悲撃のヒロイン化したJK
2024/06/07 05:45
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
小さな集落で平凡に暮らしていた高校生ヤノサナエ、突如として走る激震が衝撃的です。彼女を取り上げるマスコミの欺瞞、ビンタを喰らわしたあの女性の言葉が胸に刺さります。
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圧倒的な語り量。
語り手の女の子の思いが
重たく濃ゆく、だーっと埋め尽くされていく感じ。
実際の取材なしに書いているのがすごいです。
参考文献の盗用問題で話題になってたなぁと思って読んでみたんですが、
ほんとに賞を受賞するだけのことはある作品だと感じました。
痛々しくてつらくてしんどくて…なんだかリアルな感じがしました。
リアルに体験してないのにこう思うのも無責任な気もしますが。
読み応え、ありました。
オススメできる本です。
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偶々本屋で手に取って読んでみたら、ぐいぐい引き込まれていった。
母親との離別という堪え難い事実から目を背けて自分を守るために分厚い殻に閉じこめ、いつしか自分が分からなくなる。その殻に気付き、一人で潜って自己を見つめに行った結果、自分がこのどうしようもない現実を受け止めないといけない、自分で自分の世話をしなければならないという事実を受容できたのだと思う。自分を受容できて彼女が解放されたシーンは心にぐっときた。
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東日本大地震で被災した女子高生の
生々しすぎる声に胸打たれる。
メディアの都合のいい報道には
以前より知られてはいるが
そのリアルなやり取りにも注目したい。
幼い弟が自分で行方不明の母親の似顔絵を
描いたプレートを作って探している場面は
悲しくて胸が痛くなる。
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皆さんの感想を眺めていると、この作品がそもそも何故問題になったか、経緯、顛末が時間と共にうやむやとなっているようでそれはそれで又問題を感じます。
二度と起こしてはならない出版社の教訓であるはずの事件でもあるが居直ってるのには驚きです。
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芥川賞候補当時、ちょっとしたネガティブ話題に上っていたことは覚えていて、でもそのときには、実際読んでみたいとまでは思っていなかったもの。今回、ダヴィンチの豊崎・大森対談の中で取り上げられているのを読んで、俄然、内容にまで興味が沸いた。それなりにデリケートな3.11の話題に、結構大胆に切り込んでいて、読み始めはちょっとハラハラしちゃった。でも友人ママの叱咤激励から状況は急展開し、主人公自身の立ち位置を取り戻し始めてからは、強い言葉のオンパレードで、胸を打たれっぱなしだった。ピンとこない芥川賞受賞作を読むことが続いて、その全てに目を通すのは止めることにしたんだけど、『実は、候補作にこそ名作あり?』って、そんなことを考えさせられる力作でした。
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東日本大震災の津波で母が行方不明になったサナエとヒロノリ.避難所に殺到する報道陣にサナエは彼らが欲しがる健気な女のとしてのセリフを多発して有名になった.ただそれを自分で嫌悪してその後は無口な被災者になった.遺体の母と面会したサナエは弟のヒロノリにはその事実を隠した.顔見知りの奥さんは事故で息子を亡くしたが自分が怪我から回復した時には葬式も済んでいたので、衝撃を受けた由.どんな形でも息子に会いたかったので、ヒロノリにお母さんを見せなさいと諭す.奥さんの話が秀逸だ.母の姉のところに落ち着いた二人の砂浜での最後のシーンは素晴らしい.
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あの日、3月11日に母は津波に飲まれて亡くなった。
自らも被災し、年の離れた弟と一緒に高台に逃れて生き残った高校生のサナエ。
避難所で絶え間なくやってくるマスコミに対して
生き別れた母を探す健気な悲劇のヒロインを演じて、
どうにか自分を保っていた。
遺体安置所で、母の亡骸と対面した日。
生前の母と交流のあった奥さんの言葉。
母の遺体を弟に対面させたこと。
東日本大震災で失ったもの。
涙が止まらなかった。
著者は震災経験者なのかと思うほどの強烈な当事者目線の話。
この本については色々あったみたいだけど、
私はこれを読んで泣いたよ。
大切な人を亡くしたとき、
絶望して絶望して、もうダメだって思うほど落ち込んで泣き叫んで
そうやって徐々に受け入れていくしかないっていう
私も悲しくてどうしようもなかったとき
Coccoがライブでこの本と同じようなことを言っていて
本当に、受け入れていくしかないんだって思った。
悲しかった。
どんな理由であれ大切な人を亡くすのは当然つらくて、
まして震災の津波という理不尽でどうにもならない事実が
途方もない悲しみを深くするだろうに。
それでも生きていなかいといけない。
しょうもないとかアホくさって思うかもしれないけど
サナエのように地に足踏ん張って、すべて受け止める生き方に感動した。
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第61回群像新人文学賞受賞作品。
152ページの中編だが2011年3月11日の東日本大震災を元に描いた小説と言う事で読了までに気力と体力が必要だった。
7歳の幼い弟と共に避難所に身を寄せる17歳のサナエが主人公。
物語はサナエの一人称で進んで行く。
「かわいそう」を撮る為にカメラを向けるテレビ局関係者。
サナエが感じる「報道はフィクションなんだ」の言葉が胸に重く伸し掛かって来る。
尋常ではない環境の中で歪んだ高揚感とほの暗い感情を抱くサナエの心理描写が秀逸。
もしも~だったらとエンドレスに続く後悔の気持ちに涙腺が緩む。