紙の本
不透水層
2021/10/09 08:10
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
不透水層という言葉を初めて知った。
土がガチガチになって、
水を通しにくい、吸収しない層を、
甲子園では年に1回、機械で掘り起こして、
強く柔らかい状態に整える。
心の不透水層は、
気づかないように、見ないようにして放っておくから、
凝り固まって、重なり合って、大変なことになってる。
こっちも誰かが定期的にほぐしてくれるといいのになー。
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あぁ、なんなんだこの完全無欠の小説は!
アタクシの中の全方位向けおススメ本に新しく加えますよ!!
野球に詳しくなくても、甲子園に行ったことがなくても、スポーツが苦手でも、あるいは今まで働いたことがなくても、学校に行ってなくても、私は私のプロだ、そしてあなたはあなたのプロだ。生きている限り誰もが人間のプロだ!
中高大とマイナーなスポーツに励んでいた身としてはいつも高校野球というものの巨大さや特別さにひがみをもっていた。甲子園の放送もよほど見るものがない時以外は観ることもない、知り合いの学校が出ていなければ新聞で結果を見ることもない。
だから阪神園芸という会社のことも初めて知った。彼らの仕事が、「甲子園」にとってどれだけ大切なものなのかなんて、本当にかけらも知らなかった。
いや、驚いた。すごいな、阪神園芸。試合が終わった後に単にグランドを整備するだけじゃなかったんだ。
ネットにたくさんの動画がアップされているのも驚いた。こんなにも人気者だったのか阪神園芸。
見ていて飽きない彼らの動き。無駄のないその仕事ぶり。まさに職人。
世の中には、誰かのために誰かが輝くために一生懸命働いている人がたくさんいるんだな。
日の目を見なくても、目立たなくても、うまくいって当たり前で失敗した時には取り返しのつかないことになるとしても、それでも誰かのために、明日の、明後日の、ひと月後の、誰かのために、真剣に仕事に向き合う人たち。彼らのすべてがカッコいい。
これは、青春とスポーツとお仕事と家族とセクシャリティと、そして、あきれるほどのすがすがしさが詰まっている。そう、つまり、完全無欠の小説なのだ!
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舞台は甲子園。
そのグラウンド整備を行う「阪神園芸」。
高卒で入社した主人公雨宮大地。
野球をベースに絡む人間模様、親子関係、友達関係、同僚関係。
それぞれの思い、言い分、ベタだけどうなづける。
野球好き、特に高校野球好きにはたまらない1冊♪
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父親との確執、弟への嫉妬
最初から本人がそう言ってる気がしたので「今気が付いたけど俺は実は!!」みたいな発言にはビックリ
雨上がりの整備で観客の人達が拍手してくれたシーンではほろっとした
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とても読みやすく面白かったけれども残念ながら何度も読みたくなる、ずっと本棚に並べておきたくなるような小説ではなかった。
阪神園芸のグランド整備についても既に知っていたという認識です。
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高校野球と言えば甲子園球場。
高校球児が憧れる華やかな舞台裏で、地道にコツコツと選手のことを一番に考えてグランドを整備するプロ集団・阪神園芸。
トンボがけに三年、散水に三年、すべての仕事をマスターするのに十年かかる、という。
一人前になるまでに相当な修行が必要な職業で驚いた。
ただグランドの土を均せばいいのではなく、そこには独自の理論と緻密な計算がなされていた。
今までテレビでグランド整備をされている姿を何気なく見ていたけれど、こんなにも神経の使う大変な仕事だとは初めて知った。
常に湿度や気温、日照、風向きに気を配り、土や芝生の管理から校旗の掲揚等、選手や観客のために最高の舞台を整える黒子集団。
選手に寄り添う姿勢に好感を持った。
新米グランドキーパーの大地。
慣れない仕事に四苦八苦し何度も失敗を繰り返しながらも、仕事に誇りを持ち少しずつ成長していく。
大地の名前の由来「雨降って、地固まる」の話が良かった。
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高校時代にわだかまりを持ったまま卒業してしまった若者たちの青春小説。東京から離れて阪神園芸に就職した「大地」が関西で揉まれて独り立ちしていく姿を描いてみせる。通勤電車で読んでいて、思わず涙ぐんでしまう場面もあった。
若い人たちはもちろん、昔若かった人たちも共感できる部分が多いのではないか。
久しぶりに良い作家に巡り合えた!
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いやー、面白かった。
雨降って、地固まるの話。
甲子園球場が舞台、グラウンド整備を請け負う阪神園芸のお仕事小説。
絶望的に運動神経がないため、野球をプレーすることを早々に諦め、裏方になる道を選んだ雨宮大地。家族への鬱屈した思いや友達のセクシュアリティの問題に悩みながらも、阪神園芸に入社し社会人生活をスタートさせる。
怪我で野球を諦めた元甲子園優勝投手の同僚の長谷に意地悪され、ビールの売り子で歌手を目指す真夏に恋心を抱きつつ、持ち前の真面目さと明るさでグラウンドキーパーとして成長していく。
その姿がなんとも眩しい。
高校野球ファンは読むべき青春小説。
自分の中では、勝手に2021本屋大賞のノミネート候補作。
来年の夏は甲子園に野球を見に行きたいな。
高校野球の独特の雰囲気を味わいながら、阪神園芸のグラウンド整備する姿をしっかり楽しみたい。
晴れれば芸術的な水撒きが見られるし、大雨ならば、もしかしたらグラウンドを甦らせる奇跡の技を拝むことができるかもしれない。
尊い仕事をまた一つ教えていただきました。
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"阪神園芸さん"
野球好きなら多くの人が知っている呼び名。甲子園球場で行われる試合では、アナウンサーや解説者たちがリスペクトをこめてたびたびそのように紹介する。
みんながそうやって阪神園芸の仕事ぶりを話すので、新たな野球ファンたちも無意識に"阪神園芸さん"を尊敬する。裏方でありながら、テレビ画面を通してこれほど多くの人から仕事をリスペクトされる園芸会社はなかなかないと思う。
私もイチ野球ファンとして、"阪神園芸さん"はすごいと知っていたけれど、甲子園球場の土や芝が、実際どんな作業によって素晴らしく維持されているのか、何がそんなに他の球場と違うのかなど、詳しいことはほとんど知らなかった。
この本は、阪神園芸に入社しグラウンドキーパーになった青年のお話。もちろんグラウンド整備の話もしっかり書かれている。
阪神園芸の方々は、グラウンドの芝や土を1年かけて育てている。私は趣味で畑をやっているが、畑の作物の美味しさを決めるのは土。畑での作業と全く同じように、自然と向き合い、天気を見て、チームプレーであの広いグラウンドの"土"を耕し、育て続けている。その奥深さと作業の大変さは、予想を超えるものだった。
そして、主人公の青年や同僚、家族など、野球に対する何らかの強い思いを持った人たちが作るストーリーもとても面白かった。青年たちの成長と共に、自分自身も前向きに励まされていくような気持ちになった。
甲子園球場の土は、その上でプレーする選手たちをまさに育てている、最高の土なのだと改めて思った。
とても分厚い本だったけれど、あっという間に読み終えてしまった。甲子園球場に関する知識も、さわやかな読後感も得られる良い本だった。野球ファンでなくてもじゅうぶんに楽しめると思う。
余談ではあるが、この本を読んでから、以前なんとなく思っていた、甲子園球場に屋根をつけたら良いのになどという考えは全く無くなった。
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運動神経ゼロな主人公が甲子園球場のグラウンドキーパーの仕事を通して家族や友人達との関係を築いていく。
お母さんのキャラが最高。関西が舞台で主人公は東京人なのにお母さんは関西のノリ。
グラウンドキーパーという世界が新鮮で今度野球中継とかで注意して見てみよう。
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甲子園の神整備で知られる阪神園芸を描いたお仕事小説。
あの神整備で最近脚光を浴びる阪神園芸。新入社員の一年と、甲子園の年間のスケジュールがリンクした構成。時に水を必要とする土、適度な乾燥と湿り気のバランス。シーズンオフには天地返しをおこなうなど、登場人物の感情をグラウンド整備にたとえたストーリー展開が上手い。その分、個々の人物の造詣はやや単調か。LGBTの出てくるのも唐突な感がある。本当に必要だっのか。
甲子園の土と広い空。総じて良くできた小説。
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阪神甲子園球場の整備を請け負う〈阪神園芸〉の新入社員・雨宮大地の一年間を描く。
〈阪神園芸〉と言えば雨の日の、いわゆる神整備で有名だが、そこには表面を整備するだけではない、グラウンドの土を管理して水はけを良くしているということ、芝も一年を通して美しく維持するために管理していること、甲子園ボウルの時はマウンド部分を削り取って平らにしていること、高校野球の大会時にはグラウンド整備だけでなく校旗の揚げ下ろしなども行っていること…等々、お仕事小説として様々なことを知れて良かった。
小説としては、主人公の大地のコンプレックスが痛々しくて自己肯定感が低いどころか常にビクビクしていて大丈夫かと心配だったが、次第に前を向けるようになっていってホッとした。
ある理由で野球が嫌いなのに野球が好きで、そのために東京からわざわざ〈阪神園芸〉に就職した大地と、夏の甲子園のヒーローから一転、怪我により野球を諦めて〈阪神園芸〉に就職した一年先輩の長谷。
不器用で仕事を覚えるのが遅い大地と、先輩の仕事を見て覚えられてセンスもある長谷。対照的で何かとぶつかる二人だが根っこは似ているところもある。
ビールの売り子バイトのかたわら歌手になることを目指している真夏や、高校の同級生で大学の野球部でピッチャーをしている一志(かずし)。二人もそれぞれ抱えるものがある。特に一志の問題はどうなることかとハラハラした。
大地が一方的に周囲から鍛えられ励まされしながら成長さしたり変化していくのかと思われた序盤とは違って、大地もまた周囲を励ましたり変えていったりしている。
『感謝を求めるのではない。しかし、結果的に感謝される仕事』
自己肯定感が低いのではなくて、ずっと肯定して欲しくてたまらなかった大地の痛々しさはそこに自身で気付き原点と向き合うことでようやく出口が見えてくる。
また長谷、真夏、一志もそれぞれの出口、あるいは新たな一歩を見つける。
大地の名前に込められた『雨が降るからこそ、地固まる』のように、困難も仲間たちと共に乗り越えられれば更に強くなれる。
先輩社員たちや大地の家族も良い人たちだった。
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甲子園球場、阪神園芸、阪神タイガースなどなど野球好きの自分にとっては実に魅力的なワードやシーンが散りばめられていて、ぐんぐん引き込まれていきました。
情景描写も細かく、また甲子園球場の裏側が細かすぎるくらいよくわかり、とても良かったです。
野球のプレイ中のシーンも、目に浮かぶようで上手いな…と思わされました。
ストーリーも登場人物それぞれの線がつながり、からみあって、ほどけていく、そんな感じで終わり方も良かったと思います。
オススメします。
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運動が苦手な雨宮大地は、家族への鬱屈を抱えながら、甲子園球場の整備を請け負う阪神園芸へと入社する。
ところが、仕事は失敗続き。
自分は本当に一人前のグラウンドキーパーになれるのだろうか?
同性愛者であることを周囲に隠す親友・一志や、重い病気を患いながら歌手を目指すビールの売り子・真夏、ケガでプロへの道を断念した、同僚の長谷。
大地は同じく「選べなかった」運命に思い悩む仲間たちと関わり合いながら、自らの弱い心を掘り起こすように土へ向き合っていく―。
(アマゾンより引用)
野球場のことなんて普段全然意識してなかったけど、大変なお仕事だなーって。
てか、世の中にはホントいろんなお仕事があるなーって思った。
主人公の父親はあり得んわ。
私だったらもう関わりたくない。
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これは私にとって今年一番良かった本になりそうな気がする!(゜▽゜*)笑いあり、涙ありで読み終えるのが勿体なかった(*´∇`*)若者達の未来に幸あれ!\(^o^)/