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モノに注目
2022/03/26 21:50
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
確かにそう……。ものに注目したら、こんなにも人類の歴史に関わっていることが、理解できます。中には偶然の産物もあり、多大な研究の果てもありー。
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中国で病気で生じる瘡(かさ)が、ヤマモモ(楊梅)の実に似ていたから、中国では楊梅瘡という名前がついた。日本語の梅毒はそれが変化してできたもの
満屋裕明 1982 アメリカがん研究所 AZT開発 彼の結果をみたバローズウエルカム社が勝手に特許を申請。法外な値段をつける
その後ddI、ddCをつくる 自分で特許を取得したうえで安く販売 現在 熊本大学
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人間は古来から苦しみや不安、痛みと闘ってきた。
その解決策の1つが宗教であり戦争であり、そして薬なのだと思わされる一冊だった。
自分は医学・薬学には疎いため、書いてあることがどこまで正しいのかを検証することは出来ないが、薬というものが世界の歴史を動かし売ることは真実だと思った。
1つの薬について扱うのは約20ページ弱。そのため、物足りなさを感じることもあるが、逆に、これだけの分量できちんとまとまった文章にしたセンスも良いなあと思った。
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講談社現代新書
筆者は製薬研究職からサイエンスライターとなった佐藤健太郎
本書はその名の通り、人類の歴史、即ち世界史を大きく動かした、つまり多くの患者が出てそれを治す特効薬となった薬の薬効とまつわるエピソードを紹介した本である。
ピックアップされた物質はビタミンC、キニーネ、モルヒネ、麻酔薬、消毒薬、サルバルサン、サルファ剤、ペニシリン、アスピリン、エイズ治療薬。
薬の歴史は人類の経験と英知の歴史と言ってよく、ビタミンCという現代では身近な物質が敗血症の特効薬となった話や、古代から鎮痛にそして麻薬として珍重されたモルヒネ、おそらく最も人類を救っただろう消毒薬と抗生物質などなど有名な物語をスッキリまとめた良書である。
薬学から離れていたため久々に薬理の話に触れて大学時代を懐かしく思う一冊。
引用
◯パスカル「もしクレオパトラの鼻があと少し低ければ、歴史は変わっていただろう。」
◯ナイチンゲールもまた、統計資料を元に状況分析を的確に行い、実りのある改革を実現したことで知られる。いつの時代も、世界を変えるのは正確なデータと、それに裏打ちされた意思の力だ。
○GFPを発見した下村脩博士は、この研究が様々な幸運に恵まれた結果であることに触れ、「GFPの発見はいわば天の導きのようなものであり、天は私という人間を使って、人類にGFPを与えたのではないかと思うことさえある」と述べている。
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医薬がここ100年でどれだけ奇跡的な実績を上げてきたか、現代医学を拒絶して代替医療を選択するような人にこそ読んで欲しい本。明治から戦前まで、日本人の平均寿命は40歳代だったと言う。現代医療の否定はその頃の水準の医療を選択するということであり、統計と検証から自己経験と迷信の世界に戻る愚行だ。
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面白かった。一気に読んでしまった。学校で教えられる歴史は、あくまでも一面的なものにすぎず、この本のように、薬(あるいは病気)という視点から見直してみると、また違ったものが見えてくるということが、本当に身にしみた。
amazonのほうでは、化学的に簡略化しすぎではないか、という批判もあるようだが、私のように、世界史の授業では意識がしっかりしていても化学の授業では気絶してしまっていたような超文系人間には、薬というモチーフは歴史を眺める上での新たな立ち位置であって、あくまでもこの本のメインは「歴史」であると思って読んでいるので、あまり気にならない…というか、化学的に詳細な記述はいらない(^^;)。だから、私個人的にはこのくらいでちょうどいい。一気に読めてしまったのも、この点もかなり寄与してくれているかもしれない。どちらに期待して読んだかということで読後感がかなり変わってきてしまうのかもしれない。私は、とても満足できた。
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「あの薬がなかったら、世界の運命は変わっていた!」という内容。医薬品×世界史の、歴史if本。
壊血病から救い船乗りの大航海時代を支えたビタミンC.
古今東西数々の英雄をマラリアから救ったキニーネ
飲めば天国にも地獄にもなるモルヒネ
いまや外科手術になくてはならないものだがその薬理作用が未だ一切解明されてない麻酔薬
妊婦の産褥熱からわかった「手洗い」の大切さ・消毒薬
不治の性病「梅毒」の救世主であるサルバルバン
世界対戦での塹壕の悲劇、感染症に効果を表した「奇跡の赤い粉」サルファ剤
世界史にもっとも強い影響力をもち創薬の世界の大スターとなったペニシリン
医薬品の王者であり現在も全世界のひとが最も愛飲しているといえるアスピリン
恐怖のHIVに敢然と立ち向かった日本人が初めて作った抗HIV薬
全11章からなる。
単純に創薬の歴史を深く知ることができてよかったです。しかし特許争いとか政治的な権謀あれやこれや色々しがらみがありちょっとこわいわね薬の世界は…。
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二番煎じと感じなくもない
まとめ方がいまいちの感じを受ける
印象に残らない
生活習慣病の薬の日本人の功績と
hiv 薬が描写に行き渡らない事実は伝える必要があるだろう
入門書として薬に興味を持つためにはいいかもしれない
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古く医薬として用いられてきた物質から誰もが知っているようなメジャーな医薬品まで、その歴史や意義が各数ページごとにまとまっている。古今の偉人らがかかった病気・治療の話もからんで興味深く読める。
・水銀の話から始まっており、実際、水銀には殺菌作用もあって梅毒の治療などには効果はあったが害も大きかった。シューベルトやシューマンなどの音楽家は水銀中毒で死亡したと考えられているが、即死するようなものでない限り、薬の害で死んだということが分かるためには統計学の発達を待つ必要があった。
・ビタミンCの効果が知られていなかった頃は壊血病は船乗りにとっての災いの最たるものであった。ビタミンCはプロリンに酸素を結合させてコラーゲンの構造を安定化する。ビタミンCの不足は血管や歯根組織をもろくする。
・モルヒネにアセチル基がくっついたものがヘロインで、当初は依存性のない鎮咳剤としてバイエルから発売された。アセチル基が付与されることで脂溶性が高まる。
受容体にいくつかサブサイプがあることも明らかになっており、依存性がなく鎮痛作用のみを発揮するような化合物が探されている。
・アスピリンの生産は年間5万トンになる。500ミリ錠換算で1000億錠分。その3分の1はアメリカで消費されており、全人口が年間100錠飲んでいる計算になる。
アスピリンの構造は化学的には意味のない構造で、普通はこのようなものを合成してみようという気にならない構造だという。COXを失活させ、PGE2の合成を阻害することで作用を発揮する
・細菌には細胞壁合成酵素が共通した泣き所になっており、ここをターゲットとした創薬が試みられている。ウイルスにはこのような共通した弱点がないため薬剤開発は難航しがち
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「あの時あの薬があったなら(なかったなら)世界の歴史は変わっていたかも」
有史以前から動物や昆虫が本能で発見して使用していた薬。その薬と人類史の流れが一目瞭然。
今や薬ひとつで治る病がかつては死に至る病であり、原因が分からないものは悪魔の仕業で片付けられていた時代。現代において携帯やネットのなかった時が今や考えられない、どころの話でなかったのだ。
教科書で学んだベーシックな知識だったペニシリンやビタミンCの発見やその意義などがもう少し深く、でも超文系にも理解できる平易な文章で掘り下げられている良書。
ノア・ゴードンの『千年医師物語』はシリーズ文庫5冊のボリュームで、中世ヨーロッパから現代アメリカまで医師の一族を追った冒険譚だが、まさにその世界を一冊に「薬」に特化して纏めたようでとても面白かった。
この著者は製薬会社の研究者からサイエンスライターに転向した方だそうだが、何より化学の知識と歴史好きなオタクの匂いがチラホラ散見できてとても好ましく読める入門書にはぴったりで興味深く一読。
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馴染みのある薬剤が多数出てくるが,キニーネが清の康熙帝の命を救ったことやモルヒネを含むアヘンをイギリスが中国に輸出して大きく歴史を変えたこと,ペニシリンを発見したフレミングの予備知識が素晴らしかったこと,梅毒がいち早く世界中に広まったこと,エイズの治療薬の開発に日本人が絡んでいることなど,話の種に使えそうな話題が満載だ.
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これは、世紀の大発見と言われる様々な薬の発見や進歩を素人にも出来るだけ分かり易く世界史と併せて紹介した一冊です。ビタミンCから始まり、キニーネ、モルヒネ、麻酔薬、消毒薬、サルバルサン、サルファ剤、ペニシリン等々・・人類の歴史を変えた素晴らしい薬ばかりです。医療の未来を考える良いきっかけになる本だと思います。
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薬剤師ではありますが、あまり薬の歴史については勉強したことがなく、知識もありません。
普段何気なく調剤している薬には、それぞれに開発者の思いがあると思います。また、そこには悩んでいる患者さんがいます。
本書では、限られた薬剤についてですが、そういったことが丁寧に書いてありました。
大変勉強になりましたし、歴史を学ぶことで薬に対する有難味が出たというか、やさしくなれたというか。業務に対する姿勢が少し変わりそうです。
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ビタミン、モルヒネ、鎮痛剤、ペニシリン・・など現在日常生活や医療現場で使われている薬がどのように発見されたかをその歴史とともに解説。
現在では当たり前のように使われている薬がどんな苦労を伴って開発されたのか、ということを知るのには非常にいい。
普段薬のことなど意識もせずに暮らしているが、感染症など、先進国でその脅威が克服されたのはひとえに薬の影響が大きいだろう。
薬局で買えるような薬が当時の人々にとっては国家全体で取り組むような規模のプロジェクトだった。そんなことを教えてくれる。
また長年、害にしかならない薬をその害毒を認識せずに使い続けていたというところも興味深い。
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2015年刊行。著者は元東京大学大学院理学研究科広報担当特任教授。
壊血病、梅毒、マラリア。人間が克服しようとした、あるいは克服しようとして未だ達成できていない疾病に対抗する薬剤の発見・確立を叙述する。ペニシリンやビタミンCなどさほど新奇でないのも多い。
その中で、麻酔の確立が齎した益は計り知れないなあとの感。とはいえ、ここまで利用が進んでいる麻酔の機序が未だ判然としていない点は驚かされる。