き、農奴を追い出して羊を飼い、羊毛を輸出することにした。追い出された農奴は羊の世話をして羊毛を刈り、売却して、その益から貴族に金を収める商人と、蒸気機関の発明で広まり始めた工場で働く労働者に転換し、産業革命を後押しした。
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「美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい」というわけではない。原題は「Talking to My Daughter about the Economy」で、「美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい」というのは邦題に勝手に付けられたものなので当然といえば当然。特徴は、娘に向けて語りかける感じなので、物語調になったり、古典の引用を混ぜたりしているが、まわりくどいので、どちらかというと分かりにくい。
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私も渡し自身で娘等に色々教えたいと思っており、手に取る。自分にとっても興味深い話、「何故ヨーロッパは色々な場所に植民地を築けたか」
が、それ以降は難しくなってしまい、娘に教えられない内容、うーむ。
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市場社会が生まれた経緯に始まり、それを維持する金融システムの内容、政府の存在、格差、AI&ロボット社会の功罪、環境問題、民主主義、幸福とは?...etc, かなり幅広い内容を、歴史上の出来事や、印象的な挿話を取り上げ、順序立てながら分かりやすく説明していく内容。
p.250弱とそんなに長くなくスラスラと読めるも、かなりお腹いっぱいな読後感。それほど濃い本だった。
・市場社会の始まりは農作物などの余剰から生まれ、それを取引するための信用ツールとして通貨が生まれ、それを管理するために政府が生まれる。
・農作物をつくる土地をその時の支配者などに奪われた農奴達は生きるために別の起業をする。そしてそのためには金がいる、そこで銀行が生まれ、金を貸す事で借金が生まれる。この借金から、全ての富が生まれていく。
・労働力とマネー。産業革命以降、労働力は機械化。機械に働かせるか、人間を機械のように働かせる社会へ。またテクノロジーは今は一部の富裕者にのみが支配している。そのようなものが労働を全てAIやロボットに代替しても、しかし経済は破綻する。人間が働いて賃金を得る事で経済が回るが、現在のロボットはお金を使わないから。
・意志をもったAIが登場すると、世界はマトリックスのような悪夢の世界に?
・経験価値ではなく、全てが交換価値でカウントされるのが市場社会。昔は良い行い=GOODこそに価値があったが、交換価値が重視される社会では全てがGOODs=商品となってしまった。そこでは環境を破壊して得られるものが交換価値を生み出し、環境は破壊され続ける。
・そんな世の中で良いのか?そこを解決できる唯一の方法は、民主主義であること。