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ウイルスとの戦いで必要なのは情報。情報には信頼が必要。
そのためには国際的な団結が必要。
実際は科学に対する不信、国際的な協調の欠如。自国優先。
大事なことは、この先、この体制がしばらく続くということ。緊急事態は、政府によって続けられ、支配するのに都合がよい。
日本は自由をギリギリ保っているが
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過去の寄稿とNHKでのインタビューをまとめたもの。
過去作品において人類の未来に対して悲観的な見解を示して警句を発してきたのに対し、コロナに関しては理想主義的な発言を繰り返している。
これはコロナに対する(というよりもコロナ下においても混乱し続ける国際社会)に対する不安から来たのでろうと思える。
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まあ、緊急提言とあるからそういう内容でそういう本だろうなと期待した通りの内容と本だった。
だから期待外れではないのだが。
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著者のユヴァル・ノア・ハラリは名著にしてベストセラー『サピエンス全史』、『ホモ・デウス』を書いたイスラエルの歴史学者である。本書は新型コロナによる感染症が世界に拡大し始めた2020年3月から4月に書かれた3「タイム」「FT」「ガーディアン」に寄せられた3つの寄稿記事とインタビューから成る。
この本を読んだのは、2020年秋のだったが、このレビューを書いているのはそれから約1年ほども経った21年9月である。
ハラリは、コロナについておそらくは何かを書く必然性があった。なぜなら、『ホモ・デウス』において人類の歴史において長きに渡って苦しんできた飢餓・疫病・戦争を克服したとして人類の未来についてその論を進めたからだ。おそらくは執筆当時この危機が克服可能であり、影響は大きいが、そこまで長く続くものではないという前提であったはずだ。
ハラリは冒頭、 「医学的な助言はできない」と断りながら、歴史学者としての観点からの「助言」ならできるかもしれないとする。そのひとつは「私たちが直面している最大の危機はウイルスではなく、人類が内に抱えた魔物たち、すなわち、憎悪と強欲と無知」だというものである。その危機を乗り越えるために人類は互いに協力し、叡智を集めこの危機に対応すべきではないかと願う。今なら「憎悪と強欲と無知」は問題であり続けたと言うと思うが、決して「危機はウイルスではない」とは言わないだろう。とは言うものの、ここで書かれた内容が価値がないというものではない。むしろウイルス自体の危機に目を取られていない分、ますます本質を突いている部分も多くなっているかもしれない。
■ 人類は新型コロナウイルスといかに闘うべきか ―― いまこそグローバルな信頼と団結を (タイム)
歴史学者らしく、これまで人類に降りかかった感染症 ― ペストや天然痘、エイズ、エボラ出血熱 ― と人類との闘いの歴史を辿る。
新型コロナウイルスの特徴は、グローバル化された現代において発生したというものである。対策はひとつの国に閉じることはなく、全人類を危機に陥れることがわかった。これが全人類の協力が進展することをハラリは期待し、切望する。そして、この時期に生じているアメリカが残した空白を嘆く。
ここにはワクチンのことはまだ書かれていないが、全人類における協力は一部では実現した。それでも、この危機を抑え込んだというにはまだまだであるし、ハラリが懸念をしたアメリカではその政治的にも多くの要因を挙げることができるであろう対応のまずさによって大きな犠牲を払うこととなった。
■ コロナ後の世界 ―― 今行う選択が今後長く続く変化を私たちにもたらす (フィナンシャル・タイムズ)
コロナの嵐はいずれ収まる。われわれはコロナ後の世界のことを考えて今行動する必要があるという指摘である。
「緊急事態は歴史のプロセスを早送りする」とハラリは言う。そして、今迫られている重要な選択として、①全体主義的監視か、国民の権利拡大かという選択と、②ナショナリズムに基づく孤立か、グローバルな団結かという選択の二つを挙げる。
①についてはハラリは皮下モニタによる生体監視システ��まで想像する。しかし、われわれはプライバシーと健康の二者択一ではなく両方を目指すべきで、その鍵は知識と信頼であるという指摘する。この危機によって、その意識が高まることを望む。②については、もはやアメリカへの批判と捉えるべきだろう。トランプが大統領選に敗れ、バイデンが勝利したことはハラリにとってはひとつの懸念がなくなったことになるのかもしれないが、もしかしたら大統領選挙を越えてここまでコロナ危機が長引くとも思っていなかったのかもしれない。
■ 死に対する私たちの態度はかわるか? ―― 私たちは正しく考えるだろう (ザ・ガーディアン)
死の問題はハラリが『ホモ・デウス』で提起したわれわれの世代の課題である。コロナが蔓延したことで、われわれは唯々諾々と死を受け入れることになるだろうか。当然、その反対で必死の体で死に抗おうとするだろう。少なくとも今の世代の人間はいずれにしても死すべき運命であるにも関わらず。ハラリは次のように言う。
「医師は私たちのために、人間の存在にまつわる哲学的な謎を解き明かすことはできない。だが彼らは、私たちがそれに取り組むための時間を、あと少しばかり稼ぐことはできる。その時間で何をするかは、私たち次第なのだ」
コロナの重症化から医療のおかげで回復することができた個人的な体験からは、もちろんあと少しばかり稼いでいただいた時間をどのように使うか考えたい。一方で、死を受け入れるための準備もまた同時に必要と感じるのだ。
■ 緊急インタビュー「パンデミックが変える世界」 (NHK Eテレ インタビュアー 道傅愛子)
インタビューでは、従前の三つの寄稿での考察と主張が繰り返されることになる。パンデミックの後、雇用市場や働き方・学び方には新たな秩序が確立している。経済や教育のシステムのルールが書き換わるとき、政治はそれを絶好の機会と捉えるべきなのだ。
監視体制への影響にも改めて憂慮を表明する。それはイチかゼロではない。また、相互協力とそのための情報共有の透明性にも言及する。集団的リーダーシップについて言及し、パオロ・ジョルダーノが指摘したように新型コロナ対策を戦争のメタファーで語るべきではないと伝える。そして、科学的合理性への信頼を表明するのだ。
ハラリもここまで危機が長引くとはこのとき思っていなかったのかもしれない。そのため、コロナ後の世界について拙速に語りすぎていたかもしれない。もし何か修正が必要であるとすれば、もう少し長くこのコロナ危機の状況と変化に付き合っていく必要がどうやらありそうだということと、コロナ後の世界はより大きな変容が待っているかもしれないというところだろうか。そして、科学への信頼は一層重要になることだろう。
『ホモ・デウス』の自己正当化のモティベーションがあったとはいえ、2020年4月という早い時点で、コロナに対して知識人としてまとまった見解の表明をする勇気にも感謝。
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「ウイルスが歴史の行方を決めることはない。それを決めるのは人間である」「今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各刻は互いを信頼する必要がある」等々、人類が今おかれている状況と、一人一人が考え行動することがの意味を伝える。「21Lessons」とは異なり、ほとんどにおいて「こうすべき」だと述べる。
しかし現実は、著者のいう「最悪の方向」へ向かっているようである。
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短いけど濃い内容。
3月4月のインタビューの内容だけど、この時点でこれだけのことを推察できているのはすごい。
歴史から学ぶのは大事ということ。
グローバル化する前の時代でもパンデミックは起きているし、国境に壁を作るよりも情報を共有したり国際的に協力し合ったりするのが重要。これは多くの国のトップや重役の人たちへ届いてほしいメッセージ。
こういう時こそ民主主義であるべきというのは国とかの規模でなく、もっと小さな組織の場合にも言えると思う。
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100ページちょっとの短い寄稿なのだけれど、
とても濃い内容が書かれている。
グローバル化とナショナリズム、健康とプライバシー、どちらも二者択一ではなく、共存できる関係だということと、
死の意味に対する我々の認識の変移が特に興味深かった。
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パンデミックの原因がグローバル化による弊害と考えられることで、各国家がロックダウンなどの内向的な姿勢を示す中、本書ではパンデミックの解決におけるグローバル的な姿勢の必要性を説いていた。また筆者はトランプ政権に批判的であると感じた。
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パンデミックに立ち向かうために必要なのは「脱グローバル」ではなく「グローバルな協力体制」である。アメリカというグローバルなリーダを失った世界において、グローバルでの協力が不足している。各々の国が自国を保護し、他国を敵視しているが、コロナに対しては逆効果である。たとえ自国が上手く医療体制を築けていても、医療体制の整わない国でコロナが蔓延してしまったら、その国から再度パンデミックが始まってしまう。しかも更に凶悪な細菌となって。「全世界的な医療体制を整えること。」がコロナに打ち勝つ方法である。
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人類はコロナウイルスを必ず克服することができる。その前提に立って、人類のこれまでの歴史を考慮した上で著者はグローバルな協力が唯一の解決策であると主張する。科学、歴史、哲学の異なる視点から現在の状況を俯瞰し、皮膚の下にまで到達した監視体制、ウイルスに唯一優っているサピエンスの集団で情報を共有する能力。科学を羅針盤として不安に流されないようになる精神について述べている。これらの指摘は理想論のように聞こえるが、これを理想論で終わらせない現実社会を実現することが重要だと感じた。
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大切な事が書かれていたとは思うがどれも理想ばかりで具体的でないように思えた。
テレビ番組の話してる内容を纏めたものだから仕方がないのかもしれないがもっと深い本人の思考と一緒にこのパンデミックについて読んでみたかった。
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短くてもっと読みたかった。
科学を信頼し、皆で協力する。コロナの危機を前向きに乗り越えていけると、そう思わせてくれる本だった。現実は前向きになれない人たちもいるので、そういう人皆読んでほしいと素直に思う。
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歴史学者の視点から、今回のコロナウィルスのパンデミックが過去の感染症のパンデミックと比較して決して深刻なものではなく、むしろコロナ禍をきっかけに変容するテクノロジーの運用方法やポストコロナの社会に起こり得る変化に重心を置いて提言を行なっており、未来志向の内容と感じました。文章量も決して多くなく、すらすらと読めました。
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本当は何が起きているのか、コロナ後をいかに生きるべきか。新型コロナウイルス感染症のパンデミックという世界的危機の中で、知の巨人が発したメッセージ。英米の有力紙への寄稿とNHKで放送されたインタビューをまとめる。
分かりやすかった。
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一見すると二者択一に受け取ってしまうことも、しっかり考えれば両立するということ、独裁者はそういうことを言いがちで、そして言いなりになってはいけないこと、とにかく協力して情報を共有することを学んだ。
そのためには、安易に敵を作るのではなく、新型コロナウイルスが共通の敵であることを切り返し認識することが必要だと思う。
ふだんの生活でもそうで、簡単にいがみあうのではなく、なるべく共通の目的を見つけて協力すること、二者択一も疑ってかかることが必要。