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紙の本
資料集的価値は認めるけれど。
2001/10/29 00:12
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の『あとがき』によれば、「かって執筆した三つの原稿の集成」だそうである。要は、著者が執筆なさった過去のモンゴル史の叙述(共著の一部を含む)を切り張りしたものである。
本書の特徴を挙げるとすれば、いわゆる大元ウルス=フビライ朝がモンゴル高原に後退し、女真族による清朝下の八旗制に取り込まれるまでの、「北元」時代の部族間抗争に比較的多くの紙幅が充てられている点を挙げることができる。そこでは、明代のモンゴル・ウルスの歴史展開を明朝の裏面史としてではなく、「オイラト」と「モンゴル」の抗争史として正面から取り上げられており、ハーン達の盛衰が描かれている。また、巻末近くに、18世紀の清朝によりモンゴル地域に設けられた八旗のリストが掲載されており、これにも興味深いものがあった。
しかし、本書の叙述全般について言えば、散漫の感を逃れ得ない。要は政治事象の時系列的羅列に終始してしまっているのである。恐らく、冒頭に書いたような本書の出自の故、同名の新書(ただし、こちらは上・下の二巻本である)も書かれている杉山正明氏の諸著作に見られような「モンゴル・ウルスが世界史に及ぼしたダイナミズム」への言及はなく、著者自身の歴史観を開陳・論証するような著作とはなっていないのである。
各出版社から新書シリーズが乱立する状況では、こういう作り方の新書がでるのも仕方がないのかも知れないが、題名に惹かれて、歴史資料集に毛がはえたようなものを読まされてしまい、非常に不愉快な思いをさせられたというのが、正直な感想だ。
紙の本
2001/10/21朝刊
2001/10/26 22:16
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
十三世紀、当時の世界の大部分を支配するモンゴル帝国が登場し、東の中国世界と西の地中海世界が結ばれた。著者はこのことが「世界史の舞台を準備した」という。そのインパクトの大きさに比して、あまり知られていないモンゴル帝国興亡の歴史を一般向けにわかりやすく解説する。史上例を見ない大帝国となったモンゴル帝国は、様々な民族、宗教を内包していた。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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