紙の本
自由と強権、いずれが未来を支配する?
2020/05/31 21:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の大部分は、ウェブ版『現代ビジネス』に2019年7月から2020年3月にかけて連載の中国関連記事が元になっている。「われわれは今、分権的で自由な社会を作るのか、集権的で管理された社会を作るのかの歴史の重要な分岐点にいる。」この著者の問題意識に基づき集権的である中国の問題を長期的視点より把握することが、本書の中枢をなしている。中国の歴史を俯瞰すると、人類の長い歴史において、中国は世界の最先端にいた。しかし、16世紀頃からこの状態が変わり、アヘン戦争以後は、衰退の極みに達していた。その後、最近の躍進は著しい。経済発展や生活の豊かさは、経済的には計画経済ではなく市場経済によって、政治体制としては集権・独裁体制ではなく民主主義によってこそ、実現すると考えられていた。中国も経済成長すれば、西側諸国と同じようなモデルに収束していくと考えられていた。しかし、最近の中国の動向は、そのようにはなっていない。こうした背景を踏まえて、米中貿易戦争・米中ハイテク戦争・IT先進国となった中国の現況などについての簡潔かつ要を得た本書の解説は、わかりやすい。
著者がスタンフォード大学で客員教授を務めた際、中国人留学生の能力があまりに高いので驚嘆したとの経験談がある。辛口の著者が、驚嘆するぐらいだからその能力おそるべしであろう。いまやそれらの人々が中国を動かしている。それに引き換え、コロナ騒ぎで露呈した我が国のお粗末さ。例えば、コロナ感染者の保健所から監督官庁への手書きのファックス報告などを知るにつけ、日本の将来に一抹の不安を覚える。本書では、中国の躍進に対して、アメリカでは危機感拡大、日本は危機感欠如と指摘している。いずれにしても、最近の米中の動向を知るうえで、格好の一冊であると思う。
電子書籍
いつも読んでしまう
2020/05/19 09:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いのぜい - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろ考えさせられる内容だった。
投稿元:
レビューを見る
「デジタル人民元」
個人的には怖いと思います。
中国が世界の送金データや買い物履歴を握ることになります。
これはFacebookの「リブラ」が新たなデジタル通貨圏を作るよりもっとリアルな怖さやと思います。
おそらくもう直ぐ
「中国人民銀行にプライバシーを握られるよりは自国の中央銀行に握られる方がまだまし」
という究極の選択する時期が来るんやと思います。
マイナンバーで個人情報が…とか言ってるレベルではないと思います。
おそらく「デジタル人民元」が流通し出すと使い出す日本人も出てくるでしょう。
だって中国人観光客はデジタル人民元を使うでしょうし受け取った企業や店は手数料の安さとか使い勝手の良さから使うでしょう。
ただ香港デモ参加者が地下鉄の切符を買うのに現金を使った意味を考えないといけません。
僕はそれよりは使い勝手の良い比較的安全な
「デジタル円」
が開発されることを切に願います。
投稿元:
レビューを見る
非常にリアルタイムな出版だというのが第一の印象。且つKindleでの無償公開とされ、この未曾有の状況に対して世の中に発信をされたいのだろうと感じ読みました。
新しいテクノロジーの活用において、中国は世界をリードしている。やっかみじゃないが中国だからという声も耳にする。
米国は世界経済における中国の重要度が高まり、その技術の軍事転換を恐れての、強行的な関税政策などを実施。これはトランプ大統領の言動について理解できない部分が多かったが、目からウロコという感じでした。
今後中国が覇権を握るのか?という点について、ローマ帝国の寛容政策になぞらえて説明されているが、人材を集められるという点では本当に重要である。国家権力が絶対的である社会主義国家であれば、海外留学先から帰国せずそのまま職に就くケースが有能な人ほど多くなるだろうが、世界第二位の経済大国に変わった中国においても、様々な意味で変わっていて、特異に見える制度であるもそれが故に最新テクノロジーを有効活用できるという環境。
そういう環境に価値を求める有能な人材も多いであろうと著者は言う。
コロナ収束が見え隠れし始めたが、安易に緩めるのはよろしくない。が経済的ダメージも大きく、立ち直れない方々もたくさんいらっしゃるかもしれません。そんな時にこそ力を合わせて乗り切るべきだし、政治家、政府には強いリーダーシップを期待する。
投稿元:
レビューを見る
1.野口先生の関心が中国へ
①GDPシェア16%②コロナのインパクト③日本の依存ー輸出・観光客
米中戦争の進展 貿易戦争ーハイテク戦争ー覇権戦争へ
ハイテク①5G②衛星測位「北斗」35基>GPS31基③一帯一路政策
仮想通貨 リブラvsデジタル人民元 基軸通貨・決済情報
2.中国の復活 鄧小平1978「改革開放・現代化路線」⇒国家の威信回復ー習近平
①社会主義市場経済ー1992南巡講話ー1989天安門事件
②輸出産業育成 ✕輸入代替政策ではない コスト・価格上昇で失敗インド
③経済特区 1979深圳・珠海・汕頭・厦門
経済技術開発区 上海・天津・広州・大連
④1984株式会社を設立←国営企業を改革
⑤1990年代本格成長へ10%-30% 高等教育短大4割大学2割
3.中国の成長戦略「社会主義市場経済ー1992南巡講話」
①国営企業の改革=革命的 3,000万人が失業 民間へ 生産性向上
②海外からの直接投資の拡大 5,000万人の華僑
台湾2,000万人 香港600万人 東南アジア2,300万人
4.ハイテク企業の成長
①アリババ
5.中国の国家戦略 アヘン戦争以降の停滞からの脱却
国威の確立⇒習近平の使命
投稿元:
レビューを見る
好きか嫌いかは抜きにして中国がアメリカを凌ぐ超大国になる可能性、いや危険性か、はかなり高い。
民主主義国家ではなく中央官僚国家が世界の覇権国家となることについての危機感を感じる。
「中国共産党が生き残ったのは、経済的な成功おおかげでもあるが、より本質的には強権的な手段のためである」と著者は述べている。
そしてAIにより究極の独裁国家が誕生しようとしている。
投稿元:
レビューを見る
タイトルの撹乱は大袈裟すぎ。脅威なのはよくわかった。中国に対するアメリカの立ち位置が著者なりの解釈で書いてある。一意見としては参考になった。
投稿元:
レビューを見る
まあまあ面白かったが、この表題がいいのかどうかという内容。使われているデータが微妙に古いので今現在読むのには中途半端かも。
投稿元:
レビューを見る
タイトルと内容が不一致だ。中国は世界を「管理」しようとしているという内容の本である。貿易戦争をしかけたりして世界を攪乱しているのはアメリカのほうだ。しかし、著者は80歳なのに、こんなに頭が回転してるなんてすごいことだ。
投稿元:
レビューを見る
中国の直近の技術と動向について中立的な立場で述べられている。簡潔で読みやすく、短時間でポイントを得ることができる。
投稿元:
レビューを見る
竹中平蔵がデジタル資本主義という言葉を使っていたが、この本では、データ共産主義が論じられる。信用スコアリングや顔認証など、国家に対しては人権保障の無い中国において、非常に親和性のあるテクノロジーだと思う。更に、サイバー空間を支配するためにも、デジタル人民元を国家が管理し、治安維持を名目に、国民監視システムを機能させる。本著でも取り上げられているが、まさに、ジョージオーウェルの1984、ビッグブラザーの世界観だ。
民主主義国家がDX化で対抗しようとしても、個人情報を扱われる事への不安や拒否権の発動で、共産圏ほど上手くいかない。新たな資本主義において、データ活用によるEBPMや金融商品管理、CtoCのようなマッチングの効率性は期待したい所だが、完デジタル共産主義vsデジタル資本主義のどちらに軍配が上がるかだろうか。数ではなく力で決める政治か、多様性とマイノリティに翻弄される政治か。ポイントは民主主義における多様性を武器にできるか否かだが、同じ国に多様な間口がある方が、味方を増やしやすい、というメリットがある。後は経済安全保障も含めたミリタリー分野での得失だろうか。
ファーウェイや半導体問題、対するレアアース規制。ドローンにAIを実装しての軍民融合体制。国家が暴走する時、それを人民の力で防ぐ機能がない事は恐怖だ。大躍進政策や文革、天安門事件の前科がある。それが日本の隣国であるという事実を改めて認識しなければ。
投稿元:
レビューを見る
現代中国の特殊性を、自国民(漢民族だろう)に銃を向けた政権が維持されている国と考えると、確かに色々なことが納得ゆく。