紙の本
芥川賞なのに
2022/04/10 06:52
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
よくわからない小説でした。始まりのところで、女子高校生の推しがファンを殴るシーン。最後まで理由は出てこないし。読後感としては、モヤモヤが残り……。納得いきませんね
電子書籍
残念だなぁ
2021/03/12 08:27
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投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
掘り下げ方が浅すぎましたね。伝わらないのは私が同年代じゃないからばかりではないと思います。
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一介のオタクとして身につまされる心地がした。
わたしは二次元が推しなので推しと一体化することも、推しが不祥事を起こして炎上することもないにしても、推しに対する感情、童謡七つの子の歌のような切ないと思えるかわいさを感じるのはわかる気がする。
人口の半分はなんらかのオタクになりつつあるというのを最近どこかで見た。オタクと名乗ることがライトでフラットになったのもここ最近。
誰かしらがなんらかに縋りたい現代の厳しさみたいなものが見える気がする。
健全だとされる相互的な人間関係が薄れていってる中、多分社会にうまくリンクできない人間の方がこういうオタクコンテンツにハマりやすい。
家族や友達や恋人と同じ気持ちを共有したりわかってもらうより、コンテンツを介して気持ちをわかってくれる人がいるSNSやネット上は居心地の良い。
社会に必要とされなくてどんなに自分がダメでも、それでも日々は続くし、好きなものや人は自分を裏切る日が来る。それでも好きなものを好きでいることは絶望した社会でなんとか息をする私たちの最低限で精一杯の生き方である。
主人公あかりは死なないだけで死んでるように生きていくのだろうなと暗い未来が過った。
作者の前作かかでも母という信仰対象が終わったラストが印象的だったけど、この話ではまた違った信仰の終わりが書かれている。バッドエンドでもハッピーエンドでもなく一般的に考えると主人公たちはずっとバッドな状態を生きているんだろうな。
でもこれはよくある現実で、作者と同世代の私は、私たちの生きる時代のディストピアは加速しているという実感を伴って日々暮らしている。
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・推しが炎上した、という始まりでドキドキした。
・でも、最後は淡々としてるし、あかりちゃんは病んできちゃって「ん????」となった。
・だけど本を閉じたあとに「推し≒背骨」を思い出してアイドルから人になった推しの死(≒火葬≒推し燃ゆ)ってことなのかな?タイトルの意味を推測
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自分を見ているようで胸が苦しくなりました。
推しを人生そのものの「中心」としている少女は私そのものでした。
彼女ほどの推しはいませんが私自身オタクです。
なのになんにもできないし何かできるとも思えないし・・・。
開き直る度胸すらない。
彼女の「頑張っている」は確かに一般的な「がんばっている」とはちがいます。
それを認めてどんなことなら頑張れるのか、どんなことに関心が向くのかを一緒に模索してくれる人がいないのが悲しいな、と思いました。
彼女自身、そういう状況とできない自分をわかっているから自分自身に期待できないんだろうなあ。
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お、芥川賞受賞作の毛色がいつもと違うぞ!と思って読み始めたら、やっぱりしっかりめの芥川賞でした。
自分に「推し」がいたことないもんだから、そのアツい想いが、より理解できない。
でも、所謂ファンとは一線を画す「推し」の引力は、明言されていない彼女の発達障害に由来するものがあるのでしょうね。
本筋とは違った見方だとは思いますが、おそらくLDの側面もあるであろう彼女を、ここまで突き動かす原動力に「推し」という存在がなること。それってちょっと希望というか。
「いろんなことが普通にできない自分」に諦めを持ってしまう人にとってそのエンジンって大きいですよね。
リアルな次元で考えれば、もちろんそれは揺るがないものであることが絶対条件なんですけどね。アイドルなんて絶対ナシで、なんなら生き物であってはいけない気もする。
いやいや、そんな話ではないんですよね。そうそう。
かといってこの本に関して語れることなんてそんなない。
あえていうなら、青の使い方上手いよねとか?カバーの肉色と本体の青、スピンの青。
ああいうのは、デザイナーさんの発想なんだろうか?それとも作者さんの意向?
そちらの方が興味深い。
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雑誌掲載で話題になってたときから読みたくて頭の片隅に置いていたお話。気づいたら書籍化してたので即読みました。一気読みでした。
推しという単語からもわかるようにイマドキの話として意識的に書かれていて、SNSの描写とか、作者が若いこともありすごく現実感をもって迫る。その反面なにかを「推す」こと、なにかを拠り所として生きること、というテーマが結構普遍的に浮かび上がってきたのが刺さった。自分が自分の足で立つってどういうこと? 働いて結婚して子ども育てて、わかってきたつもりだったことを突きつけられた。私から仕事をとったら、家族をとったら、なにが残るのか、私は所謂「推し事」をするオタクではないけれど私の所属する様々を私の理由として生きてるに変わりはない。この子と同じ。そんな感じがしました。
推しがファンを殴ったところから始まり推しが引退することで終わる。大人になりたくないと言った推しが大人になる、芸能界から退いて、結婚して、特別な目を向けられる自分を脱いで生きていく。削ぎ落とすことで大人になった推し。一方で、削ぎ落としていくことに生を感じると言った、実際に推しのために金を費やし体を壊し家族を失っていった主人公は、ある種未成熟な存在として書かれている。その対比的な構造も面白いし、主人公のような人間(たくさんいる)(上述したような私だってと思わされた)が自分の足で歩いていくにはなにが必要なのか、考えさせられました。なにが必要かね。
ひとつ、主人公が発達障害を匂わせる設定は個人的にあまり好まない。物語的に、推すこと、拠り所をもつことの焦点がボケる気が私はした。この子だからのめりこんじゃった、みたいになると、推すというテーマの追究がぼやけて勿体ないな…というか。いや障害者がマイノリティだとかいう話がしたいのではないんだけど、語弊があったら嫌だな。
「かか」も読みたい。町田康が褒めたらしいじゃないですか!
追記 カバー下で推しが燃えている(概念)のに気づいて興奮しました。こういうの好き!
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推しを解釈することに唯一の生き甲斐を見出す女の子が、推しの炎上によってゆるやかに人生を崩壊させていく物語。家庭環境もバイト先も学校も上手く行かない主人公は、推しの世界にだけ徹底的にのめりこむ。生きづらいときにアイドルに落ちる、という経験はオタクに膾炙すること。 終盤、唐突に推しの卒業が明かされ、暗闇に落ちていく。しかし、その落ち方がリアルだった。推しの卒業くらいでは、残念ながら人生は終わらない。その後も続いていく。その運命を象徴するかのように、気が立った彼女が投げた物は、いつでももとに戻せる「綿棒の箱」だった。ままならないけど、彼女は推しの居ない世界で生きていくしかない。
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〈病めるときも健やかなるときも推しを推す〉
ある日、推しが炎上…同時に主人公あかりの人生も加速をつけて崩壊する
「推しのいない人生は余生だった」
推しに人生を捧げる喜びと哀しみ
推しという幻想が永遠に続くことはないのかな?
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宇佐見りんさんの新刊は、推しのアイドルが炎上する物語(「推し、燃ゆ」というタイトルが絶妙)。前作の「かか」は独特の「かか語」を使って書かれていて難解だったが、今作は非常に読みやすかった。「推し(AAAのような感じのアイドルユニットの中の男性)」にハマってしまった主人公(高校生女子)を描いた作品で、「推し」がファンを殴って炎上した後の「推し」と、主人公の心情が描かれる(「推し」への熱量には圧倒される)。SNSのあるあるネタ満載で面白い、特に推し仲間の「いもむしちゃん」のリアルさが際立っていた。
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この人はもしかすると、もしかするな。まず文章が巧い。リズムもある。比喩も面白い。
「推し」とかSNSとかそういう今のアイテムがよく書けていて面白いけれど、いつの時代でもどの年代でも、依存の構造は同じなんだなあと思う。恐らく全く何にも依存していない人はいないし、依存の全てがわるいわけではない。あかりが自分の依存を結構冷静に自覚しているのが痛ましいというか、特殊というか、新しいというか。
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世間一般の「当たり前」を生きられない、主人公のあかり。多分、彼女は、発達障害と思われました。そのことを彼女自身も分かっていて苦しんでいる。出来ないということを、大人は「やらない」「逃げている」「甘えている」と捉えている。 そんな彼女は、推しを推すことだけはできる。それだけが、社会との接点なのかもしれない。だが、そんな日々も終わりを告げた。 彼女の血肉だった、推しの存在が無くなった時、彼女の中には何が残ったのだろう? 世間から、はみ出すことを良しとしない社会。 どうか彼女に医療や福祉の手が届きますように。
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推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。
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圧倒的な才能に、震えざるを得ない
きっと誰もが息をしているふりをしているだけのこの社会で、彼女はどこまでも真摯に生きていた。
側から見たら何もやっていないように見える彼女こそ、誰よりも生きているのだ。
そして、そんな繊細さをいとも容易く踏みにじろうとする社会の常識に、本作は軽やかに、そして同時にどうしようも無い重みを抱えながら、見事なまでに挑戦している
主人公のうちなる衝動の爆発に、僕は自分を重ね合わせ、明日への気力をもらった
推し、という彼女と人生をつなぎとめるアンカー
発達障害(多分ADHDとLD)
SNS
極めて現代的なモチーフを用いて、古来より文学が挑んできた「生きる意味」「人生とは」という問いに、新たな解釈を与えた。
宇佐見りんさんの年齢以上に、それが衝撃的な作品だ
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「推し」ですか。ファン、追っかけ、親衛隊、グルーピー..どれとも似て非なるもの。とりあえずジェネレーションギャップと感性の違いをまざま座と見せつけられた作品だった。そりゃ著者が大学生だものね。アイドルグループ「まざま座」のメンバー1人にのめり込む女子高生の話。正直面白いとは思わなかった。私は基本飽きっぽくオタク気質がないので共感は皆無。文章もちょっとクセがあり苦手。ただこの女子高生のいろんな意味でのアンバランスさが迫ってくる、心がザワザワする文章はかなりのものだった。そこも苦手ではあるが凄いとは思った。