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三国志関係の書籍って幾つか読んだ事は有るのだけど、ゲーム関係には手を出した経験がないからか、イマイチ誰が誰の関係者というイメージが湧かなかったり
それも有って、本作で扱う董卓独裁時代はあまり知らなかったり。その娘ともなればほぼ無知に等しい状況
まあ、後書きにあったあのゲームのイラストは目にした事は有ったりするのだけど、本当にその程度の知識かな
歴史上の人物に転生して現代知識や歴史知識を駆使して覇道を歩む。そう書いてしまうと簡単に思えるけど、そこに歴史に名を残す豪傑達の思惑が絡めばそう簡単には行かない。おまけに転生先が董白なんてほぼ活躍のない人物なら尚の事
この状況を30歳無職のささねはどうにかして生き延びなければならないわけだね
というか、始まりから割と詰んだ状態から始まっているのね。祖父の董卓はその横暴さによって恨みを買いまくりで反董卓連合軍は結成済み。おまけに董卓の部下である呂布は謀反の兆しを見せ……
と、ここから逆転の道が有るなら見せて貰いたいと思う程に既に詰んでいるように見える。更に董白が何ら秀でた能力を持たない幼女であるなら、白旗を上げたくなるほどに不利
ここでささね扮する董白は自身の生存の為に行動することになるのだけど、一方で本人の病的な口の悪さによって望まないレベルで自身の立場を確保していく描写は面白いね
董白に何の能力もないという点は先述した通りなのだけど、その中身であるささねが追い詰められた時ほど、相手の人格を執拗に口撃できるというのは一つの特色
武力でも統率力でも負けていても口の悪さによって勝てる。それが本作の主人公たる董白の魅力だね
また、本作に登場する他の人物も一癖も二癖もある人物ばかり
董白ガチ勢の李傕を始めとして、何故か女の子として登場する馬超、自身や他者の死に無頓着な陳宮等々
中でも第1巻の敵として登場する呂布は飛び抜けた個性を持っているね
一見すると戦闘狂のような後先考えない人物。けれど、董卓軍の中で多大な影響力を持つことから判るように、政治的な重要人物である点を自覚していると同時に最高の戦いをする為に冷静な判断ができる軍人でもある。つまりは後先を考えられる戦闘狂
武力がないから口撃に頼るしか無い董白ととても相性が悪い。それを示すように作中では何度も董白に煮え湯を飲ませているね
今回は何とか撤退させる事ができた呂布や反董卓連合軍。つまり、これによって本格的に史実の束縛から逃れたということになる
これからは未来の知識を持っていても役に立たない事態があるかもしれない、それに対して無力な董白がどう立ち向かっていくのか?というよりも無事に本人の望み通り逃亡を果たすことが出来るのか?
そして董白を助けながらも意外な正体を隠し持つ劉備がどう動くのか?
色々と気になる要素を見せつつ、三国志知識が無くても十二分に楽しめそうな本作がこれからどのような覇道を見せるのか気になるね