紙の本
これは岸見一郎の「青春記」でもある
2019/03/29 07:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんともそっけない書名だが、よくよく考えると、この新書は「本をどう読むか」をまとめたものだということがすぐにわかるタイトルだと気がつく。
副題に「幸せになる読書術」とあるが、きっと普通であればこちらが書名になりそうだが、これだと漠然としてどんな読書術かは読んでみるまでわからない。
そんなことも、十分考えられたゆえの書名のような気がする。
著者はアドラー心理学の研究者で、古賀史健さんとの共著となった『嫌われる勇気』が大ベストセラーに岸見一郎さん。
あれだけのベストセラー作家を出版社が見逃すはずもなく、岸見さんが語る読書術を聞きたい読者は多いはずで、そんな期待に違わない作品に仕上がっている。
感銘を受けたのは、この読書術は等身大の岸見さんに沿って書かれているということ。
読書術ではあるけれど、見方を変えれば岸見さんの「青春記」とも読めてしまう。
例えば、両親から買ってもらった本の話、学校の先生から勧められた本のこと、若い頃辞書をどんな風にひも解いたか、特に第2章「本との出会い」は読み応え十分だ。
岸見さんは1956年生まれだが、同時代に育った私にとても懐かしかったのが梅棹忠夫の『知的生産の技術』。当時ベストセラーになったこの新書の話が何回も出て来る。
本好き、読書好きにとって、こういう身近な本の話が出るのがうれしい。
そういった話を綴りながら、「本をどう読むか」を丁寧に教えてくれる内容になっている。
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ベストセラーになった『嫌われる勇気』の著者による読書術本。
といっても私は『嫌われる勇気』を読んではいないのですが。。。
この本は当初買うつもりはなかったのですが、ふと「まえがき」を読んでみると、以下の文章で始まっていました。
*****
中学校の頃から学校に行かなくなり、十年ほど引きこもっていた若者が私のところにやってきたことがありました。
コートの片方のポケットから本を取り出しました。それはポール・オールスターの小説でした。
「ポール・オースターの本が好きなのです。でも、学校に行かなかったので漢字を読めません。それで、これでは駄目だということは知っているのですが」
と、もう一方のポケットから今度は国語辞典を出してこう言いました。
「画数を数えられないので漢和辞典ではなく、国語辞典を使っているのです。」
・・・
彼が学校に行っていれば、新聞でも小説でも辞書を引かないで自在に読めるようになっていたでしょう。
しかし、学校に行っていたら勉強を強いられ、その結果本を好きにならなかったかもしれません。
ポール・オールスターについて熱く語る言葉から、彼が本当に本を読むことが好きでたまらないということが伝わってきました。
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これはズルい。こんな意味深な物語から始められると買ってしまうのが人情でしょう。(個人的な人情ですが)
読み終わって言えることですが、本書は万人ウケする読書のHow to本ではありません。そのつもりで読むとあるいはガッカリするかもしれません。本書では速読も量読も否定されています。どちらかというと著者の考える読書論ですね。
なので著者の価値観に触れたい人が読むといいのではないかと思います。
個人的には、本書は小説に近い形で読みました。著者はかねてから小説を書きたいと考えているようで、その影響のためか、本書にも所々で小説のような表現が(おそらく意図せず?)盛り込まれています。総じて、最期を看取った母親に対する表現に、何か慈愛のようなものを感じました。
*****
この本を読むことに私は躊躇しました。一つは、そこに新約聖書の次のような一説が出てくるからです。
「よくよくあなたがたに言っておく。一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それは一つのままである。しかしもし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる」
すでに死を予感しなければならないほど状態が良くなかった母に、死について語ったこのような一説を聞かせていいものか、迷ったのでした。
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また、著者が大病を患って入院した際に出会った主治医との少しズレた(故に滑稽で面白い)やり取りも個人的に好きです。
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入院していた時、「本は書きなさい、本は残るから」と主治医に言われました。
入院は一か月ほどだといわれていたのですが、退院してもすぐに良くなるとは思えなかった時に、どんなに状態が悪く、たとえ一歩も外に出ていくことができなくても、せめて家にいて本を書けるぐらいには回復させてほしいと医師���言ったところ、医師はその私の言葉を受けてこう答えたのでした。
・・・
しかし、医師がその時に言った「本は残る」という言葉は、その後も私の中に長くとどまり続けました。私は死んでも本が残れば、私は本を読んだ人の心の中で生き続けることができると思ったからです。
*****
著者はギリシア哲学も専門としていることもあり、これを専門としている人に特徴的な「愛知者」の態度に共感がわきます。
通常の読書論とは趣向が違いますが、おすすめの一冊です。
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どうも何も、読むだけだろ、って思って手に取って、最後まで初志変わらず。幸せってタイトル付けた意味が全くわからん。
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初岸見一郎先生。面識もないのに「先生」と呼びかけてしまう人。
この手の本を読むたびに、私などが「本を好き」と言ってはいけないなと思う。そして、スポーツ選手を見るかのごとく、学者という学問を仕事とする人々は、私とは人種も頭の構造も考え方も違うと思う。本を読むこと、学ぶことに対する真摯な姿勢が綴られるとともに、ご両親や息子さん、お嬢さんのことなどもさらりと書かれていて、著者の人となりが伝わって来る。
心に残った部分
読んだことを忘れて同じ本を読み始めたり、読んだりすることは、ある一定以上の年齢になると多発するのではないか。かくいう私も昨今同じ悩みを抱えている。それに対して、
p60
そんなときでも落胆する必要はありません。本を再読する時には前に読んでいた時と違って同じ本でも違った読み方ができます。~略~
同じ本でもいつも読むたびに新しい発見があります。ギリシアの哲学者であるヘラクレイトスが、「同じ川には二度は入れない」といっています。
と書く。
確かに、再読した本の感じ方がまるっきり違うことに驚いた経験はある。
必要以上に落胆する必要はないってことで。
p128
評価と価値というものが違うということも、知っておかなければなりません。これは対人関係についてもいえることです。人からどう評価されようと、自分自身の価値はその評価とはべつのものなのです。
『死の島』(講談社文芸文庫/福永武彦)
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2019年3月21日 41冊目(3-12)
本をよく読む人が読書について書いている。やっぱりこういう人の話を聞くのは興味深い。
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今まで、本をどう読むかということを考えてこなかったが、この本を読んで、読書の楽しみ方が増えた気がする。
特に、著者と対話するというのが面白い。
何かしらの迷いがあって、解決策や選択肢を求めて自己啓発本に頼る時によくあるが、
同じ話題でも、著者によってアプローチも結論も全く違うと感じることがある。
たいていの著者が、信念を持って言い切ってしまうところは同じだが…。
一体、どっちが正しいんだ、とかえって混乱してしまい、結局考えることを辞めてしまうこともある。
書いてあることを全部鵜呑みにせず、自分に照らし合わせて著者と対話することで、自分の考えに近い選択をすることができるのではないかと思う。
自分の人生に引きつけて読むことで、自分をよく知ることができたり、凝り固まった先入観からタイミングよく解放されたりすることもある。
言われてみれば確かに、わたしにとって、読書は幸せにつながっていると思う。
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岸見先生の100分de名著を見て、先生の本を読んでみようと思い買ったのがこの本
嫌われる勇気の方がメジャーなのにね
易しい言葉で先生の経験が語られる、なんかしみた…
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読書術に関する啓発書というより、読書に関する思い出をつづったエッセイ。外国語に関することにふーんそうなのかと思ったぐらいで、特筆すべき知見は得られなかった。
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20190519 思いついて買うだけかってしまった本に読まないといけないというプレッシャーをかけられていた。楽しんで読めれば良いという点には共感した。結局読むべき本は読むことになっているように経験から思った。
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師から受けたものを師に返すことはできません。同じように、子どもは親から受けたものを親に返すことはできません。
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アルフレッド・アドラー心理学者「嫌われる勇気」の著者で有名な岸見一郎さんがどのように本と向き合っているかが詰められている本です。またこの本では嫌われる勇気のスピンオフも含まれていて面白かったです。
本との向き合い方について多くのことを学べました。効率的な読み方とは無縁の考え方、人と接する時相手に興味を持たないことには内容を忘れてしまう。本もまたその様に捉えながら著者の考えを読み取り、接することで記憶として残るということ。
本を読み学べる幸せに感謝すること。また本を読みだした時期の話、岸見一郎さんの幼少期の頃にどう考えて読んでいたかも含まれていて、それを想像させてもらえるほど具体的に書かれていたことも印象的でした。
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あとで読み返したい本となった。
何のために本を読んでいるのかを考えるきっかけになった。
自分は何のために読者メモを取っているのか。
読書は楽しいものである。
1年で○冊読もう!という目標を立ててしまったため、読書が受験勉強のように辛いものに変化。
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‘「どんな」本を読んでいるかではなく「どのように」本を読んでいるか’
著者はすごくレベルの高い読書好きだと思う。
そして文章全体が柔らかい感じで、読みやすかった。
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私自身、正直読書は沢山してきた人間ではありません。
この本も半年前ほどに購入しましたが、読むことをせず放置しておりました。
現在COVID-19のおかげで、自分自身のキャリアや、今後の人生について考える時間が増えました。
そんな中、本を読んでみたいな。と感じ
以前購入したこの本を手に取りました。
作者の岸見さんは、第一に本がとにかく好き。ということが伝わってきました。
また、この本を読んでいると
「本を読むこと」
だけでなく、自分自身の周囲の人間関係や、今後のキャリアや、興味に対してどうやって動いていくか...など、色々とリンクして考えられる部分が多くあるなと感じ、なるほどなるほど。と思いながら読み進めることができました。
正直ベースに、これは違う、これはそう思う。
という、すっきりとした書き方をしてくれているので私にとっては読みやすかったです。
また、この本を読んだことをきっかけで、
違う本も読んでみたいな。とか
勉強をしたいな。とか
少しばかり前向きに考えることが増えました。
読んでよかったな。と思える本でした。
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著者の考えをそのまま無批判にうけいれ、自分で考えず他の人に伝えるのでは本を読む意味がない、というのが胸に刺さった。
高校生の時に、日本語で読んでも難解そうな本を英語やドイツ語で読破してたなんて凄いな。私も英語多読、頑張ろう。
私は電子書籍を買うようになってから、紙の本を持ち歩くことは無くなったけど、著者は電子書籍に加えて紙の本も数冊持ち歩いてるらしい。『アクションリーディング』には平行読書は良くないと書かれていたが、こちらの著者は10冊ぐらい同時に読んでいる。楽しむための読書なら、それでいいよね。