投稿元:
レビューを見る
友達幻想を先に読んだ者からすると、それよりも丁寧に言葉を尽くして読者に語りかけようとしているのが伝わる。他者性というキーワードを使うことで、他人との距離感、そして自分への精神的な構えを持つように読者に提案している。人は承認してくれる存在であると同時に自分の脅威となることもある。
個人的には62ページが響いた。
投稿元:
レビューを見る
周りの人と気持ちが通じたり、自分の考えや行いが他の人に認めてもらったりすることによって、ぼくたちの「生」は限りない広がりと深さを持つようになる
本当の私ではなく、自分にとってのほんとう。
自分が「これだ」と思えるものをどんなものでも見つけること。それでお金をもうけようとかいったことにあまりこだわらないこと。
ほんとうに幸せそうな笑顔で笑っていられるのは、生きている限り抱え込まざるを得ない「制限」や「挫折」を、それぞれの仕方で自分自身の中に上手に馴染ませながら、自分の憧れや理想を、手放さない方向に自分たちの生を絶えず向かわせようとする努力をしているからだとぼくは思う。
ジンメル「距離がなければ逆に親しさも感じられるはずはないんだ」
人とのつながりを考えるとき、「同質性」ではなく「異質性」を前提にする
幸福はデザインするもの
投稿元:
レビューを見る
別の学校の生徒がビブリオバトルで紹介しており、職場の人間関係にちょうど煮詰まっていた時期でもあるので、帰りがけに購入。
極端に言ってしまえば、自分以外の人間はたとえ親であれ、配偶者であれ、子であれ、みな「他者」であり、自分と全く同じということはありえない、ということを(しっかりと)意識しながら過ごしていきましょう、その中でどのような考え方をしてゆけば、「生きづらさ」を感じすぎることなく生活することができるか、考えましょう、という趣旨の本です。
役に立つマニュアル本というわけではありませんが、読み終えると少し楽になった気がします。
追い込まれたとき、煮詰まったときに度々手に取る本になるかもしれません。
例えば、「自分のすべてを受け入れてくれることを他者に期待せず、自分の考えや感じ方が少しでも伝わったことを楽しみ、そこを起点に少しずつ人とのつながりを深めて(p.45)」いくこと=他者からの”絶対的な承認”を求めないことが、息苦しさを感じないように生きるコツである、ということを改めて文章で読み、少し救われたような気がしたのも事実です。
また、自分とは異なる他者が集まって構成されている「社会」で生活してゆくためには、「「異質性」を前提にしながら、より心地よいつながりを作るにはどうすればよいのかという発想が大切になる(p.91)」のだという筆者の主張には賛同します(そのために社会には様々なルール(基本的には法律の形をとる)が存在する)。
※一方で、どうしても理解できない(その「異質性」をどうしても許容できない)という他者とのつながりを保持しなければならない状況でのふるまい方などは言及がなく、少し残念ではありました。
最も印象に残ったのはp.153の一文で、
「「他者」というのは何が恐いかって、「私」の許可もなく勝手に「この人はこういう人だ」って判断を下してくること。つまり「私」の許可なく勝手に私を「対象化」してくる存在が他者なのだ。つまり「このように私を見てほしい」といったこちら側の願いなんてあっさりふきとばしてしまうような存在、それが他者」
というものです。
先に読んだ本では、他者からの評価を気にして、攻撃的な人の理不尽な要求を拒絶できないことは「怠惰」である、という指摘もありましたが(そしてその指摘は一部では正しいと思うのですが)、なぜ他者からの評価が気になるのか、そして評価をしてくる他者が「恐い」のか、ということがすっきりと理解できたように感じました。
投稿元:
レビューを見る
心が落ち着く本でした。
繋がりすぎるのも離れすぎるのも寂しくて、付かず離れずがよいのですがなかなか難しい、他者とのつながり。
〈生のあじわい〉を深めるには…という問いから、自分と自分の周りの世界について考えてみる、という本で、読みながらわたしもこれからどう距離感を保って他者と関わって生きていこうか、考えました。
「ほんとうに好きになれること」は今のところ読書や映画鑑賞で、ここみたいに感想登録SNSに感想を書き散らかすことで他者との交流が生まれることもあるので、この生き方は合っているのだろうな、と思います。言葉を選ぶのは楽しいので、ちょっとだけがんばるけど無理はしてないし。
それから、他者との関係において、致命的な傷を負わないだけの「精神的な構え」を作っていくために、傷付くことを恐れすぎずに色々やってみようと思いました。
なんとなく、今の生き方を肯定されたようでちょっと嬉しいです。これからも生きられました。
投稿元:
レビューを見る
よき本だったけど後半がぼやけた
自分にとっての「ほんとう」から幸福をデザインすること。。ほんとうが絶えず変わるので難しいなと思い、わたしにはその部分だけささらなかった、ゆえにいまよりちょっといい状態、が描けてない
投稿元:
レビューを見る
ひとの繋がりについて本当に深く考えている本
傲慢にならず卑屈にならず、相手と自分をちゃんとみて接していくことが大切なんやろうなと思う
ちょくちょく読んで振り返りながらいろんなことに対して誠実に向き合っていきたい
投稿元:
レビューを見る
まさに他者との距離や自分自身がどうしたいかがわからなくなってた時に道標になってくれた。
家族でも他者。あたりまえにわかってくれることはない。
「楽観主義は意識」
投稿元:
レビューを見る
楽観主義は意志に属し、悲観主義は感情に属する
自分以外は全て他者。他者との距離があるからこそ繋がりを感じられる
全てを受け入れてもらうことを期待せず少しでも理解されたら良しとする
投稿元:
レビューを見る
いまここにある環境を受け入れ、実直に生きよと諭したり、想像もできないような難題への果敢なチャレンジを薦めたり。巷にあふれる「人生論」系の書籍は、このどちらかにまとめられるのではないかと思う。
前者は悟りを開いたように、欲望や憧れを捨て、現実を受け入れることで苦悩のない「自分らしい」生き方が可能になると説くだろう。そして後者は、常に現実を修正すべき不完全なものとして捉え、チャレンジによって現実を更新し続けることこそ「自分らしい」生き方への道と説くだろう。前者は「憧れ」を、後者は「妥協」を仮想敵としているように感じられる。
けれど、僕は疑問を持ってきた。欲望や憧れを捨てる仙人のような生活は到底できない。つねにリスクを負い、先行きのわからぬ海原に漕ぎ出すような勇気もない。どちらも極端なのだ。平凡な僕は、これらを見聞きするたびに自分の平凡さを痛感していた。
本書はそんな疑問への回答を鮮やかに示してくれたように思う。欲望や憧れと、現実への愛着は両立するのである。いま・ここの現実を受け入れ、そしてちょっとだけ良い明日を夢見ること。これこそ、しなやかな純粋さを抱えつつ社会と折り合いをつけてゆく、最大多数の回答なのではないか。一握りの英雄ではない僕らには、折衷案こそリアリティがある。
そして、相手に100%の理解を期待せず、なおかつ自分を表現することを恐れず、自分を他者へ開いていく、という言葉も染み渡る。とても救いになった。
学問的に言えば批判される点もあるのだろうが、少なくとも社会学的な人生論としてみれば、世に溢れる自己啓発本よりよほど僕らの実感に寄り添って書かれていると思った。まさに、「愛」に満ちている暖かい本だ。