紙の本
良い例からの教訓
2021/03/21 10:12
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年2020年に著者90歳で出版された本である。半世紀前の昭和35年(1960年)に執筆された「人物太平洋戦争」39篇の人物インタビューの中から8篇を選び、文章も見直し編集されたものである。
人物太平洋戦争は旧帝国陸海軍の将校や兵士の体験談をとりまとめたものだそうだ。240万人という戦死者が祀られている靖国神社について、本書の「はじめに」のところで解説している。8篇の最後に登場する「吉松喜三大佐靖国神社の緑の隊長」の予備知識であろう。著者は最も掲載したい人物ということで、昭和35年当時、唯一雑誌文藝春秋に掲載した1篇だと述べている。
ここに紹介されたどの人物にも個の意思が深く感じられる。加藤陽子氏との対談で、著者は日本人の欠点は何か考えると2つある、当座しのぎの根拠のない楽観性と排他的同調性の2つであると述べたという。本書に紹介された8人の人物は前述のような欠点をもたず、軍人としても市民としてもよく生きた例だと加藤陽子氏は述べている。
戦争とは異なるが、大災害も非常時ということでは同じ意味合いをもつが、このような事態にどう対処し、どう生きるかは同様のことが言えるだろう。紹介された8人は戦争時には珍しい軍人だったが故にその価値も高まるということだろうか。
10年前の東日本大震災でも頑張った人々の好事例が取り上げられる。一方で火事場泥棒的な犯罪や非人道的な事例もあったとは思うが、あまり伝えられていない。著者の思いとは異なるが、災害時の良悪両面、特に悪面の伝承も必要かな思う。
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終戦75年のこのコロナ禍の夏に、戦争時の日本軍人
のお話。
日本の軍人にも、立派に生きた人は当然いたのだろう
と思います。
祖先というか、先人のことをしることも充分に
平和を考えることだと思います。
逆に、どうしようもないだめな人のエピソードも
語ってみるのはどうなのかなあ?
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大東亜戦争の兵士達のそれぞれの苦闘や生き様が目に浮かび、ついに涙を止めることは出来なかった。
まえがきには、靖国神社について明快な解説があり、また著者の思想のようなものもあり、興味深かった。私も強い信念を持ち今後も靖国神社へ参拝したい。
戦後75年。一生戦後が先の戦争の戦後であって欲しい。今も世界では紛争等人を殺し合う事が日常茶飯事で起きている。そうでなくても、コロナも加わり世界は互いに牽制し合い、緊張状態が続いている。世界史や日本史をみても大体は戦の歴史である。人間という生き物は戦い抜きでは生きていけないのだろうか。大なり小なり平和ボケした我々日本人だってネットを使った言い合いやら何やら色々お互いを傷つけている。当然傷つけあって喜ぶ人なんていない。世界にいる人皆が傷付くことのない世の中になる事はあるのだろうか。
とても読み易く、恐らく小学生も読むことはできるだろう。戦後という意識が年々弱くなっている今、私のような20代だけでなくそれよりもさらに下の世代にも手に取ってもらいたい一冊だ。
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半藤氏が亡くなった事を受け、新聞に書かれた書評を読んで、この本を手に取った。最期に出版された本が、子どもたちに優しく語る、隠れた兵士たちの生き様だった事に感無量。かの大戦争を経験せず、平和と繁栄の内に生きる私たちは、新たな地球規模の環境問題、感染問題、核問題に面している。今こそ歴史を省みなければ、また同じ過ちを繰り返すだけだと切に考えさせられた。
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昭和35年から始まった旧帝国陸海軍の将校や兵士から聞いた体験談「人物太平洋戦争」39編から、8編が選ばれて書き直されている。
「平和は常に死者の上に築かれるのか」(アラン)
作者が今年1月亡くなる際に残した言葉「日本人はそんなに悪くはないんだよ」
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昭和史や戦史に詳しくない人にも読みやすい文章で綴った太平洋戦争・人物伝。平和を願い続けた歴史探偵、生前の最後の著作がここに。
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以前、著者が取材した多くの兵隊のなかで、再編集された8名の実話。一介の兵士に対する優しい眼差しが感じられる。事実を分かりやすいタッチで簡潔に語っただけなのに、戦争とは何かがわかる一冊である。
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戦争の犠牲者をどう追悼したらいいか。日本がいつまでも平和でおだやかな国であることを誓うこと。「人物太平洋戦争」39編のうち、8編が収録されています。半藤一利「靖国神社の緑の隊長」、2020.7発行。国破れて名将ありの今村均大将、植樹連隊長と言われた吉松喜三大佐、南の島に雪を降らせた加藤徳之助(加東大介)軍曹など。