電子書籍
それほどでは
2021/07/24 06:42
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あぐら - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の感想は個人によって違うので、本書に大いに心を揺さぶられた方にはスルーをして欲しいことを書きます。
とても読みやすく、一気読みできました。
ただ、文章表現はいささかチープで直接すぎます。なんというか、「熱いものが頬を伝った」とでも表現する部分を「泣いた」で済ませてしまうというか。遠回しな言い方ばかりを肯定する気はないですが、多彩な表現はより情景を豊かにする技法でもあり、大賞を受賞するような作品なら尚更ではないかと。まるで小説というより戯曲を読んでいるような気がしました。
あらすじも展開がよめる内容ばかりで、捻りがありません。小さくまとまっていて、映像化を目指すには丁度いいのでしょう。
ラストも、主人公の気持ちや考えを書きすぎです。主人公の得た悟りを直接的に描きすぎていて工夫がありません。多少ぼかしながら、もっと読者の心に問いかける表現にできたはず。でなければ、辛い出来事を書き綴った意味がないのです。ラストまでついてきた読者を信じて、「これまであんな出来事があったんだから、わかるよね」という感覚が欠けています。そうした意味でも、本書は小説というよりも戯曲なのです。安物の漫画化、ドラマ化を前提にした商業的価値は高そうな気がしますが、どうもライトすぎな気がします。ラノベ好きにはオススメですが、私のような理屈好きには、あまり期待するなと言いたいです。
紙の本
不幸を超えてゆけ?
2023/08/14 11:29
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公を助ける友人の存在が大きいけど、なんでそこまで助けるのか分からなかった。
52ヘルツの声も、他人から適当に受け取ったものだし。
人を救うとか、そんな簡単に決めるなよ。
紙の本
the本屋大賞
2021/09/16 16:25
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投稿者:漂白 - この投稿者のレビュー一覧を見る
良くも悪くも、the本屋大賞という感じです。主人公になぜそんな魅力があるのかよくわからず、美晴や主税という脇役の存在感が強すぎるため余計ぼやけます。不運な境遇なムシという男の子と出会って自身の人生を見直していく……、民法ドラマによくある感じの展開です。前年受賞作の作品と読後感がすごく似ています。社会性のあるテーマだとたくさんの人に知ってもらえるのでテーマとしては良い作品だと思います。
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基本、わたし速読なのですが、これは一文一文苦しくて、大丈夫かな、どうなるのかな、って不安でなかなか読み進まなかった。
喪失と救いの物語。本当に、最後はずっと泣いてた。キナコもアンさんも52も、みんなみんないいけど、美晴の言葉がすごく泣けたな。苦しさを半分ちょうだいって言ってくれる友達ってすごくすごく大事だよね。
はぁ…いいもの読んだなぁ。。
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まだ心が震えている、そのくらい良かった…。貴瑚を救ってくれたアンさんの愛、虐待を受けた子どもとの出会い、52ヘルツのクジラの声のように、音なき悲鳴や叫びに気づくひとが きっといる。ああ、読んで良かった。
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本屋大賞受賞作です。
人生で救いがなくだからこそ愛情という名の救いを求めてしまうキナコ。
過剰に求めてしまうがために真意を考えずに目の前の情にすがってしまう。
愛されたいという欲求だけを考えているから視野がせまいし行動も極端。
そういうところが自分にもあるからドキッ。
村中のおばあちゃんの「人間はいつか与える側にならんといかん」という言葉が印象に残っています。
「なる」ではなく「ならんといかん」。
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「児童虐待」一番許せない罪。
親は、大人は、なぜ、子どもたちに暴力をふるうのか。なぜ、その人権を踏みにじり、たったひとつの希望「愛すること」を与えないのか。
たった一言、母親からの「愛している」という言葉を求めて届かない声で泣く子がいる。心に滲みついた孤独の匂い。どうすれば聞こえるのか、彼らのその声が。どうすれば届けられるのか、彼らにこの声が。
けれど、彼らの声は届かない。命を懸けて叫んでいるのに。誰にも聞こえない。
52ヘルツの周波数で鳴くくじらがいるという。彼の声は仲間の誰にも届かないという。
でも、届かなくても、彼は、そこに、いて叫び続けているのに。
虐待を受けて育ったキナコ。大人になってからは家族の世話をするためだけに生きる日々。どんなに尽くしても、新しい「家族」の中に自分の居場所はない。そんな毎日から救い出してくれた恩人との最悪の形での別れ。
虐待からうまく抜け出せたように見えた日々、ようやくつかんだ自分の人生。なのに狂い始めた歯車…
絶望から二度目の生きなおし。そこで出会ったしゃべらない被虐待児。彼を救い出すために自ら動くことで自分自身の人生をようやく生き始めたキナコ。
あぁ、彼女の人生に美晴がいてよかった。美晴に全力で感謝したい。
泣きすぎて頭が痛い。キナコの歩いてきた道がつらくて。アンさんの思いが悲しくて。実母からムシと呼ばれる少年の声なき声が苦しくて。そして、悲しみを半分ちょうだいと言ってくれる美晴の思いがうれしくて。
思う存分泣いた。泣きながら読み終わり、そして彼らの2年後の笑顔を思い、そっと微笑んだ。
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読みやすい。
けど、何か「52」というネーミングだったり、親切すぎる友人がいたり、主人公が気に病んでいる件にしても、何かこう意外性がないというか、心の底から納得できない感じとか。
途中から幸せな方向にどんどん転がっていく感じとか。
どこか設定に迷いや曖昧さなんかを感じました。
孤独を抱えている人にとっては、なんと夢物語なんだろうと多少の苛立ちを思わせる作品になってしまっている。
読み手によってかなり評価が分かれるのではないかと思います。
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田舎に引っ越して一人暮らしを始めた訳アリ女性の貴瑚(キナコ)が、母親に虐待され「ムシ」と呼ばれている少年と出会い、互いにすれ違いながら現在を力強く生きる物語(著者は町田そこのさん)。タイトルの52ヘルツのクジラは世界で最も孤独とさせるクジラを指す用語。本書は心に傷を持った人物が多く、皆孤独と戦いながら生きている、タイトルメッセージは終盤で明らかになるが、救われる人もいれば救われない人もいる。中盤非常に切ない場面もあったが、ラストで巻き返しあり読後感はよかった。
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52ヘルツのクジラたち。神秘的なタイトルと、この52ヘルツと言う周波数は、普通のクジラと全く違うために、仲間に声が届かないのだ、と言う解説に惹かれて手に取った本。
思ったよりも、辛い内容が多く、だけれども、後半は暗く音のない海の中に、光が指して、仲間の呼びかける声が聞こえてくるような、そんな静かで優しい世界観が広がった。
虐待(暴力・ネグレクト)、ヤングケア、DV、LGBT。色々なことが描かれていて、特に虐待の描写は読むのが辛かった。
でも、これでもかと言う辛い過去を背負っている貴瑚(キナコ)が、それなのに強さも持ち、人を憎むだけではなく、信頼し愛する気持ちを持っていて、ムシ(愛・52)を救いたいと思い、行動してくれることが、すごく嬉しくて、尊敬の念すら抱いてしまう。
そして、そんなキナコを形作ったのは、アンさんと美晴の深くて広い愛情のおかげ。美晴はさっぱりしていて強くて優しくて、本当に魅力的だった。
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キナコの残酷な過去とそれにかさなる52の虐待。
家庭内の虐待を警察や学校に訴えるのは、とても勇気がいる。キナコと52。これからどうやって生きていくのだろうか。幸せになってほしい。
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ずっと読みたいと思っていて、やっと手元に。
一気読みでした。
誰にも届かない心の声を52ヘルツのクジラと表現した素晴らしさ、感動しました。
キナコが背負ってきたものは彼女を酷く痛めつけたけれど、物語の終わりのその先で、彼女はその傷を強さと優しさに変えて生きていくのだろうと想像した。晴れやかな気持ちで読み終えた。
声にならない、または声にできない心の叫び…誰の心にも52ヘルツのクジラはいるような気がする。
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うーーんどろどろ。
すっきりとした読み終わりじゃないよ。考えさせられることがたくさん。いろんな問題が出てくるの。追いつかないな、考えちゃって。
愛がなんだ。
ほんとうの愛ってなんだ。
自分でも分からないのにそれを他人に求めるなんて難しいことだよね。
私はいつも助けてくれる人が周りに絶対いる。どんなに小さくても周波数が違くても絶対に気がついてくれる。なんで私のことそんなに見てくれるんだろ。きっと私がかけた愛なんだな。
そう思える私は幸せ。
いつもありがとう。
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ファンタジーのようでした。傷を負った二人が光の差す方に進んで行けるのはよかったな、と思えました。二人の家族はありえないほど酷いのに、他人は温かいですね。アンさんは置いといて、美晴ですよ!こんな素晴らしい人いますか?至宝です。彼らの温かさに包まれて、前進して行けたらいいです。しかし、キナコの恋愛には、出会いも付き合い方も???だらけ。大変申し訳ないですが、こういう風にもっていってしまう性(さが)というものはあると思います。
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信頼するには時間が必要だし、距離感も必要だよなあ。この人だっ、と思える人じゃなけゃなかなか話せないものだと思う、ましてやイジメや虐待とかされたら行き場に迷う、良い人が沢山いる事を願って、発する事を諦めないで欲しいね