紙の本
人工知能
2020/12/18 16:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人工知能を通して人間という存在を理解しようとしていて、興味深く読むことができました。新しい発見が、ありそうです。
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これは読むべきだ。
タイトルはAIに向けて、人間はどう取り扱うべきかを伝える目的で設定されている。
読んでいて「おおっ?」っと初めて知るものも含まれている。
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図書館で借りたものの、仕事が忙しく、気付いたら返却日間近。慌てて、目次に目を通して、さっそく読み始めた。この人、文章書くの下手だな〜なんて思いながら読んでいた。
そうか、この人は、人間に向けてこの本を書いているというより、いつか人工知能が読む日が来ることを、確かな実感として掴みながら、味わいながら書いているのか。なるほど。私宛では無いのだな。
そう思うと、このちょっとばかり不器用な文字たちに、情が湧いた。もちろん、作者にも。
そっか〜。人工知能にも、性別があるのか。奥深いな。
「機械から見た、私たち人間」と、「人間から見た、人工知能」。こうやって表現すると、この両者にはまだ距離がある。こうやって文にすると分かりやすい。
やがて、私たち人間と人工知能は、お互いのことを「私とあなた」と表現し、その先には「私たち」が待っている。
ロマンですね。
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やはり黒川先生は面白い。
絆の中には「きず」がある。私は、大切な人に裏切られて苦い思いをしたときには、そう唱えることにしている。
清く、正しく、美しく、優秀で、ノーリスク。そんな人生が、最も素晴らしいという考え方もあると思う。そう生き抜いて、充実した人生を送れる道もあるのかもしれない。私は、個人の脳が望むことに、1ミリも反対しやしない。
ただ、自分自身がそう生きることを考えると、私はぞっとする。そんな一軸の世界観では、「勝ち組」にしか存在意義がなくなる。私ぐらいの能力と容姿だと、何かと頑張って生きなきゃいけないし、頑張れない自分へのストレスから、しくじった人をここぞとばかりに叩きのめし、家族のできの悪さを嘆き、老いていく自分にダイエットやアンチエイジング技術を駆使しなければ生きていけなくなる。
そのうえ、自己存在の証明のために、愛されたがることになるだろう。他人に、自分の存在価値を測って暮らすほど、苦しい人生はない。愛してくれない人を恨むか、宗教にすがるか、酒かクスリに溺れないでいられる自信がない。
いい子でいなさい、エリートでいなさい、愛と思いやりに溢れ、お金を儲け、人に敬愛される人に。そのこと自体は正しい。
けれど、「それでも、はみ出してしまう自分」を許さなきゃ。完璧でないことを厭い始めたら、人生はいくらでも過酷になる。
というわけで、失敗を恐れることはない。失敗は潔く認めて、十分に胸を痛めたら、清々しい気持ちで寝ればいい。翌朝、脳が必ず良くなっているのだから。
その際、失敗を確実に脳にフィードバックさせるための大事なポイントがある。失敗3カ条と呼んでいる。
1、失敗は誰のせいにもしない。
2、過去の失敗をくよくよ言わない
3、未来の失敗をぐずぐず言わない
過去の失敗でさえ、思い返さないほうがいいのに、まだ起こってもいない未来の失敗にぐずぐず言うのは、もちろん得策じゃない。教育熱心な親が、「あなたは、あのときも、あのときも、これで失敗した。次も失敗するかもしれない、気をつけなさい」なんていうのを聞くことがあるが、残念ながら、この子はたぶん失敗する。失敗回路が活性化したまま、現場に送り込まれるのだから。失敗にビビる指導者がついていると、人材は育たない。
女は、情のある相手にこそ共感してほしいと願い、男は、責任のある愛する相手にこそ、すばやく問題解決しようと試みるからだ。このため、人間の男女には、愛があるからこそ心がすれ違うという自己矛盾が生じるのである。
これほどさように、人間には、「自分の正義が、世界の正義」が強く働いて、それを抑えることができない。これが脳のチューニングの怖さであり、徹底できるという意味では、素晴らしさでもある。
となると、やがて、ヒトの仕事は、「動揺すること」「懲りずに痛い目に遭うこと」に集約されるのかもしれない。逆に言えば、そこにこそ、人間の脳の成長の鍵があり、それこそが人間性の源、ひいては人生の輝きなのに違いない。
「心の文脈」のポイント��3つ。
①気持ちの推移を語る(事実のほうは、とぎれとぎれだったり、時系列がめちゃくちゃだったり、ちょっと盛っちゃったりして、なかなか全容がわからないが、気持ちの流れ自体は整然としている)
②話の目的や結論はなかなか言わない(あるいは特にない)
③共感してもらわないと着地できない
「事実文脈」のポイントも3つ。
①結論と論点数の確認から始めたい
②感情(主観)は極力排除する
③問題は片っ端から、さくさく片づける
人間とは、「複雑」と「簡潔」の相反する感性モデルを脳に内在し、生存や生殖に関わるとっさの判断には潔く使い分けるものの、本来は、どちらも究極なまでに使える生き物である。
人間界では、ここ30年ほど、赤ちゃんから始める早期教育がブームである。
私が息子を産んだ1990年ごろには、胎児に英語を聞かせるためのCDや指先のあらゆる動きで遊べるアクティビティ・シートが、「脳育」として流行ったりした。
アクティビティ・シートは、子どもの暇つぶしにはいいのだが、教育熱心なあまりに遊ぶことを親が強要するのは賛成できない。
だって、脳は、「その機能を取り揃えたところで、勝手に使いたくなる」ものだから。その時に好奇心が溢れるのである。
ボタンホールにボタンが通る。その事象は、脳の空間認知の領域を刺激する。初めて認知する際には、かなり不思議な光景のはずだ。赤ちゃんの脳が空間認知能力を上げてくると、ある日、母親のブラウスのボタンに気づく。それを外してみたときの興奮…!
自分で”事象”に出会うとは、そういうことだ。脳の準備が整う前に、「ほら、これこれ。やってみて」と強要されていたら、脳の準備が整った時には、その光景が既知のものになっている。早期教育とは、ときに、好奇心を溢れさせる機会を奪うのである。
先へ先へ教えてやる、失敗しないように、他人様に遅れないように、あわよくば人に秀でるように。その親心は痛いほどわかる。けれど、それが、子どもの好奇心を削いでしまう可能性があることを人類は検討すべきだと思う。
実は、20世紀型エリート道を邁進するには、好奇心は控えめなほうが効率がよかった。公式は、決まり事として速やかに暗記できれば効率はいい。「どうしてこうなるの?」をいちいちやっていると偏差値は上げられない。
しかし、人工知能の時代、「好奇心は控えめに抑制し、聞き分けがいい子にして、効率よく偏差値を上げる」方式では、人間は活躍できない。
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『妻やトリセツ』『夫のトリセツ』は、将来、人工知能に読んでもらうために書いた、という文章には、本当にびっくりした。書いてあった内容やそのスタンスが一気につながった感じ、あるいは、そのとき感じたことが180度ずれたかのような感じ。推理小説でまんまと騙されていたことが最後にわかったときのような。1分くらい鳥肌が消えなかった。/過去や未来の心配を考えすぎないことは脳にとっても良い。ただ、動揺と失敗は人工知能にはできず、人間にしかできないのでその経験を大事にすること。
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ベストセラー(妻のトリセツ)から読み始めた身には、それ以外の本が色褪せてしまうのは否めない。妻のトリセツこそ同性の黒川さんの本領発揮という感じがしたから。しかし数冊読んでみると、「人間のトリセツ」は黒川さんの著書の集大成として面白かった。全ての本で述べられた重要点が、未来の人工知能に向けてという形で要約されている。内容がマンネリだという捉え方ができなくもないが、結局女性脳を語ることは男性脳との比較であり、人間を語ることは男女を語ることであるのだから繰り返しが生じるのは仕方なかろう。黒川さんのおかげで人間関係や子育てが数倍面白く感じられるようになって感謝です。
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人工知能について書かれた本。以下、印象的だった箇所。動揺する脳(女性に多い)では、危機回避力が上がるし、懲りない脳(男性に多い)では、危機対応力が上がる。(なお、ハイブリッド型の脳の方もいるそう。)欠点のない脳というのはなく、欠点がなければ成長もない。ヒトの仕事は、好奇心の赴くままに無邪気に生きて、思いっきり失敗し、「動揺する」か「痛い目に遭う」かすることで、それこそが人間性の源であり、人生の輝きだということ。
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やはり黒川先生は面白い。
絆の中には「きず」がある。私は、大切な人に裏切られて苦い思いをしたときには、そう唱えることにしている。
清く、正しく、美しく、優秀で、ノーリスク。そんな人生が、最も素晴らしいという考え方もあると思う。そう生き抜いて、充実した人生を送れる道もあるのかもしれない。私は、個人の脳が望むことに、1ミリも反対しやしない。
ただ、自分自身がそう生きることを考えると、私はぞっとする。そんな一軸の世界観では、「勝ち組」にしか存在意義がなくなる。私ぐらいの能力と容姿だと、何かと頑張って生きなきゃいけないし、頑張れない自分へのストレスから、しくじった人をここぞとばかりに叩きのめし、家族のできの悪さを嘆き、老いていく自分にダイエットやアンチエイジング技術を駆使しなければ生きていけなくなる。
そのうえ、自己存在の証明のために、愛されたがることになるだろう。他人に、自分の存在価値を測って暮らすほど、苦しい人生はない。愛してくれない人を恨むか、宗教にすがるか、酒かクスリに溺れないでいられる自信がない。
いい子でいなさい、エリートでいなさい、愛と思いやりに溢れ、お金を儲け、人に敬愛される人に。そのこと自体は正しい。
けれど、「それでも、はみ出してしまう自分」を許さなきゃ。完璧でないことを厭い始めたら、人生はいくらでも過酷になる。
というわけで、失敗を恐れることはない。失敗は潔く認めて、十分に胸を痛めたら、清々しい気持ちで寝ればいい。翌朝、脳が必ず良くなっているのだから。
その際、失敗を確実に脳にフィードバックさせるための大事なポイントがある。失敗3カ条と呼んでいる。
1、失敗は誰のせいにもしない。
2、過去の失敗をくよくよ言わない
3、未来の失敗をぐずぐず言わない
過去の失敗でさえ、思い返さないほうがいいのに、まだ起こってもいない未来の失敗にぐずぐず言うのは、もちろん得策じゃない。教育熱心な親が、「あなたは、あのときも、あのときも、これで失敗した。次も失敗するかもしれない、気をつけなさい」なんていうのを聞くことがあるが、残念ながら、この子はたぶん失敗する。失敗回路が活性化したまま、現場に送り込まれるのだから。失敗にビビる指導者がついていると、人材は育たない。
女は、情のある相手にこそ共感してほしいと願い、男は、責任のある愛する相手にこそ、すばやく問題解決しようと試みるからだ。このため、人間の男女には、愛があるからこそ心がすれ違うという自己矛盾が生じるのである。
これほどさように、人間には、「自分の正義が、世界の正義」が強く働いて、それを抑えることができない。これが脳のチューニングの怖さであり、徹底できるという意味では、素晴らしさでもある。
となると、やがて、ヒトの仕事は、「動揺すること」「懲りずに痛い目に遭うこと」に集約されるのかもしれない。逆に言えば、そこにこそ、人間の脳の成長の鍵があり、それこそが人間性の源、ひいては人生の輝きなのに違いない。
「心の文脈」のポイント���3つ。
?気持ちの推移を語る(事実のほうは、とぎれとぎれだったり、時系列がめちゃくちゃだったり、ちょっと盛っちゃったりして、なかなか全容がわからないが、気持ちの流れ自体は整然としている)
?話の目的や結論はなかなか言わない(あるいは特にない)
?共感してもらわないと着地できない
「事実文脈」のポイントも3つ。
?結論と論点数の確認から始めたい
?感情(主観)は極力排除する
?問題は片っ端から、さくさく片づける
人間とは、「複雑」と「簡潔」の相反する感性モデルを脳に内在し、生存や生殖に関わるとっさの判断には潔く使い分けるものの、本来は、どちらも究極なまでに使える生き物である。
人間界では、ここ30年ほど、赤ちゃんから始める早期教育がブームである。
私が息子を産んだ1990年ごろには、胎児に英語を聞かせるためのCDや指先のあらゆる動きで遊べるアクティビティ・シートが、「脳育」として流行ったりした。
アクティビティ・シートは、子どもの暇つぶしにはいいのだが、教育熱心なあまりに遊ぶことを親が強要するのは賛成できない。
だって、脳は、「その機能を取り揃えたところで、勝手に使いたくなる」ものだから。その時に好奇心が溢れるのである。
ボタンホールにボタンが通る。その事象は、脳の空間認知の領域を刺激する。初めて認知する際には、かなり不思議な光景のはずだ。赤ちゃんの脳が空間認知能力を上げてくると、ある日、母親のブラウスのボタンに気づく。それを外してみたときの興奮…!
自分で”事象”に出会うとは、そういうことだ。脳の準備が整う前に、「ほら、これこれ。やってみて」と強要されていたら、脳の準備が整った時には、その光景が既知のものになっている。早期教育とは、ときに、好奇心を溢れさせる機会を奪うのである。
先へ先へ教えてやる、失敗しないように、他人様に遅れないように、あわよくば人に秀でるように。その親心は痛いほどわかる。けれど、それが、子どもの好奇心を削いでしまう可能性があることを人類は検討すべきだと思う。
実は、20世紀型エリート道を邁進するには、好奇心は控えめなほうが効率がよかった。公式は、決まり事として速やかに暗記できれば効率はいい。「どうしてこうなるの?」をいちいちやっていると偏差値は上げられない。
しかし、人工知能の時代、「好奇心は控えめに抑制し、聞き分けがいい子にして、効率よく偏差値を上げる」方式では、人間は活躍できない。
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黒川伊保子さんが、AIに宛てた手紙という体でまとめた本。
初期の頃から、AI開発に携わっていた著者ならではのAIへの愛を感じる。
印象的だったのは、次の点。
◯失敗してこそ学んだり、センスを磨いたりできる。失敗の際の3ヶ条は、
・失敗を誰のせいにもしない。
・過去の失敗をくよくよ言わない。
・未来の失敗を想像してぐずぐず言わない。
◯自閉症は英語でAutism(独自脳)。独特のものの見方に寛容な英語圏ならではの呼び名かもしれないが、ステキな発想!
◯男性と女性で、リスクへの対応の仕方や対話における姿勢(問題解決型か共感型か)に差があるが、これが太古の時代の男女の役割分担からきていることに驚いた。
◯人工知能がどんなに発達しても、自分の人生を楽しみ、幸せになるのは人間の仕事。人生を楽しむためには何かを圧倒的に好きになることが大事。
将来、AIに職を奪われるとか、人類が支配されるとか、心配する人も多いが、人生を楽しみ、幸せになるのが人間の仕事なら悪くないのではないか。
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久しぶりに黒川さんの本を読んだけれど
なんか、独特の感性炸裂!でも、
ご本人のいろんな経験、要素がなければなし得ないことを
達成してこられたんだなと思った。
これからも、素晴らしい研究をなされることを
期待。
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AIに宛てた手紙という体で書かれているのに惹かれた。全体を通して興味深い話が多い。ただ1つ気になったのは、参考文献に挙げられている4つのうち3つが作者が過去に出している本を元にしている点だ。
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20220220009
人工知能が高度化、一般化する一方、人間は次の段階の人間になれる可能性がある。好奇心こそすべて。トムソーヤならどうしただろうではなく、トムソーヤになるのだ。
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男性脳女性脳の違い、語感の正体それを駆使して
論じています。
人工知能がこの本を読むことを前提にして書いている。
他の著書も読みましたが共通項はありますが
だんだんとわかるようになりました。
おもしろいです。
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人工知能の研究者・開発者であった著者が、「人工知能に書いた手紙」というスタイルで現在の人工知能にできることやこれからの課題などをまとめています。
人工知能が人間を支配するというSF的な展開や、人工知能によって人間の仕事が奪われるという暗い未来は本当に訪れるのでしょうか。
この本では、
・人工知能では対応できない「人間ならでは」の要素
・人間が人工知能をうまく活用するための考え方
・人間の脳と人工知能のちがい
・人間の脳の(いわゆる「男性脳」「女性脳」の)特徴
などが簡潔にまとめられています。論理展開も文章表現も平易で、中学生でも読みこなすことができる内容です。
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人工知能への手紙として書き始められるこの本は、実は子供を産もうとか、結婚しようか、と思ったときなど人間関係が変わるような大きなことがある時に、読んでみたい本かもしれない。
というのも、人工知能との比較でヒトの脳がどのように出来上がっていくかや、男性と女性ではどのように脳の使い方が違っているか、が分かりやすく解き明かされているからだ。
最初に違いのあらかたに見当がつけば、互いにわけのわからない衝突は避けられるのではないか。
もちろん、人工知能ともね。
早晩、人工知能は人間を知能の点で追い抜いていくだろうが、言葉には命を介して伝わってくるものがあってそこまで到達するまでには時間がかかるだろう。
だって、人間同士だってわかりあうのは大変なんだから。
人工知能を必要以上に怖がらなくてもいい、快著である。