紙の本
最初と最後
2022/02/26 22:32
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投稿者:はち - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初と最後の二作で込み上げてきます。素晴らしい。久々にこれはと思う小説でした。途中は中だるみのようで読むのを辞めようかなと思ったのですがラストを読んで大満足です。すてきな本に出会えました。おすすめです。
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むしろ前向きになれる
2020/08/08 09:41
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧しい家で育った由井と、背が高くてとらえどころのない桐原の恋愛から始まる連作短編集。自分ではどうすることもできない経済的事情と時間の流れに逆らえず、ただ目の前にある状況を受け入れてなんとなく知り合った人と一緒になる。そこに含まれるやるせなさと後悔が描かれる。だからと言って自分の人生を否定しているわけではなくて、その中でも前に進まなければいけないと分かっている程度には大人になってしまったことをどこか清々しく受け入れている人達の話でもある。1ミリの後悔もない人生なんてないけど、後悔も人生のスパイスなんだと思う。
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タイトル通り
2022/09/22 04:34
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
後悔のない人生を送れてる人なんているんでしょうか、いないと思う、順調な人生でも、少なくとも1ミリくらいなら抱えて生きてるんじゃないかと思う。
語られなかった桐原の人生が、笑顔で溢れているといいのになと願います。
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後悔の種類も様々ですね
2022/06/01 10:22
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
笑いのある家庭から突如笑いが消えた。借金取りに追われ、友達からは貧乏な子供として蔑まれ、そして夜逃げすることになった由井。由井は付き合っていた中学の同級生の桐原が忘れられなかった。そして由井の恋は・・・・・。
由井は今は幸せなのかと考えてしまいました。ちょっと鬱陶しい旦那さん、頭の回転の速い河子に囲まれて幸せな生活を送って欲しいですね。由井に届かなかった桐原君の手紙がなんとも切ないですね。
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由井みたいになりたかった。と言ったら、
2021/03/03 23:55
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
叱られてしまうだろうか。歴史人物に詳しくないけれど、豊臣秀吉や話題の渋沢栄一のように、生まれながらの身分に関わらず家柄とは全く別の人生を送る人もいるだろうが、大半の人の人生は生まれた時に決まっている。でもね「わたしは流れを変える人になる」と思うことは自由だ。良くも悪くも連鎖を断ち切る勇気を与えてくれるようなお話だった。
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ほろ苦い恋愛小説短編集
2021/07/31 09:45
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルコール中毒の父親を抱え、極貧の生活をしていた少女の中学・高校時代の恋、大人になって子どもができてからの平穏な生活、その周囲の人々の生活が、短編で緩くリンクしている短編集。ただの恋愛小説でなく、子どもの貧困や家族愛も描かれていて大人向けの本だと思いました。
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痛々しいくらいの若い愛や、大人の無理解や倦怠、家族への思いなどなど、薄い文庫本にぎっしりと感情が詰まっていた。かなり揺さぶられて、少しずつ立ち止まりながらでなければ読み進められなかった。家族って難しい...。個人的にしんどい部分も含め、いいものを読んだ感じがしっかりとあった。
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しばらく前にどなたかがオススメされてて、読みたい本リストに入れてたものの、読むタイミングがなく今やっと手に取った。
一度に読んでしまうのがもったいなく、まだゆっくり読みたいと思いながらも一気読み。
せつなー。
わたしが学生のころなら、きっと桐原には惹かれないだろうけど、でも今は、由井さんを好きでいてくれる桐原に、とても惹かれた。
途中本を閉じてトイレに行ったり、お風呂に入ったりしたときに、ふと余韻として映像が浮かんでくる本は、ものすごく引き込まれて読んでる本なんだろうけど、まさにこの本がそうだった。映像で見たかのように、場面が浮かぶ。
そして、電話越しに聞こえた「タバコをくわえるときのくぐもった声」というところで、一気にわたしが高校生のころに過ごしていた実家の部屋にタイムスリップしてしまった。せつなかった。色んなことを経験して、今があるんだと思った。
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タイトルは作品中の登場人物のセリフであって各話のタイトルとは異なる。
しかし、各話を読むとみんなそれぞれ何かしらの後悔を抱えて生きているのだということが浮かび上がりこの短編集のタイトルはやはりこれしか無いのだろうと思わされた。
女性のための女性によるR-18文学賞の受賞作らしい。
女性文学と言えば良いのだろうか、文体は女性を思わせたがやはりそうだった。
1話目が受賞作。
その後が1話目のヒロインの周辺を描いたスピンオフ。
最終話で全てが回収されて未来へと希望を持てるようなラストとなっている。
手紙で最後が締められるラストは横道世之介を彷彿とさせる。
ヒロインに生きる生きがいを与えた彼はその後何をしているのか描かれてはいない。
誰かを救ったことにすら気づいていないのかもしれない。
カッコ良かった彼は何をしているか分からないが、自分を大切に思ってくれる人とはちゃんと出会えた。
苦難を経てきたヒロインが「私は流れを変える人になる、この人となら流れを変えられる」というセリフは印象的だった。
人間は様々な関わりの中で支え合って生きている。
それを実感できるだけでも十分なのかもしれない。
本作品にドラマティックな展開はないが、現実と希望を与えてくれる小説だった。
蛇足だが、表紙の写真にもこだわりがあったのは良かった。
喉仏を気にいることもありますよね。
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タイトルが秀逸だなと思います。椎名林檎さんの推薦文でもう読むしかないと思いました。
連作短編5話。主人公の由井とその周りの同級生や先輩の現在と過去が描かれています。
大人の事情で貧しい子供時代を過ごした主人公。その不遇な状況を受け入れるしかなかった中学、高校時代に懸命にした恋愛は、キラキラしているけどヒリヒリと痛々しいです。
登場人物を変えながら話は進みますが、大人になるとどうしようもないことだらけです。
最後の章の手紙で、今を認めている大人の自分に、押し寄せてくる甘酸っぱい気持ちを思うと胸がギュッと苦しくなりました。
当たり前に過去の自分が今を作っていて、後悔だらけだったとしても、過去の懸命な自分を後悔したくないという気持ちもあるんだろうなと、なかなか言語化が難しいところが物語になっているように思いました。
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恋愛だけでなく生き方までを描き出す連作短篇集。
最初の話で心を掴まれてしまった。中学時代の淡く、そしてまっすぐな恋。それを思い出す大人の自分という構図はありがちかもしれない。でも、由井の環境の辛さやそこに負けない凛とした佇まいに引き込まれて、最後には由井にこのあといろんなことが起こったんだ!とわかる終わり方。でも幸せそうな現在。なんて切ない。でもそう思える現在の由井を想像し温かい気持ちにもなれる。素晴らしい話だった。でも、その後の話もきちんと触れてくれるから最後まで読むとまた最初の話の印象も若干変わってくる。とてもいい。
あとがきが窪美澄さんであることにニヤリとしつつ、作者のデビュー作であることに驚いた。すごい人が出てきた。
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2020.06.28
幼い頃の記憶はやたらギラギラしていて、大人になってからあれは夢だったんじゃないかって思うことがある。
ジュブナイルと大人の現実に打ちのめされた話を地続きにするとめまいがしてしまう。そんな心地
桐原という少年と、由井と、多分初恋
初めて2人でいた、体を交えた、それからきっとずっと桐原の色っぽい視線や喉が、由井に張り付いている。
他にも話はあって、由井の夫とか、友人とか、ただベースがこの話でとても瑞々しかった。
ラスト、桐原の手紙はあった。本当は、桐原の視点の物語も欲しかったな。
色っぽいけど根本にあるのは青春の泥臭さ
切ない気持ちになった。
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望んでいるのは明るい幸せ。
不遇な環境に耐えながらも由井は桐原と恋に落ちた。
好きな人の元へ全速力で走っていく人生最初の恋。
しかし、その恋は唐突に終わってしまう。
最後まで読んで、由井の境遇を振り返ると、とても切ない。
秘めた想いを胸に生きる由井の強さをひしひしと感じる。
恋に落ちる二人を描く、始めの「西国疾走少女」が一番好きでした。
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みんなが色んな辛さを抱えていて、その中で好きな人がもたらす幸福や、呼吸ができるという感覚、生きていることの肯定。こんなにも大切なのに現実が壊してしまうそれら。苦しくて切なくて泣いた。優先されるのはいつも大人の都合。
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桐原と雄一、どちらも由井さんにとって大切なものだと思う。どちらも、会うべくして会った。
私は、どうなんだろう。