紙の本
はみ出した者らの物語
2019/06/30 06:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:une femme - この投稿者のレビュー一覧を見る
片隅に居るようなひとや、片隅にあるような物語が、ひっそりとだが、強く存在していることを、想像させてくれるような短編集だと思った。
ささやかに生きることを、あるいは、片隅に目を向けることを肯定することで、世界は、肯定的な広がりや、やさしさ、面白みを持つのかもしれない。
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面白かったです。文庫で再読しました。
何度読んでも、このモチーフでこの物語を描くのか…と驚いてしまいます。
カタツムリのお話がパトリシア・ハイスミスだったり、肉詰めピーマンのや文鳥のお話は最後の方にモチーフが少し出てきたり。小川さんの視点、不思議で惹かれます。
単行本の時には恐らく読み飛ばしていた、肉詰めピーマンのお話の息子さんが読んでる絵本、気になる…と思っていたら、エドワード・ゴーリーの「むしのほん」でした。こちらも読みたい。
こちらのお話たちもとてもひそやかでした。
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文庫化で再読。
各短編にはそれぞれ、モデルとなるものがある。人間のこともあるし、物体のこともある。例え人間であっても、誰もが知っている有名人であるとは限らない。モデルを選ぶセンス、そこから描き出される物語、どれも楽しめる1冊。単行本を持っているが、文庫も買って良かった。
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実在するモデルを元に作られた10篇の短編集。
氏の小説は久しぶりに読んだが、彼女の感性を共用するには、私は少々歳を取り過ぎたのかもしれない。美しい言葉で語られるが、どの物語にも狂気を感じ、途中で読むのが辛くなった。
美しいが、落ち着かない感じ。
それがタイトルの『不時着する流星たち』へと繋がっているのかもしれない。
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先月購入。自分の感覚としてはどの作品も後味がよくない。静かで不穏。どれか一つ選ぶなら最後の「十三人きょうだい」がいい。放置手紙調査法というものをはじめて知った。おもしろい方法だなと思った。
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そこに狂気があるとして
まるっきりのタイトル買い。少し怖くて、ちょっと気持ち悪くて、でもたぶんプラスに向かうマイナスのちから、というものもあるんだろうなぁ…なんてぼんやり。
頭がおかしくなりそうな、いろいろ、の中で
それを形にするには、じゃあ、どうしても
そちらがわ、に踏み込むしか無い?
高みの見物、は許されないのだ。
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素敵で不思議な雰囲気の短編集。この人の文章は語られてる内容が何であれ本当にうっとりさせられる。正直に言うと何が伝えたかった事なのか?をちゃんと理解できてないケースも多くファンというのもおこがましい気がするが、あえて言うなら言葉で語られた言葉では説明しにくいイメージそのものが伝えたい事なのかな?とも思う。
子供の頃の自分中心の世界観の中で感じた、心地良く秘密めいた場所を思い起こさせる、私にとっての小川洋子さんはそんな素敵な読書体験を得られる稀有な作家であり、本作でもその魅力は存分に発揮されてると思う。
中でも「誘拐の女王」「若草クラブ」「十三人きょうだい」は特に良かった!
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十篇から成る短編集で、物語の最後に、モチーフにされた人物や事柄が短く説明されていた。
発想や着眼点の豊富さに驚く。
小川さんの手にかかると、いくらでも物語が生まれそう。
物語を紡ぎ出す名手だと思った。
おとぎ話の要素もたくさん詰まっていて、結末に驚かされる。
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どのお話もどこか痛々しくて不穏で、蟻を潰して遊んだ幼少期を思い出させるような、そんな短編集だった。「不時着する流星たち」という言葉がまさにぴったり。
このモチーフからこんな話が生まれるのか、という驚きもあるし、それが別の小説家だったりすると自分でも読んでみたくなるし、お話とお話を繋ぐ架け橋みたいな短編集でした。解説の「一行目と二行目に巡り合う」って言葉もすとんと落ちてきて、これまたいいんだよなあ。
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不時着とは
「不時着陸」の略。航空機が、故障や燃料欠乏等のため、初めに予定しなかった場所に降りること。
生きていくということは結構やっかいなことなので、いちいちすべてを真面目にやっていたら、とてもじゃないけど頭がおかしくなってしまう。だからわたしたちは無意識のうちに、さして重要でない約束や、どうでもいいような想い出や、自分にとって必要ではなくなった人々などを、箒のようなもので集めて隅っこに追いやることで折り合いをつけるのかもしれない。
でも、そういうことが出来ない人がこの世にはいる。どうでもいいと思われることをそう思わずに、ちゃんと向き合う人。そういう人たちの10個の物語だ。
小川洋子さんの書いた本を読むのはこれが初めてで、こんなに長い間、なぜ読む機会がなかったのだろうと不思議に思った。
でも出会えたのだから、これから急いでたくさん読もうと決めた。そのくらい好きになった。
第一話 誘拐の女王
昔誘拐され、犯人に監禁されたことがあるという血の繋がっていない姉との話。
第二話 散歩同盟会長への手紙
散歩が好きな男の人が、散歩をしながらローベルト・ヴァルザーという作家のことやそれ以外のことに思いを巡らす話。彼が散歩している場所は実は。。。
第三話 カタツムリの結婚式
慎ましく暮らす家族の楽しみは空港に行くことだった。女の子はそこでカタツムリのレースを管理している不思議な男の人と出会う。
第四話 臨時実験補助員
とある実験のために、二人一組となって街の中で条件が合うところに置手紙をする。彼女が組んだ女性は、その条件にピタリと合う完ぺきな場所を見つけることができる女性だった。
第五話 測量
大学生の彼の祖父はある朝突然、目が見えなくなった。その日からおじいちゃんと彼は、自分たちの周りの世界すべてを歩数で測り始めた。
第六話 手違い
お見送り幼児とその付き添いの女性が、その日頼まれていたお葬式の会場に行くと、今日はお葬式はないと言われてしまう。そんなはずはないはずだが、仕方なく二人は会場を後にして、いつもお葬式のあとに清めるために寄る公園へと向かう。
第七話 肉詰めピーマンとマットレス
事故で片耳の聴力を失った息子の留学先を訪ねる母親の話。息子が好きな肉詰めピーマンを異国のキッチンで作る。
第八話 若草クラブ
若草物語の劇をやることになった4人組。脚本を書く彼女は末っ子エイミーの役をやることになる。エイミーはこれといって見せ場のない役だが、他の3人は、映画でこの役をエリザベス・テイラーがやったのだと口々に言い、彼女はその女優に異常な興味を持つようになる。
第九話 さあ、いい子だ、おいで
子どものいない夫婦が、街にあるペットショップで文鳥を買う。ペットショップの店員は体格のいい若者で、彼女はもし自分に子どもがいて男の子だったら、こんな子だったのではないかと想像する。
第十話 十三人きょうだい
彼女のおばあちゃんは十三人の子供がいる。一人も病気や戦争で死ぬこともなく、大人になったのがおばあちゃんの自慢だ。十三人目のおじ���んはまだ独身でちょっとかっこいい。彼女はそのおじさんのことを、みんなに内緒で「サーおじさん」と呼んでいる。でも、彼女はおじさんの本名を知らず、おじさんも教えてくれないのだ。
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たしか、フジファブリックの山内総一郎くんがおすすめしていた本だったから読んでみた。
素敵な歌詞を書く人が好きな言葉が気になって、いつも自分から選んで読むジャンルではなかったけど…
読んでいて不思議な気持ちになる感じで、言葉遣いが繊細で綺麗という印象の本だった。
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久方ぶりに小川洋子の小説を手に取りましたが、うーむ、この作品はちょっとどうかな?です。
こういう短編集ってあんまり成功している感がないんですけれども、これもご多聞に漏れてないかと。
作家も編集者もやってやったぞという達成感があるのかもしれないなぁ。よく見かけるけど読み手からするとそんなに面白くない、そしてこの作品もそうです。
ちょっと残念ですが、好きな作家でもこういう消化不良は時にはあるのが読書というものです。
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美しくて、そしてゾワゾワとくる、まさに小川洋子さんワールドでした。
例えるなら、大人のための童話かな。
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10篇の短編集。
人だったり、言葉だったり、植物だったり。
ちょっとしたそういうトコロから着想を得て紡がれたようなお話たち。
ここからそんなお話になるのか、とか、
そこに着想を得ていたのか、とか。
小川さんの凄さを改めて感じる作品たち。
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ぞくぞく。不穏。そわそわ。ざらり。
もしかしたらどこかにいるかもしれない不思議な人たちのお話。実在した人をモチーフに着想された短編集。発想力に脱帽です。再読。