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貨幣経済と居酒屋
2018/11/04 18:02
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投稿者:Dent - この投稿者のレビュー一覧を見る
安易に読み始めたが、貨幣経済と居酒屋という論点で繰り広げるとは思いもよらず、また、それが、他の論考と一線を画している。
アルコールと人間、いくら追求しても尽きぬテーマである。
面白かった。
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ヨーロッパなどのカフェや飲食店の本は目にしたことがあるが、日本やイスラム圏や中国などを含めた居酒屋の話をまとめた本は珍しい。色々な国の食文化が垣間見れるダイジェスト本。読みやすく興味深く面白い。
びっくりしたのは居酒屋で抜歯まで行なわれていたということ。食べてる隣で麻酔もなく歯を抜かれている人を見たら、おいしいご飯ものどを通らなくなりそうだ。また、歯を抜かれた後に焼きたての鶏肉なんて見た時には、食べたいのに食べられないジレンマに苦しむことになるだろう。
何はともあれ、居酒屋で商談が生まれ、陰謀が企てられ、恋が芽生えるのは今も昔も世界各国変わらない事実のようだ。
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無償で提供するのが当たり前だった酒が、貨幣経済とともに農村部に普及していく、そして多機能だったものが棲み分けされていく変遷史です。
日本においてはこの多機能さが生まれなかったということで、我々が感じる居酒屋というものと、世界での位置づけは全く違うと思ってもいいのかもしれません。
酒そのものの本ではなく、居酒屋的機能を通じた文化史で、素直に面白いです。
ヨーロッパの記述が多いので、ヨーロッパ渡航予定の方で酒好きはぜひ予習を。僕は復習になってしまいました。知っていたらいっそう楽しく飲めたかな。
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「はじめに」と「おわりに」を読めば十分。
基本的に、事実をだらだらと列挙しているだけなので、正直つまらない。
居酒屋の役割がどのように変わっていって、その原因が何なのか?
この問いに答えられていない。
各国の事例を研究したのだから、そこから見出せる法則があったはず。
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居酒屋の世界史、タイトルも壮大ですが、まさに世界各地の大衆娯楽の世界史でした。
ヨーロッパから始まる貨幣経済の流れとともに、コミュニケーションの場としての居酒屋が発展した歴史がわかって面白かったです。
この本を読んで、発展途上国の居酒屋によると、意図せずして、その土地の貨幣経済の浸透度を測ることができるはずです。
居酒屋の日本史を考えてみるのも楽しかなあとふと思いました。
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膨大な数の文献から居酒屋という切り口で歴史を紐解くという、ある意味斬新な本。居酒屋の普及には貨幣経済の普及が不可欠、太古の居酒屋が持つ多機能性、宗教と居酒屋等々、かなり色々な観点で切り込んでいる。ただ、引用が多すぎてその「まとめ」的な感は否めなかった。しかし、人間っていうのは酒が本当に好きなんだなと再認識。好きすぎて禁止したり、おぼれたりするんだね。
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古今東西、世界中どこでも居酒屋でお酒を飲んでいたんだな。
お酒は潤滑油なんだろうな。
ヒトラーがナチスの宣言をしていたのもミュンヘンの居酒屋。
中国、アテネ、エジプトと古くからお酒を飲んでいたのだ。
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好きです。テーマがジャストミートです。
だからこそもっと深めて欲しかった…!「なので多機能性を持ちました/持ちませんでした。終わり」ではなく!
教会の役割が居酒屋に移ったっていうのは面白かった。協会と居酒屋が繋がってる所があったっていうのも。で、それはどこなんだいっていうところらへんが。
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2011/12/10読了。
予想以上に面白かった。まとめると、
・居酒屋の機能はかつて教会が持っていたが、聖俗の住み分けと、貨幣経済の浸透によって「居酒屋」が誕生した。
・かつての居酒屋は、金融から医療、売春、エンターテイメントと非常に多機能であったが、文明の発展で少しずつ機能が外部化され、今の形になった。
といったところか。細かな部分はここでは割愛。
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貨幣経済の農村への浸透と居酒屋というコミュニティの広がりとの関係性。
居酒屋の多機能性の崩壊と近代化。
そんな感じだろうか。
生きるために必要な欲求以外の欲求は禁欲を訴えると正義になれるのか。
売春がすたれていくのが書かれていると禁煙なども似たようなものに思える。
しかし、確かにアルコールは過ごさなければ善とされるのは不思議なものだ。
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久々に良書を読んだという感想。
居酒屋の発展を世界史の中で辿ることによって、貨幣経済がどのようにして農村まで広まったかということを論じる。貨幣がなければ居酒屋というのは成立しづらいし、さらに農村まで居酒屋が広がるには様々な条件が必要だった。ヨーロッパでは酒造りをしていた教会が、宗教改革によって聖俗分離が起きて、都市部に居酒屋が生まれたということ。地方では巡礼者のための宿屋兼居酒屋が出来て、それが貨幣経済の浸透にともなってコミュニティーの中心的な施設になっていった。また、中国では都市に茶館という居酒屋が出たものの、農村までは普及しなかった。韓国では貨幣経済が制限されていたのと、家造酒の文化があったので居酒屋文化が生まれたのが日本統治時代になってからということ。日本では江戸時代末期になって農村まで居酒屋が現れ始めたということが語られている。
近代化のパラメーターとしての居酒屋という視点は斬新で、こういう新書が沢山出るようになればいいなぁと思う。また、採り上げられている時代と地域の範囲が広く、参考文献も豊富なので、この方面を調べる際のとっかかりとしても最適ではないだろうか。
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読み物として大変おもしろかった。世界の居酒屋がどのように発展していったのかを紐解き、そこに様々な発見がある。
しかし結局、ギャラの由来は、中世ヨーロッパの芸人の質草というあまり居酒屋の世界史とは関係ない部分が印象に残ってしまった。
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ヨーロッパにおける居酒屋の社会史を考察する一冊。居酒屋は金を払って酒を飲む所だから、貨幣経済の浸透・封建制度の解体が前提になる。その意味で居酒屋の普及は近代資本主義国家への指標である。豊富なエピソードで楽しむことのできる「読み物」。
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主にヨーロッパの歴史上の、著者の定義する居酒屋について書かれている。居酒屋の定義については色々な切り口があるかと思うけれど、大昔から今に至るまで、お酒を飲む人と飲める場所が存在するのですね。
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学生の頃、ローマのオスティア遺跡で居酒屋の跡を目にして「こんな時代にもあったのか!」と酒好きの私はずいぶんと感激したものだったが、この本を読んで、今の時代とは全く違う存在だったのだと今更ながら理解した。冒頭で”つまみ食い的に紹介”とあるように、時代も地域も幅広に扱われ、全体的につれづれとした構成となっている。雑学を身につける感覚で、気になる章からパラパラめくって読んでもいいかもしれない。
☆以下覚え書き☆
・居酒屋はもともと下層階級向けだった。
・上流階級は居酒屋を軽蔑。お酒はお客に対し無償で振る舞うもの。お金をとるなんて無作法という考え方。
・居酒屋は宿泊施設を兼ねていた。
・居酒屋は銀行、就職斡旋、エンターテイメント、など多機能を備えていた。大衆が集まる公共の場だった(日本においては多機能型は産まれなかった)。
・教会ではワインやビールが造られていたが居酒屋も併設していた。巡礼者がお酒を飲んだ。結婚式などの宴会も開かれた。その後、居酒屋機能は分離し、教会の隣に作られたりした。
・そのむかし、西洋の人はベッドに入る際、シラミや蚤が服につかないよう裸になった(帽子は被った)。ナイトキャップは体を温めるために飲んだのか?
・古代ローマ人はマナーとしてワインを薄めて飲んでいた。
・キリスト教徒は飲酒に関して甘い傾向が。宗教改革の頃、プロテスタントの台頭により厳しくなっていったようだ。
・イスラム教もお酒が絶対だめということではないらしい。
・農村に居酒屋ができるには貨幣の流通が不可欠。