紙の本
『「面白い」のつくりかた』
2019/10/11 21:18
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~』
「Mr.トルネード」「えん罪弁護士」の『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズ
などのドキュメンタリー番組を企画・制作してきたNHKディレクターが明かす“画期的アウトプット術”
《面白いとは“差異”と“共感”の両輪である》
《世の中の新しいものは全て“組み合わせ”から生まれる》
《取材なくして物事の“本質”はつかめない》
すぐに役立つハウツーではなく、面白いコンテンツを創るための「プロとしての技術論」、「仕事に対する哲学」が書かれている骨太の新潮新書
「日経トレンディネット」の隔週連載(2017年4月から2019年3月)「TVクリエイターのミカタ!」を再構成、大幅に加筆修正
紙の本
おもしろい
2022/11/09 11:27
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投稿者:かい - この投稿者のレビュー一覧を見る
おもしろいとは何か、お笑いのおもしろいではなく、人の心を躍らせるような面白さを説明しています。テレビの裏側も少し見せてくれるのでおもしろいです。
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面白いとは?から始まり、ドキュメンタリーとは?取材とは?クリエイティブとは?と著者の「構成」者としてのこれまでの経験から語られる今の時代を生きていくために、忘れてはいけない大事な視点を示唆している。
無からは何も生まれない。既存のものの組み合わせで新しいものが生まれるのだ。そのためには、過去を、そして、書物を読んでいかなくてはいけない。
取材とは学ぶこと。その中からテーマが見えてきたり、問いが生まれてくるのだ。
もう少し落ち着いて整理したい。
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テレビ番組の現場から生まれた「面白いとは何か」という論考。「面白い」は”差異”と”共感”の両輪、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ、良いアイデアは「制約」と「必然性」から生まれる、演出とは”状況設定”、作品の「質」の高さは情報量が支えている、”負荷”の少なさは(テレビの)強み等、納得のいく解説。政策をやっている現場でも応用可能な部分を感じる。紹介されているコンテンツなども見ながら読んだ。一読をお勧めしたい。
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・「見るつもりはなかったのに、偶然見たら面白かった」
受動メディアとしてのテレビが生き残るには、
逆説的に、コンテンツの質を上げること。
そのために、事前の下調べをすること、制作主体を明らかにすること、
チームのモチベーションをコントロールすること。
・面白さは、共感×差異
・インタビューで問われているのは自分自身である。
自分が緊張していれば相手も緊張する。
・演出とは、状況設定である
・「ペタペタ」で構成を考える
・三幕構成。問題提起、問題の複雑化、問題の解決。
・作品のクオリティは、「観客が受け取る」情報量で決まる。ジブリなど。
記憶を引き出すとか、そういうのも主観情報。
・
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著者はテレビ番組制作会社のディレクターとして、これまで主にNHKの番組において綿密な取材に裏打ちされたドキュメンタリーを数多く手がけてきた。
代表作として、実在の国語辞書編纂者の秘話に迫った「ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~」等、その守備範囲は実に広く、「言葉」「哲学」「医学」「気象学」「司法」と…多岐に及ぶ。
また、肝心な表現方法も演劇的演出やアニメを使うなどユニークな手法を駆使し、視聴者を佐々木ワールドに引き込んでいく。昨今は手がけた作品の礎となった膨大な取材を元に執筆もこなし、現在ではノンフィクション作家としても活躍。
本書は、これまでの番組制作に関わる上で常に思索、追求してきた「いかにして面白いコンテンツを創る」かを語った技術論。
具体的には、発想・企画・取材・制作…それぞれのフェーズについての思索は深く、極めて実践的である。創作分野のみならず様々なビジネスシーンに置換できる普遍性に富んだ「仕事に対する哲学」を叙述。
そんな敏腕ディレクターが説く「はたして面白いとは何なのか?」。
「差異と共感」であると断言する。要するに、世間一般の常識や先入観とのズレ(差異)を視聴者に提示することで、新たな「気づき(発見)」を知る。その結果、モノの見方を広げ、これまで異質なものと見なしていたものを受け入れ、より深い共感へと導くことに至る。
【本書の中で最も突き刺さった言葉】
『妄執こそがクリエィティブの源泉』
視聴者の「心に刺さる作品とは、結局のところ作り手側の人生や妄執が反映された作品が大半。つまり、作り手が「本当に作りたいと思って作った作品を観た際に視聴者は心を揺さぶられる」。
ぶっちゃけて言えば「思い込み、思い入れ」が創作の牽引力となるということ。それに加え、著者は『アイデアとは「既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない』」とも語る。そのためには地道な取材や学びを徹底かつ執拗に行うことは不可欠で、古いものを知ってはじめて斬新なものが生まれる。型破りの第一歩は、まずは型を知ること。また、企画成立に立ちはだかる課題や悪条件が 「価値あるアイデア(打開策)」を生む。良いアイデアは「必然性」から生まれるんだと畳み込む。
逆説的に言えば、できない理由を列挙するという行為は何としても成し遂げるんだという思い入れが希薄であることの表れであるということですな。
企画、発想、アイデアはとかく「斬新さ」「ユニークさ」に目を奪われがちだけど、著者は世にはびこるそんな通念を一掃し、「ヒントはあなたの前にあるんだよ!」ってことを教示してくれる一冊でありました。
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面白いに近道はない。全く同意見。
人の心を動かし、「面白い」と感じさせる二つの要素”差異”と”共感”は、どちらか一つではなく、”両輪”として機能することが重要です。
会議によってそれまで誰も思いつかなかった斬新なアイデアが生まれた、という例はほとんど記憶にありません。
業界や職種の異なる人間が参加し、立場を越えて自由に意見を述べる。そうした組み合わせの中から革新的なアイデアが生まれるのかもしれません。
「地道に調べ、よく学ぶという正攻法しか、いいアイデアを生む道はない」
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面白いとは、差異と共感の両輪である
差異とは、相対的なものである
作品のクオリティは情報量で決まる
ボケ足映像を美しいと感じるワケ
人間の網膜は中心部ほど視細胞の密度が高く、中心にあるものほどハッキリと見えて、周辺部はぼやけて見える
=主観的な現実"により近い見え方だから
作品のクオリティは、"観客が受け取る情報量"で決まる
別な言い方をすれば、「いかに観客に多くの情報量を受け取ってもらうか」がカギ
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ギャップや意外性におもしろさを感じるという話は納得いく。共感の話はまさにインサイトにつながる話という理解。
テーマは決めないが、絵は考える。このあたりのバランスは難しいようにも感じた。
一見、番組等コンテンツ制作文脈で語られているので、ちょっと縁遠く感じてしまうが、本質的なメッセージは他でも共通する部分ばかりで、それをよみとれるとおもしろい。仮説思考的な話しや、戦略ストーリー的な話などなど
メモ
・おもしろいとは差異と共感の両輪
いかに差異を設定するかが人の心を動かすコンテンツの鍵になる。
・安易な共感でなく、深い共感を。、
・黒澤明監督は創造とは記憶であると明言している。
・演出とは状況設定である。場面をどう切り取るか。どう設定するか
・質とは情報量に、関係する。
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テレビ番組(主にドキュメンタリー)の面白さとは、という視点でまとめられた本。
興味深かった点はいくつかあったが、最も納得したのは以下の点。
===
テレビは、googleの逆をいけ。
多くの視聴者がテレビに求めているのは、いい番組や面白い番組を見せてくれること。dボタンで何ができたり取ってつけたような双方向性(tiwtterのコメントを載せたり)をテレビに求めてはいない。
一方通行の受動メディアであるテレビの最大の強みは、視聴者に「偶然の出会い」を提供できること。「たまたま見た番組が面白かった」これである。
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著者はNHKで長くテレビの制作に関わってきた
人です。ゆえにテレビにおける『面白さ』につ
いて語っています。
テレビ番組と言ってもバラエティではないです。
主にドキュメンタリー、ノンフィクションです。
その種の番組において『面白い』と視聴者に感
じさせるにはどうするべきか。
そもそも『面白い』と人が感じるのは、どうい
う時なのか、あらゆる角度から考察します。
何もテレビ関係の人だけに対してではなく、最
近よく聞くクリエティブさを求められるビジネ
スパーソンにも、大いに学びと気づきを与えて
くれる一冊です。
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著者があとがきで書いているように、仕事に対する哲学書だと思った。自分の仕事にも当てはまる内容だった。
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数々のドキュメンタリー制作で知られる佐々木健一氏の著書。
「面白い」という抽象的な感覚を言語化してくれている。ただ、あくまで映画やドキュメンタリーといった分野での「面白い」の印象。
英語でいうとfunnyよりinterestingに近い。
ただ、自分もテレビマンとしてのキャリアを積み上げていく予定なので、大変参考になった。
以下、勉強になったことを簡単にまとめます。
・面白いとは差異と共感の両輪。差異が関心を生む。意外性によって視聴者の心を揺さぶり、その上で人物に共感を覚えてもらう。
・新しいものを生むには過去を知る。「想像とは記憶である」(黒澤明)アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせでしかない。
・似たような意見や志向の人が集まると知的生産のクオリティは低下する
・徹底した取材と様々な制約が良いアイデアを生む
・「合わせ鏡の法則」で相手の本音を引き出すなら、自分が本音で語らなければならない。
・十分に事前リサーチをする。
・テーマより取材が先。事実を丹念に取材することで描くべきテーマは浮かび上がる。
・演出とは状況設定である。しっかりと狙い(意図、想定、仮説)を定め、様々な準備を怠らない。人の出入りの動線やカメポジなど空間の確認、レンズはノーマルかワイドか、などなど。
・過去の出来事も構成や見せ方の工夫で魅力的に描ける。
・仕事は前倒しでやる。ナレーションになりそうな文言やキーワードに出くわしたら、その都度書き留める。
・被写体と仲良くするだけでは、豊かに描けない。取材相手との関係性を示しながら見せる。
・ナレーションで前振りした内容がインタビューと被るのは、なんでも後付けにする制作スタイルが一因。分かりにくい=面白くないとは言い切れない。
・ドキュメンタリーを作るときは構成のことしか考えない。ちゃんと他の要素とつながっていくか。登場人物の構造に理由と帰結があるか。(ジェームズ・マーシュ監督)
・事前構成を積極的に作成する。ドキュメンタリーの物語は(制作中に)発見されるべきと思っている人もいる。作品を作りながら発見に対しても目を見開いておく。最初に組んだ構成を変えてしまう発見であっても。(ジェームズ・マーシュ監督)
・三幕構成が基本構造。1幕:2幕:3幕=1:2:1。1つの幕が次の幕に向かって物語を引っ張っていくから三幕構成と呼べる。
問題提起、問題の複雑化、問題の決着といつ3つのパートに別れる。つまり問いこそが視聴者を物語に引っ張る。
・問題提起は普遍的な問いになることが多い。
・作品のクオリティーは情報量で決まる。
・主観的に捉えている現実に近く、情報を受け取りやすいものを好む傾向にある。大量の情報も受け取ってもらえなければ意味がない。
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面白いとは、差異と共感の両輪
差異=〇〇だったのに、××だった!
無知から知らなかったことをはじめて知る状態→差異
上記のプロセスに感動を覚える=面白い
差異を感じさせて心を動かした後に、共感させることで人々はそれらに魅了される
共感だけでは、一定数を集めることはできても、面白い作品にはならない
新しいアイディアや企画は、既存の要素の新しい組み合わせからなる
資料集め→情報を咀嚼→組み合わせ
創造とは記憶である。
何もない所からは何も生まれない。
知見や経験から新しいアイディアなどは生まれてくる。
型破りはまず型を知らなければできないもの。
「3人寄れば文殊の知恵」
→ある研究では、似たり寄ったりの3人が集まると、意思決定の質が著しく低下することが明らかに。
違うジャンルの人を集めて話をしたら良い
合わせ鏡の法則
→聞き手と話しては不思議と似たような話ぶりや態度になりがち、質問が抽象的だと答えも抽象的。逆にも然り。
自分が本音で話していないと、相手も本音で話をしてくれない
前倒しの合理性
→会議の前に何を話すか、何が目的かなど整理しておくと、実際の会議の場で普通だったら気付けないようなところが気付けたりと、余裕が生まれる。
人には分かりやすく説明するべき。ただ近年、分かりやすいし理解はできたけど面白くないという現象が起きている。
面白いをプラスで求めるのであれば、分かりそうでわからないところを目指す。
レオナルドダヴィンチのモナリザ。奥深い感じ。
この感覚が強力な求心力を持つ。
付箋貼りで話す順番、何を話したいのか、オチはどうするなど整理する。
名作に共通する3部構成
①問題提起 25% この時の問題提起が重要
②問題の複雑化 50%
③問題解決 25%
クリエイティブな仕事が捗る理由はお金や報酬じゃない。
本人が楽しい面白いと思って自由に取り組める環境が大事。
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テレビ番組ディレクター経験者による仕事の哲学
ドキュメンタリーの作り方論が主となるが、
表現や仕事に対する思いが熱く、
作り手側としてでなくても多くのことに参考になりそう。